第322話:休日にひとりぼんやり写真を眺めてみたり
週末の、休日。
土曜日、母さんはいそいそとお出かけ、お泊り。
エリ先生との交際? も、何気に順調なご様子で。
エリ先生が頻繁に家に来たり、泊まったりするのは色々と問題。
なので、母さんがエリ先生のお宅へ、って感じかなー。
そうなると、ひとり、お家に取り残される、あたし。
お気楽と言えば、お気楽に、のんびりと、ぼんやりと、過ごす。
ちゃんと、家事とか、宿題とかはやった上で、だけど、ね。
んー。
暇だったので、ここ最近のメッセージのやりとり、特に送られてきた写真なんかを見返してみたり。
変わらず、仲良く幸せそうな、山田くんとミツキさん。
変わらずと言えば、男子の面々も、なんだけど。
大きく変わったのが、川村くん……川村ちゃん。
本当に、女装して通学し始めたって。
レイちゃんや雪人さん、それにあたしの影響もあって。
写真を見るかぎり、お花見で会った時より進化してるっぽい。
学校ではちょっとした騒ぎになったみたいだけど。
そもそも、ふたりの通う工業高校は、授業はだいたい、学校指定の作業着な事が多いらしく、そんなに違和感は無かったみたい。
なるほど、そこも見越して、って事だったかもしれず。
雪人さんファミリーも。
こうやって、並んでる写真からは、その幸せがにじみ出てる。
母ふたり、子ふたり、孫ひとり、いや、アカネさんのお腹にもうひとり、か。
少し変わった家族構成、なんだけど。
これって、場合によると、あたしの家も近い状態になる可能性が、無くも無く。
母さんとエリ先生が、どうなりますやら?
家族、と、いえば。
ユイナおねえちゃんは、あの後無事に実家に帰り着いて。
当たり前と言えば、当たり前なんだけど。
昨今の、交通事情を鑑みれば、もらい事故とか、怖いもんね。
もうひとりの、叔母さん、サヤカさんには、しばらく会えてないなぁ。
母さんとエリ先生の事を知ったら、おじいちゃんおばあちゃん、それに叔母さんたち、どう思うのかな?
あたしは、雪人さんたちの事を知ってるのもあって、特に反対とか拒絶したりとかするわけじゃないとしても。
他の人は?
うーん。
こればっかりは、ね。
それから。
お花見の時に撮った写真を、何気なくスライドして見てたら。
「河崎さん……」
思い出すと、少し恥ずかしい側面もありながら、ホンダさんのお仲間の中では、いちばん印象に残ってる、お姉さん。
あ、いや、強烈な関西弁のお姉さんとか、母さんのライバル(?)だったお姉さんとかも、別の意味で印象に残ってたりはするけど。
あの迷彩服のおばあさんも、すごかったよね……。
そんな中でも、河崎さんのことは、なんか、なんだろう?
折に触れ、思い浮かんでしまうのは、何故なんだろう。
身長も同じくらいで、同じお団子頭で。
物静かで、物腰柔らかく、でも、情熱的なところもあったり。
ほんのわずかなやりとりだったにも関わらず。
中身的には、ある意味、濃厚だった、って事なのかなぁ。
それから。
三人の、先輩たち。
金髪子先輩。小坂ミリィ先輩。
おさげ子先輩。中原ツグミ先輩。
ぱっつん子先輩。大里サクラ先輩。
エリ先生も含めて。
『八時間目の特別授業』の、メンバー。
なんだ、かんだ、一年間。
一緒に、色々。
最初は、とっつきにくい感じもあったけど。
なんか、すぐに打ち解けてたような?
来週から、新たに一年生も参加する事になる。
七ちゃん、九ちゃんのトランスジェンダー女性の他に、男子に慣れていない女子も、ふたり。
女子ふたりは全くどんな子かわかんないし。
七ちゃん、九ちゃんも面接で会っただけだし、ね。
実際には、どんな子たちなのか……。
はて、さて。