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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
新学期・新八時間目
327/349

第327話:男子に慣れるために先ずは男装女子から



 入学式でも男子と誤認された、ぱっつん子先輩。


 あたしのせいじゃないとは思うんだけど。


 ここでもあたしが、女性らしいみたいな話になって、ごめんなさい。


 男装して戻って来たぱっつん子先輩は。


 時間的にウィッグまで着ける暇がなかったのか、髪は乱暴にまとめて襟の中へ。


 そして、ちょっと乱暴に、席に着く。


 そんなぱっつん子先輩を、見た一年生たちは。


「男装、ですか……」

「スラックス、かっこいい」

「ぉお、なんかそれっぽい!」

「…………」


 九ちゃんだけは特に何も反応ないみたいだけど。


 おおむね、好評?


「ふっ」


 多くは語らず。


 普段のお嬢様気質とは、真逆に。


 乱暴と言うか、乱雑な座り方。


 足を組んで、背もたれに片腕をかけて、ふんぞり返ったような姿も。


 男らしさの、模倣。


「あー、そういえば園田さんを女らしくって言うのと並行して、女子の方も男装して男性を理解しようとかもやってたわね」


 思い出したように、エリ先生。


「なるほど、それは思い付きませんでした」


 男子が苦手だと言う、一年女子も。


「あれって、誰が言い出したんだっけ?」


 振り返ってみると。


 そういえば。


「山田くんか森本くんあたりでしたねぇ」


 ちょっと記憶があやふやだけど、確か。


「先輩たちが男子に慣れるようにって、あたしの中学の時の男子の友達と色々……」


 色々。


 遊んでた、と言ってもいいんだけど。


「色々と一緒に活動してたのよ」


 一応。


 八時間目の、延長線ってことで。


 エリ先生も当時を思い出したのか。


「そうね、一年女子のふたりのためにも、また協力してもらいましょうか」


 などと、おっしゃいますが。


「ふぇえ、男子と……」

「男子と……」


 上谷(かみや)さんと下谷(しもたに)さんは。


 まだ男子は怖いかな。


 そんなふたりに、七種(さいくさ)さんが、率先して。


「先ずは、男装した先輩たちや、あたし達に慣れてからってところかな?」


 九重(ここのえ)さんも続いて。


「そうですわね。いきなり本物の男性となると敷居が高いかもしれませんわね……でも、困りましたわね……」


 そう、七ちゃん九ちゃんの二人も。


 男子要素皆無だからなぁ。


 まだ、先輩たちの男装の方が、男子っぽい?


 本人たちも、その自覚はあるようで。


「いいじゃん、あたしたちも男装、してみようよ」

「なんですの、それ……意味わかんないですわ」


 トランスジェンダー女子が、女子として、男装する。


 うん。


 たしかに、意味わかんないよね。


 七ちゃんは、さらに。


「まきばのみどりちゃんも、みどりちゃんも一緒に、男装、してみようよ」


 急に振られた上谷さん下谷さんは。


「ふぇっ、あたしが男装、ですか」

「わたしが、男装……」


 多少、戸惑う、けど。


「んー、でも、あんな風に変われるなら」

「そうね、何か、変わる、変えられるきっかけになるかも?」


 そんな風に、前向きに。


 一年生を、後押しするかのように。


「ぉう、これもなかなか、悪くはないゼ」


 ぱっつん男先輩も、男装のまま、クールに決めれば。


「うよーし、じゃあ今度はウチも男装見せちゃる」

「そういえば、ここ最近、やってなかったわね。久しぶりにやりますか」


 金髪子先輩とおさげ子先輩も、乗り気。


 流れ的には。


「じゃあ、去年は園田さんの女装から始まったけど、七種さんも九重さんもその必要はなさそうだし、一年生の男装から始める事にしましょうか」


 エリ先生が、まとめに入る。


 そして。


 実は、ここに本物の男子が居るって事を。


 すっかりお忘れのご様子な、方々。


 嬉しいやら、悲しいやら。


 まあ、女装した男子が男装するとか、意味わかんないし、いいか。


 そう言えば、男装した女子先輩が、女装もしてたっけか。


 うん。


 ますます意味がわからなくなるから、下手なことは言わずにおこう。


 また、ヤブからヘビとか、もっと怖いものが出て来たら、ヤだ。





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