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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
入学式ともうひとりの母さん
312/349

第312話:どの子が男子でSHOW



 新年度、新入学生の、入学式にて。


 校長先生や先生方、それに生徒会の挨拶が、終わって。


 八時間目の特別カリキュラムの活動やメンバー紹介って事で。


 講堂の、舞台、壇上へと。


 エリ先生を筆頭に、金髪子先輩、おさげ子先輩、あたし、そしてぱっつん子先輩の順に並ぶと。


 生徒会長が、話しはじめる。


「昨年入学した本校初の、そしてたったひとりの、男子生徒」


 はい、あたしの事ですね。


 でも、生徒会長は、あたしの方は全く見ずに。


「そして、小中高校と、ずっと女子校で、男子に慣れていない、三人の女子生徒」


 先輩たちですね。


「さぁて、校長先生や先生方のお話に少し退屈してきたかと思いますので、ここで皆さんにクイズを出したいと思います!」


 ばばーん、と。


 大きくもなく、小さくもない、効果音。


 あぁああ。


 この生徒会長、と言うか、生徒会。


 またなんかやる気だ。


 背後が少し明るくなったと思って、ちらっと振り返ってみたら。


「この四名の生徒の中で、どの子が男子でしょうか?」


 って、生徒会長が言った台詞が、スクリーンに映し出されてますね……。


 一瞬、先輩たち、それに先生とも顔を見合わせて。


(聞いてました?)

(全然、聞いてませんよ)

(聞いてねえですわ)

(初耳~)

(またやらかしてくれたわね、生徒会……)


 言葉は無くとも。


 視線、表情、身振りで、そんな会話モドキ。


 実際、リハーサルとか、事前の打ち合わせでは、全く聞いてなかったし。


 会場の新入生も、その保護者の方々も。


 戸惑って、ざわついてますやん、生徒会長さん……。


 でも、校長先生はじめ、先生方も止めようともしてないって事は。


 知らされてなかったのは、あたしたちだけかーっ!?


 むぅ……。


「じゃあ、金髪のこの子が男子だと思う方は、拍手をお願いします!」


 生徒会長が金髪子先輩の後ろに立って。


「保護者の皆さんも、是非ご参加下さい!」


 生徒会のメンバーのひとりが、ビデオカメラを回してる。


 スクリーンには、金髪子先輩が、どあーっぷ。


 でも。


 ぱち……ぱち……。


 か細い拍手が、少しだけ。


「おやおや、少ないですねー」


 そりゃ、男子か女子かとか言う前に。


 この状況で拍手できますかね?


「では次の、こちらのおさげの子が男子だと思う方、拍手を!」


 生徒会長が横に移動して、今度はおさげ子先輩の背後へ。


 カメラもおさげ子先輩に、シフトして。


 ぱちぱち……ぱちぱち……。


「むむー、少し拍手が増えましたかねー?」


 確かに、少しは?


「では、こちらのお団子頭の子が男子だと思った人は拍手をー!」


 あぅ。あたしだ。


 カメラで撮られて、背後のスクリーンに大映しされてると思うと。


 は、恥ずかしい……。


 うぅ。


 そして、皆さんの反応は、と言うと。


 ぱちぱち……ぱちぱちぱち……。


「おっと、おさげの子と同じか少し多いくらいでしょうか?」


 さいですか……。


「それでは、こちらぱっつんロングの子が男子だって思う人は拍手をお願いします!」


 ぱちぱちぱち、ぱちぱちぱち。


 あぁあ、一番、大きな拍手。


 ちらっと横目で見たら。


 女子なのに、男子に見られた、ぱっつん子先輩。


 膝から崩れ落ちそうになってますやん。


 これ、自分だったら泣くよ?


 あぁ、いや、あたしは正解の男子だから、別に泣く必要は無いか。


 ぱっつん子先輩は、それでも、ぐっと耐えて。


 うん。


 どんまい! ぱっつん子先輩!


「はい、それでは、最後、こちらの私服の子は!」


 え?


 生徒会長とカメラが、ささっと、端っこに移動して。


 エリ先生も?


「あ、失礼しました、こちらは担当顧問の先生でした! 先生は女性です!」


 ちゃんちゃん。


 予定通り、って事なのか。


 さすがと言うか。


 ちゃんと効果音まで用意されて。


 ちゃんと会場の笑いを取ってますやん。


 やるな、生徒会!





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