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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
最終章:あたしの未来、オレの未来
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第344話:立ち向かうべき現実



 今のところ、あたしの『癒し』であったり、『憩い』の場であり、人物(ひと)


 雪人さんと、そのご家族であり、そのお店であり。


 アルバイトの時にも、楽しませてもらって、くつろがせてもらったけど、今日、また。


 顔を出して、雪人さん、アカネさん、それにアキラくんにご挨拶、して。


 雪人さんと、例の『新タイプの上げ底』の話なんかを、少し聞いて。


 まだ、開発中とのことで、その件は、また後日に、って。


 ここのところ、お店も盛況で、お客さんもそれなりに入っていて。


 のんびりゆっくり話してばかりも、お邪魔なので。


 半ばウィンドウショッピングさながら、漏れ聞こえる会話に、耳を傾けてみたり。


 主だった道具(グッズ)は入手済みだから、新しく何かを買う、ってわけでもないので。


 最終的には、消耗品である、基礎化粧品なんかを、少し調達してみたり。


「お邪魔しました」

「ありがとう、また遊びに来てね、真綾(まあや)ちゃん」


「まーやちゃん、またねーばいばーい」

「アキラくん、またねー」


 なんて。


 少し、こころに、ゆとりを取り戻して。



 ゆとり、とはまた少し違った形で。


 普段の、学校生活も。


 勉強も含めて、忙しさは、一時にせよ、他の事を忘れさせてくれる。


 でも、八時間目になると。


 先輩たちと会う事になるので、例の件も、嫌でも思い出してしまう。


 ただ。


 後輩たち。


 一年生との交流は、一服の、清涼剤、かも?


 七ちゃん九ちゃんも、含めて、男装チャレンジ。


 先輩たちと違って、男装も始めたばかりなので、言葉遣いも含めて、まだまだ、なりきれてないものの。


 わいわい、がやがや、と過ごすのは。


 楽しいもので。


 先輩たちも、できるだけ、例の事には触れず、普段通りに。


 あー、いや、普段通りにとなると、あたしをイジる事が多いはずが。


 逆に、イジリが減ったような気がするのは。


 かえって、気を使ってるって事なのかも、しれず。


 エリ先生も、然り。


「はーい、じゃあ、写真、撮るよー、並んで並んでー」


 例の件も、母さんとのお付き合いの事も、おくびにも出さず。


 学校生活、教師生活。


 八時間目の、顧問生活。


「園田さん真ん中で、左に三年、右に一年でー」


 なんかすぐ天然バレしそうな気もしてたけど、意外と、慎重に。


 先生してる、エリ先生。


 男装女子五名。


 男装トランスジェンダー女子二名。


 女装男子、一名。


 ずらり。


 並んで。


 エリ先生の撮影で。


 ぱしゃり。


 撮った写真はすぐに八時間目のグループチャットに、ぺたり。


「やっぱり七ちゃんと九ちゃんは女の子が抜けないねぇ」

「不思議ぃ」


 あはは、と。


「真綾ちゃんと七人のイケメン!」

「自分でイケメン言いますか?」

「いいじゃん! みんなイケメンだよ!」


 さらに、あはは、と。


「園田先輩、完全にハーレムですね、これ」

「それを言うなら、逆ハーレム?」

「いや、実際問題、逆・逆ハーレム!?」


 あはは、ははは。


 いいな、こういうの。


 何も考えず、呑気に、のんびり、まったりと過ごす、時間。


 こんな時が、ずっと。


 ずっと、続けば……。



 でも。



 向き合うべき、現実。


 向き合うべき、ひとたち。


 立ち向かうべき、事案。



 あたしの将来も、含めて。


 考えなければならないこと。


 まだまだ、その答えには、たどり着けないのだけれども。


 ひとりで答えを出せないので、あれば。


 誰かに、頼るのも、ひとつ。


 誰に?


 雪人さんたち家族(ファミリー)には、これ以上、ご迷惑はおかけできず。


 お友達には、知られたくない、し。


 もちろん、後輩の一年生に、話すわけにも、行かず。


 妙案は、浮かんでたりは、する。



 八時間目も、終わり。


 正門から、ダッシュ五秒で我が家の玄関。


 母さんもまだ帰って来ていない、ひとりの、我が家。


 自らに、確かめる用、語り掛けるように。


「ん、よっし」


 母さんに、伝えよう。


 あたしの、気持ち。



 あたしが、どう、したいのか。



 みんなに、どうしてほしいのか。




 そんな風に、意気込んで、いたら。


『ぴこんっ』


 ん?


 メッセージ?


 え?


上谷(かみや)さん?」


 牧乃緑(まきばのみどり)ちゃん……。


 グループチャットじゃなくて、個人宛て。


『先輩、今、お時間いいですか?』


 はて、どうしたんだろう?





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