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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
女装・DE・デート:エリ先生
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第58話:エリ先生の欲しいモノ



「時に、園田さん」

「なんですか? 先生」


 ファミレスを喫茶店代わりに、飲み物だけで。

 ドリンクバーの無いファミレスもあるんだ、と、ちょっと驚いたのはまぁ、余談として。


 エプロンを通販で四枚分、ポチって。

 モノが届いたら、ウチの分の五枚目をエリ先生が制作する方向で。


 当初の目的の話は、これで一通り終わって。


 さて、それでは、と、言うところで。


「向いにあるゲームセンターに寄ったりしてみたりしませんか?」


 エリ先生の指さす方。


 通りを挟んで向い側の並びに、確かに、ゲームセンターが。


「いいですけど、何かやりたいゲームでもあるんですか?」

「うーん、ちょっと覗いてみたいなー、なんて?」


 左様ですか……。


 まぁ、時間はまだ大丈夫そうなので、少しくらいなら。


 通りを渡って、そのゲームセンターへ。


 入るなり、エリ先生。


「あ、あったっ!」


 叫びつつ、少し大きめのクレーンゲームの筐体に駆け寄る。


「時に、園田さん」

「なんですか? 先生」

「これ、得意だったり、する?」


 筐体に張り付いたまま、中のぬいぐるみを凝視しつつ。


「得意と言う程では……まぁ、普通?」


「ちょっとやってみてよ。お金入れるから……あの、髪の毛が青い子狙ってみて」


 えー?


 有無を言わさずコインを投入する先生。


 ぴよぴよ、と音楽が変わって、『→』ボタンが明滅し始めて。


「ささっ」


 ささ、って、ねぇ……。


 先生から指示された青い髪の子を狙って。


 ここら辺か?


 『→』ボタンを放して、次に『↑』ボタンを押して、放して。


「おぉっ!?」


 なんか取りやすそうな、と思ったら。


 一発で。


「やったーっ! 園田さん、上手っ!」


 ポケットに落ちた青い髪の子を拾い上げて、大喜びのエリ先生。



 まぁ。



 裁縫が得意、って話の時点で、なんとなく察しては、いたけど。


 やっぱり……。


「これって、何かのアニメとかです?」


「え? あ? まぁ、そんな感じかな? お気に入りなのーあのピンクの子も取れるかなっ?」


 えー……。


 一発で取れちゃったので、欲が出たか。


 こういうのって、全種類コンプリートしたくなるんじゃないのかな?


 しかし、世の中、そう甘くはない。


「先生、もうこのくらいで……」


「あと一回! 一回だけっ! 園田さんなら、出来るっ! いけーっ!」


 二個目は。


 十数回やっても、ダメだったんだけど。


 狙いの子が動いて、あともう少し感は確かにあるんだけど。


 と言うか、ウチにやらせてばかりで、先生は全く手を出さず。


 苦手なんだなぁ、きっと。


 そして残酷にも投入されるコイン。


 光る『→』。


 えぇい、もぉっ!


 やぁっ!


 くらえっ『↑』。


 アームが下まで降りて、一瞬の、タメ、からの……。


「ぉおっ!?」


 なんとか首根っこを掴んで、ぐぐいっと上がって行って。


 上がりきったところで落ちる事も、しばしばだけど。


「いけえぇえええっ!」 


 斜めにアームが、ぬいぐるみをキープしたまま、戻って来る。


 そして。


「来たぁあああああっ!」


 先生、わりと注目浴びてます、よ?


 まぁ、ウチのこの格好も注目を浴びてる感、あるけど。


 それは無視、無視。


 気にしたら負けって、わかってきたし。


 はしゃぐ先生の方が、恥ずかしいっす。



 でも、めちゃくちゃ嬉しそうな先生は。


 なんか。





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