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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
女装・DE・デート:エリ先生
55/349

第55話:エリ先生、曰(いわ)く



 わが家での食事会となった、ぱっつん子先輩のお料理教室。


 ぱっつん子先輩()()お料理教室、か。


 食後に母さんからのどえらい爆弾を投げ込まれて。


 一同、神妙。


 ウチも含めて、と、言うか、ウチがいち番ダメージを喰らった感も、無きにしも非ず。


 でも。


 意外と。


 そんなに大きなショックは受けていなさそう。


 ふーん、と、言う感じでも、無く。


 あぁ、母さん、やっぱり苦労してたんだな、と。


 小さい頃に。


 『なんでお父さんはいないの?』


 って、訊ねた事も。


 『お父さんは遠いところに居るけど、会うことはできないの』


 って。


 なるほど。


 居るだろうけど、会えない。


 居場所がわからないんだから、仕方ない、か。


 ふらっと戻って来たりされたら。


 今さら『オレが父親だ』とかって、出て来られても。


 かえって、困る、よね……。



 タイミングはものすごく微妙だけど。


 真実を知れて、良かった、とは、思う。


「どうしたの? 難しい顔して……やっぱり、お母さまのこと……」


 並んで歩いているエリ先生が、ウチの顔を覗き込んで。


「あぁ……いゃ……うん……まぁ……」


 図星。


 さすが、先生?


 ちなみに、三先輩は前を歩いている。


『男の子なら、ちゃんと女の子をエスコートして駅まで送ってあげなさい』


 母さんの指令が無くとも、もともと、送るつもりではあったけど。


 こんな時だけ男扱いかい、と、思わなくもないが。


 もとより、それが、本来のあるべき姿。


 仮初(かりそめ)の姿が(メイン)になって数か月。


 意識しているとは言え、考え方や言葉遣いも。


「わたしもそうだけど、あの()たちにもショッキングな話ではあったわよね……」


 だろうなぁ。先生もまだ独身だろうし、先輩たちと同じような状況だって言ってたから、彼氏とかも居なさそう。


 ウチに構わず、エリ先生はひとり言のように続ける。


「でも、ためになる話ではあったわね」


 母さんの話を聞いて、思ったこと。


「『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』、でしたっけ」


「そうそう、『男』の事を知らなさ過ぎて、このままじゃ、まずいよ、って」


 先生はわからないけど、三先輩は男性を怖がっている節があるので、母さんみたいにコロっと、って事は無いだろうけど。


 いつまでも拒絶している訳にもいかないだろうし。


 え?


 そう?


 本当に?


 生涯独身、と言う選択肢も、無くはないだろう。


 でも、それでいいの?


 本人次第、か……。


「と言うことで、明日、またココに集合よー」


 は?


 駅前に到着し、三先輩が振り返って、何やら。


「何? 何のこと?」


 考え事してたり、先生と話したりで、前を歩く三先輩の話は全く聞こえてなかった。


「だから、学校で料理教室開くなら、エプロンを揃えましょう、って」


 おさげ子先輩が説明してくれる。


「明日午後、またこの駅に集まって、お揃いのエプロンを買いに行きますわよ」


 息ぴったり、説明がぱっつん子先輩に繋がる。


「はぁ……」


 ウチは自前のエプロンあるけど……。


 お揃いとかって、ますます部活みたいになってますやん。




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