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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
入学式ともうひとりの母さん
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第318話:迷子の迷子の真綾ちゃん



 母さんとエリ先生と、三人で夕食を終えて。


 少しくつろいだ後。


「じゃあ、あたし先にお風呂入るね」


 と、一旦リビングを離れて、自室に戻って、お着換えお風呂準備。


「あ、そう言えば」


 机の上の、お守り。


 例の、お土産を渡すの、忘れてた。


 母さんの分と、エリ先生の分もあたしが預かってたんだった。


 ちょうどいいから、今、渡しておこう。


 モノがモノだけに。


 渡さない方がいいかもしれないけど。


 あたしがずっと持ってても仕方ないし、ね。


 と、言う事で。


 お着換えとお守りを持って、リビングに戻って。


 盛り上がってるふたりに。


「ねえ、ふたりとも、ちょっと」

「ん、なぁに?」

「これ」


 ソファに対面で座る二人の前、ロゥテーブルにお守りを、()()()に置いて。


「この間のお花見の次の日、近くの神社に行ったの、その時のお土産だよ」

「お守り?」

「何のお守りだろう」


 ふたり、テーブルからお守りを持ち上げて。


「『家内安全』かぁ」


 エリ先生のは、まあふつう。


「火事もあったしなぁ……ありがと真綾(まあや)


 でも、母さんのは。


「『子宝祈願』……?」


 そりゃ、驚くよね。


「なんでまた、よりによって子宝!?」

「いや、実はですねー」


 かいつまんで、お守りガチャの話を簡単に。


「何それ、何だかなぁって感じね」

「ある意味、おみくじみたいなものかしら?」


「真偽はわかんないけど、まぁ、一応、渡しておくね」


「子宝……子供、かぁ……」


 エリ先生は、何やら妄想中?


「結婚したら、子供が欲しくなるかしら?」


 意外な事に、母さんがわりとストレートなご意見。


「女同士で子供って、どうやって?」


 もちろん、エリ先生も、素朴な疑問。


 そして、話がいかにも生々しくなりそうなので、撤退のために。


「そのあたりも含めて、雪枝さんと美里さんに相談してみたらどう?」


 って、ご提案。


「そうね、お二人にもご報告したいし、もっといろいろとお話もしたいわね」

「そうですね、そうしましょう、そうしましょう」


 はい、誘導成功。


「じゃ、あたしはお風呂入って来ますね」


 あ、あと、そうだ。


「先生、あんまり長居しちゃ色々まずいと思いますよ」


 一応、クギを刺しておきましょう。


「むぅ……はぁい、ママ」


 ぐはっ。


「ママ??」


 ほら、母さんが驚いてるじゃない。


真綾(まあや)ちゃん、最近女の子たちからお母さんって呼ばれてるらしいですよ」

「へぇ……そんな風には見えないけど?」


 そりゃ、母さんから見たら、子供だもの。


 自分の子供が母親に見えたら、何かおかしいです。


「はいはい、そういうわけだから、あたしがお風呂に入ってる間に帰って下さいよ、先生」


「そういうところが、お母さんっぽい」

「あー、確かに!」


 ぎゃー。


 ここに居たかっ、ヤブの中のヘビっ!


「ふんっ」


 ふたりの笑い声を背に。


 お風呂場へ向かう。


 楽しそうで、いいな。


「ふふふっ」


 ふたりが楽しそうだと、あたしも楽しくなってる、かな?


 このまま、楽しいままで居られれば、いいな。



 でも。



 まだ、お試しで、正式なお付き合いじゃないとしたら。


 もしかしたら。


 破局?


 なんて未来も、あるかもしれない。


 気まずくならないように、円満になら、良いけど。


 今回の場合、女性同士だけど。


 交際とかって。


 そういう、浮き沈み、あるんだろうねぇ……。


 そんな事を考えつつ。


 お風呂ルーティン。


 脱衣所で、着ているものを、脱ぎ脱ぎ、脱衣して。


 浴室へ。


 身体を洗って、ムダ毛のお手入れをして、下着を手洗いして。


 浴槽どぼーん。


 いや、実際には、そんなに勢いよく入るわけじゃないけど。


「はふぅ」


 いやはや、まったく。


 どうなることやら……。


 全く無関係な事じゃないから、あたしも色々、意見、言った方がいいのかなー。


 高校卒業して、大学に進学するとして。


 この家を出て、下宿とか、独り暮らしして、ふたりっきりにしてあげた方がいいのかなー。


 とかも、考えるけど、ふたりに相談はしないといけないだろうし。


 それもあるけど。


 大学……進路、かぁ。


 うーん。


 何がやりたいのか、何をすべきなのか?


 あと。


 女装、続けるのか、高校で終わりにするのか?


 あたしは。


 どうしたい?


 どうする?





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