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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
入学式ともうひとりの母さん
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第317話:母、帰還。先生、撃沈す



 ふっふっふ。


 してやったり、エリ先生!


 とか、遊びながら、晩御飯準備中の、あたしの後ろで。


「でも、三人で温泉旅行かぁ……新婚旅行に子供連れって言うのも、悪くはないのかなぁ……」


 復活したエリ先生が、何やら妄想を膨らませてらっしゃる模様。


「ほら、先生、食べるんだったらちょっとはお手伝いしてくださいな。食器出してもらえますか?」


 料理の方は、ほぼ出来たので。


 そろそろ、母さんも帰って来る頃だし。


「はーい、わかったー、真綾(まあや)ママー」


 おぃ。


 しまった。


 やり返された。


 しかも、ママですか……。


 金髪子先輩でも、おかーさんなのに。


 ある意味、エリ先生が一番幼かったり?


 あぁ、女児向けアニメのコスプレとか。


 ある意味、幼いかもしれないけど。


 コスプレって、ある意味、大人な趣味だよねぇ。


 そういえば、趣味と言ったら。


 結婚にあたって、そこらへんの趣味の部分とかの相性って、どうなんだろう?


 母さん、特に趣味と呼べるようなのって、無かった気が。


 ただ。


 例の女児向けアニメは、母さんも観てたりするし。


 話題的には、共通、とも言えるのかなぁ。


 老婆心ながら。


 そこらへんの話も訊いてみたい気も、しなくは、ないけど。


 あんまり、首突っ込むのも、色々、藪から蛇が出て来そうな気もするし。


 毒蛇とかだったら、怖いもんね。


 そして、ちょうどエリ先生が食器を並べ終えて。


 あたしの料理も、完成。


 したらば。


「ただいま。沢田先生いらしてるのね」

「お帰りなさい、沙綾(さあや)お姉様っ」


 帰宅した母さんに、エリ先生が、飛びついて。


 え。


「ん……ダメよ、エリちゃん、真綾が見てるわ」


 いや、一瞬で視線そらしたけど。


 ちらっと。


 ほっぺじゃなくて、お口に。


「てへっ」

「もぉ、てへ、じゃないでしょ」


「あー、やー、あー、うー、あー、あー」


「なんか真綾が壊れて変な音を出すお人形さんのように」

「ほら、真綾にはまだ刺激が強すぎるから、めっ、よ」

「はい、ごめんなさい、お姉様」


 嫌な予感は、的チュウするもの。


 いや、何言ってんだ。


 イチャイチャを見せつけられることにもなるかなーとは思ったけど。


 いきなりかよっ!


 ぉぃぉぃ、だよ、まったく。


 それにしても。


 何、この、急展開。


 なんで、この短時間で、ここまで?


 ほんと、何が、あった??


 混乱は、すれど。


 目の前の、ほかほか、ご飯。


「と、とりあえず、ご飯にしましょう。冷めないうちに」

「はーい」

「すぐに着替えて来るわね」


 お着換え母さんを、少しだけ待って。


「いたーだきまーす」


 母さんと一緒で、嬉しそうな、エリ先生。


 母さん自身も、いつになく。


 うーん。


 これは、まだまだ()てられるんだろうなぁ、と、思いつつ。


 もしゃもしゃ。


 今夜は、お魚、ブリの照り焼き大根に、和風サラダ。


 和え物は漬物や、作り置きの小皿をいくつか。


 さすがに、漬物を家で漬けてはないので、スーパーのパッケージだけどね。


 時間ができたら、趣味でそういうのもいいかもしれないけど。


 今は、そこまでは、ね。


 と。


 イチャラブなふたりから、気を逸らしてはいるものの。


「やっぱり、同棲はダメですか? お姉様」

「ええ、真綾が学校に通ってる間は、ね」

「ですよねぇ……」


 うむ。


「交際を公にするにしても、真綾の卒業後、ね」

「ですよねぇ……」


「あと」

「はい?」


 ん?


 母さんが、何やら言いたそう。


「お姉様もやめて頂戴。変な場所でその呼び方しちゃったらマズいわよ?」

「あー」


 うむ。


 当然と言えば、当然。


 教え子の保護者に『お母様』ならいざ知らず、いきなり『お姉様』は。


 ヤバすぎです。


 でも、さすが母さん。


 押さえるところは、しっかりと。


 それでも。


「真綾が無事に卒業するまで、待って、ね?」


 飴と鞭?


 本質的には、優しい女性(ひと)、よね。


 あたしの母さん、って。




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