第306話:真綾改造計画
お花見バーベキュー大会が終了し。
金髪子先輩の別荘に一泊してからの、帰路。
シズさん運転の車で、走行中。
何やら、会話の雲行きが怪しくなって来た。
結婚はいいとして、子供が欲しいとか、何気に生々しいお話に。
なので、ここは寝たフリを決め込んじゃうのが、吉。
幸い、あたしは後部座席の左端なので、窓に寄りかかって、お寝んね。
後部座席は、真ん中に金髪子先輩、右端はおさげ子先輩で、体格的なバランスを確保。
ちなみに、来る時は、真ん中におさげ子先輩で、左右に金髪子先輩とエリ先生だったそうです。これも、ナイスバランス。
助手席のぱっつん子先輩は、行も帰りも変わらず。
シズさんは運転中なので、もちろん、前を向いて。
「わたくしもお嬢様方と同じで、男性の知り合いがほとんど居りませんので、どなたか、と、なりますと、そうですね……」
お話だけは、粛々と。
「あら? 真綾様は、お休みでしょうか?」
って、急に振られるっ!?
あぁ、バックミラーで、あたしの様子が見えたのかな?
もしくは、ちらっと振り返ったかな?
後部座席の左側だから、運転席からだとちら見で確認できるもんね。
「多分、タヌキ寝入りじゃないかな? つんつん」
「うひゃぁあ」
「ほらね」
「うぅ、ミリ先輩……」
脇腹、弱いんですよぉ。
「パパとママに相談して適当な人、探してもらう?」
話をそらさないで、と、言うか。
あたしの事はさておいて、本題を続ける気、ですね。
「そうですね、最終的にはそれが一番確実だとは思いますが……」
「シズは、やっぱり、真綾がいい?」
「はい、できれば」
…………。
やっぱり、寝たフリを続けるべきだった模様。
今からでも。
「だって、おかーさん、どうする?」
いや、だから、そんなの、振られてもぉおおおおおお。
それと、金髪子先輩。
同意書無しで、ぺたぺた触るのやめてー。
しかし。
「あ、や、ま、その、えと、あの……」
どう回答すれば?
冗談だとは思うんだけど、でも。
夕べの、シズさんの行動と言うか、挙動と言うかを思い出すと、ちょっと。
あたふたと、していたらば。
その、当のシズさん自身が。
「なーんて、そんな事言ったら、沙綾様に怒られそうですよね」
逆に、助け舟?
しかも、普段とキャラクターがちょっと違ってる。
もう、どこまで冗談なのか、わかんなくなって来たよぉおお。
でも。
「あー、そっかー、そりゃそうかー」
「そりゃ、沙綾さんは黙ってないでしょうね」
金髪子先輩と、おさげ子先輩も、同意してくれて。
ほっと、ひと息?
と、思いきや。
「バレなきゃ大丈夫ですわよ、タブン」
前席、助手席のぱっつん子先輩から、またもや爆弾発言。
「でも、おかーさん、隠し事下手そうだしなぁ」
「そうね、お母さんってば、今も、真っ赤になって恥ずかしがってるし」
「先ずはそこから、ですかしら、ね」
うぅ。
完全に、遊ばれてしまっている。
「そうそう、それもあるし、やっぱ例の同意書だよ、同意書」
「あれを改良して、お母さんにもう少し積極性と自信を付けさせないと」
「ですわね。お母様改造計画、ですわ」
などと。
遊ばれているのか、心配されているのか。
まぁ、両方、なんだろうなぁ、と。
良い風に、解釈しておくしかないのかな。
改造計画とか、ちょっと心配だけど。
性急な話ではなさそうだし、大丈夫かな。
それにしても。
女の子。
女性。
恐るべし?