第310話:入学式に呼ばれています
ほんと、なんか、もう、いろんな事があった昨日今日。
お泊りやら車での移動とか、普段の日常とは異なるイベントがあった上に。
母さん。
ホンダさんとの関係、元の実家との関係、そんな話の後に。
エリ先生と、お試しお付き合いをはじめる、とか。
雪枝さん、美里さんの話がきっかけになってるのは、間違いないみたいで。
実際に、幸せそうなふたり、そして、その家族を見て。
憧れめいた想いを抱いたんだろうなぁ、と、推察できる。
あたしが、とやかく言うものでもないだろうし。
仕事はどうするのかと、思ったけど。
今の仕事を続けるみたい。
ホンダさんとは。
家の繋がりに問題はあるとは言っても、母さん自身が気持ちを切り替える事ができた事もあって。
仕事上の、ホンダさんご本人との関係性は、変わらず、変えず、とのことらしい。
逆に、恋慕の情が消えた事によって。
仕事に専念できる、とも。
んー。
そういうもの、なのかなぁ。
そんな母さんたちの事は、また、追い追い、って事で。
今は、自分の事。
春休みも、もう、終わり。
春休み明け初日に、始業式が予定されてる。
でも、その前日に、新一年生の、入学式。
入学式は、本来なら、あたしたち新二年三年は不参加なんだけど。
呼ばれた訳ですね。
八時間目の面々が。
やはり、昨年から今年にかけての、この学校、東雲女子高校の目玉的な話題として。
男子の在校状況や、新入生にトランスジェンダー女子が居る事など。
その中でも、男子であるあたしの存在を、あらかじめ知っておいてもらうための、お披露目、だとか。
いらねー。
って、思ったりもするけど。
いらぬトラブルにならぬよう。
特に、入学式に参加する新入生の父兄への、アピール。
男子が居ても、問題ないよー、って、安心してもらえるように、だとか。
そこで、八時間目の活動なんかも、少し紹介しておくって事みたい。
例の七ちゃん九ちゃんは、八時間目に強制参加として。
男子に慣れない女子を募集する意味合いもある感じかな。
多分。
なので、あたし、それに先輩たちも、入学式に参加して、壇上に立つ事になるらしい。
基本的な説明とかは、先生や生徒会の人がやってくれるので、あたしたちは、立ってればいいって事なんだけど。
一応、ひとこと、自己紹介的な挨拶はしてくれって。
なんだかんだと、何度か、似たような事はやらされてきたので、出来るとは思うんだけど。
やっぱり、緊張はするよね。
そんな、入学式の、当日の、朝。
「先輩方、なんで学校じゃなくて、あたしの家に集合なんです?」
「いやー、九時集合でしょ? ちょっと早く来すぎたから、ちょっと立ち寄ってみた感?」
「まあ、いいですけど……」
相変わらずと言うか。
入り浸られてるな、あたしん家。
ぶつくさ、言いながらも、お茶にお茶うけを出したりなんかして。
「じゃあ、真綾、仕事行ってくるわね。皆さんもごゆっくり。入学式、がんばってねー」
先輩たちと入れ替わりに、母さんご出勤。
「はーい、沙綾さん、ありがとー、行ってらっしゃーい」
「沙綾さん、お気を付けて」
「沙綾さん、ありがとうございます、お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「母さん、行ってらっしゃい」
「んふふ、なんだか、娘が増えたみたいで楽しいわ。じゃあ、行ってきまーす」
なんて。
四姉妹なら、あたしが末っ子かー。
いや、そうじゃなくて。
末っ子でも長男だぞー。
と言うか。
「かーさん、お茶おかわりー」
「わたしもわたしも、お母さん」
「あ、お母様、わたくしがお茶、煎れますわ」
うん、まだ母親だった罠。
※本日の公開は以上となります。明日からも引き続きよろしくお願いいたします。
(さぁ、これで、カクヨムとの話数差が、ちょっと減って来たぞー。カクヨムの方では、毎日更新できずに、何日かお休みしてたりするのでw)