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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
最終章:あたしの未来、オレの未来
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第339話:みんなの想い、シズさんの想い



 もともと、皆さんと多くを語り合うつもりは、無く。


 少しだけ、皆さんの心情を垣間見れれば、と。


 今日の突貫スケジュールを組み立ててみた次第。



 あたしん()での、おさげ子先輩との話も早々に切り上げて。


 迎えに来てくれたシズさんの車で、おさげ子先輩と一緒に。


 金髪子先輩の待つお宅へ、今度は、あたしが訪問。


 の、前に。


「ツグミ先輩、お疲れ様です。わざわざすみませんでした」

「いや、こっちこそ、ありがとう」


 おさげ子先輩を自宅まで送り届けた後。


 シズさんと、ふたりきりの、車中。


「それでは、まだ結論、というわけではないのですね?」

「はい。その前に、皆さんと話をって思って」 


「それは、わたくしとも?」

「うん、今、ちょっとここでお話、しましょう」


 金髪子先輩のお宅のガレージに車を戻して、そのまま。


 エンジンを止めた、薄暗い車の中で。


「シズさん()、子供は欲しいけど、結婚はしない、ってことでいいんですよね?」

「はい、そうです」


 運転席のシズさん。


 後部座席の、あたし。


 少しの隔たりは、わざと。


 バックミラー越しに。


「他の誰かとも結婚はされないんですか?」


 エリ先生は母さんと。先輩たちはご両親が用意すると男性と。それぞれ結婚自体は、する。


「はい、今のところは考えておりません」


「子供の事を考えたら、やっぱり父親は……」


 居た方がいい、そう言いかけて、ものすごく矛盾している事に気付く。


 父親の居ない、あたし。


「一般的に、常識的に考えるのならば、もちろん、その通りなのでしょう」


 ただ。


「わたくし自身も旦那様以外の男性の知り合いがほとんどおらず、男性に不慣れなこともありまして」


 なんか、あたしのまわり、そういう女性(ひと)ばっかり?


「それに、沙綾(さあや)さまと真綾(まあや)さまの人となりを垣間見させていただいて」


 母さんと、あたし。母ひとり、子ひとり。


「今は母とふたりですけど、あたしが幼い頃は祖父母や叔母にもかなりお世話になってましたよ」


 そう。


 小学校に上がるまでは、祖父母の家、母さんの実家で面倒見てもらってたしね。


「その点でしたら、心配ご無用です。旦那様と奥様……ミリィお嬢様のご両親に相談済でして、ご配慮いただけることになっておりますので」


 根回し早っ!?


 いつの間に……。


「真綾さまに授けていただくお子には、真綾さまのように優しく健やかに育てたいと考えております」


 あぁ、でも、それなら。


 エリ先生や、先輩たち以外で、唯一、あたしと結婚が可能なのはシズさんのみ、と、すれば。


「あたしと結婚、っていう考えはありませんか?」

「あぁそんな、滅相もない。真綾さまには、わたくしよりもっとふさわしい方がいらっしゃる筈」


「シズさんはふさわしく無い、と?」

「歳の差もありますし、真綾さまご自身の想いもございますでしょう」


 シズさんって、一体、何歳(おいくつ)なんだろう……?


 訊きたいような、訊いちゃだめなような。


 でも『年齢的に早く子供が欲しい』とも言ってたし。


 金髪子先輩が産まれた頃から、先輩の家に居て、金髪子先輩のお世話とかしてたらしいし。


 それ相応のお歳、なんだろうなぁ。


 そんなシズさんと、あたしが。


「じゃあ、あたしが、子供を作るなら結婚してからじゃないとダメ、とか言ったら?」

「え……?」


 うん。


 ある意味、まっとうな考え方、なんだけど。


「なんて、今のところまだその答えは出せませんけど、ね」

「そ、そう、ですよね……」


 あたし自身。


 本当にシズさんと結婚したいのか、すべきなのか、する方がいいのか。


 簡単に答えを出せるものでは、無い。


 本気で考えるにせよ、もっと、シズさん本人の事、知るべき。


 だもんね。


 って。


 話していて。


 なんで、あたし、急にこんな事に巻き込まれてるんだろう……。


 はぁ。


 でも。


 巻き込まれたなら、仕方が無い。


 あたしは、あたしで、あたしに出来ることを。


 求められるのであれば、答えられる範囲で。


「ありがとう、シズさん。今の段階では、話せるのはこれくらい、かな」


 シズさんは、ミラー越しではなく。


 振り返って、直接、あたしを見て。


「いえ、こちらこそ、申し訳ございません、ありがとうございます」


 そう、言ってくれる。


「じゃあ、そろそろ。ミリ先輩も待ってると思うんで」

「はい、そうですね。ご案内いたします」


 シズさんが、運転席を降りて、後部座席のドアを開けてくれて。


「さあ、参りましょう」

「うん」


 いざ、金髪子先輩の、お部屋へ!





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