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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
最終章:あたしの未来、オレの未来
334/349

第334話:男装グッズを買い出しに



 夜、遅くまで雪人さんと通話してたら。


 翌朝はさっくり起きられず。


 母さんも、昨日の今日で無理やり起こしには来なかったんで。


 集合に、間に合わなくなるところだった。


 やばいやばい。


 土曜日、休日ながら、一年女子たちの男装用グッズを求めて。


 例の、コスプレショップへ。


 八時間目の新メンバーで、ぞろぞろ、と。


 先輩たちは。


 あたしが、母さんから話を聞いたことを、すでに知っているのか、いないのか。


 んー。


 母さんの事だから、情報の共有って感じで、あたしに話したことをみんなにも伝えてるだろうとは、思うけど。


 先輩たちは、特に普段と変わった様子も、無く。


 あたしの方が意識しちゃって、ちょっとどぎまぎ。


 それでも、なんとか、それを隠して。


 できるだけ、普段通りに。


 ショップでは、一年の女子ふたりが、試着も含めて、男装グッズを、あれこれ物色。


 先輩たちの時と違って、すでに実績もあるし。


 上谷(かみや)さんは、金髪男先輩と、下谷(しもたに)さんはおさげ男先輩と体形が近いので、それをベースに試着で確かめる感じ。


 七ちゃんと九ちゃんは、グッズ自体は必要なさそうなんだけど。


 もともと体格も華奢なだけあって、肩幅だけでも広げた方が、ってことで、その部分だけ。


 ウィッグもみつくろって、結構、本格的に。


 そんな、中。


「おかーさん先輩も、男装するなら少し肩幅広げた方がいいんじゃないですか?」


 七ちゃんに、指摘される。


 って、おかーさん先輩は、やめて?


「いやいや、あたしが男装って、おかしいでしょ」


「それを言い出したら、あたしらだって、でしょ?」


 うーん。


「なるほど……」


 今日は、ただ傍観者として、付き添のつもりだったけど。


 しっかりと巻き込まれました、はい。


 休日に、そんな活動で、わいわいと過ごして。


 お目当ての物を手に入れて。


 次回の八時間目は、全員男装で、って事で。


 お開き、なんだけど。


「じゃ、また来週ねー」


 ターミナル駅の乗り換えで、一年生は、別の路線へ。


「はい、お疲れ様でした」


 エリ先生と、先輩たちは、あたしと同じ路線。


 若干。


 どころか、結構、気まずい……。


 ほぼ、会話もなく。


 車窓を流れる景色を、眺めていたら。


「あ」


 おさげ男先輩が、不意に。


「どうした、ツグオ?」


「あぁ、いや、あの子たち、グッズは買ったけど、制服……」


「あ」

「あ」

「あぁあ」


 あー。


「体格変わっちゃうから、そのままじゃ制服、入らないよねぇ」


 そうでした。


 先輩たちは、グッズを装着した状態で採寸して、それ用の制服を別に作ってたっけか。


 あー。


「って事は、あたしも……」


 はい、肩幅広げたら、今の制服じゃ入らないですね。


 多分……。


「あれって、雪枝さんのお店で作れるんだったっけ?」

「そうだぜ、雪枝さんとこで採寸して貰って作るしかねぇな」


「さすがにそこまでは活動費出ないわね……」


 この人たちは、まったく。


 計画性が無いと言うか。


 まぁ、あたしも全然気付いてなかったんだけど、ね。


 とりあえず母さんに相談してみよう。


 でも、そんなネタみたいな話で、費用出してもらえるだろうか……。


 あたしの場合、最悪はアルバイト代で。


 あの子たちはどうすればいいやら。


 なんて。


 考えてたら、気まずさは、少し軽減されたものの。


 やがて、あたしの最寄り駅。


 一瞬、このまま先輩たちに、引き止められて拉致されるかとも思ったけど。


 さすがに、そこまでは、無く。


「じゃあ、あたしはこれで」


「おう、お疲れ、おかーさん」

「お疲れ様です、お母さん」

「気を付けてな、母上」


 先輩たちに見送られ、ひと足先に電車を降りて。


「沙綾さんによろしく」


 エリ先生にも、見送られて。


「はーい、お疲れ様でした」


 何か、特別なことがあるか、起きるか、なんて、不安や期待もあったものの。


 普通に過ごして、普通に、帰宅。


 はふ。


 疲れた……。


 精神的に。





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