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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
別荘の朝~まだまだ帰れない
305/349

第305話:シズさんが語る



 エリ先生への、お土産として。


 例のお守りガチャを、もう一度だけ。


 いや、まあ、他の人たちへのお土産を名目に、何度か回してもいいのかもしれないけど。


 六台あったガチャガチャマシンを、すでにそれぞれ一回づつ回したわけですが。


 安産祈願が一個に、子宝祈願が五個。


 さて、では、七個目は?


 またあたしに振られるかと思ったけれど。


「おかーさんだとなんか次も絶対に子宝な気がしてきた」

「ここはシズさんで良いのでは?」

「そうだね」


 先輩たちも自力で子宝を当ててるし、ね。


 そういう訳で、帰路につく前に、少しだけ寄り道って事で。


 つい先ほど、徒歩で往復した道を、車で、ぴゅーん、と。


 往復して、また別荘まで戻る事にはなるけど、前を素通りして、今度は本当に、帰路へ。


 帰路の車中。


「エリちゃんにはもってこいだよね、これ」

「火事に遭ったばかりだもんね」


 はい、と、言う事で。


 シズさんが回した、エリ先生へのお土産は。


 『家内安全』


 あるやん、他のも。


 そして、それは、つまり。


「と、すると、やっぱり、必要なモノが必要なヒトに、って事なのかなぁ」


 金髪子先輩の、感想に、おさげ子先輩が。


「そうなると、シズさんも含めて、わたしたち全員……」


 そんな、自虐ツッコミとも取れる、感想返し。


 さらに、ぱっつん子先輩のするどいツッコミが返って来るかと、おもいきや。


 何故か、黙り込んで、手に持ったお守りを見つめる、ぱっつん子先輩。


 代わりに。


「お嬢様たちはどうか存じ上げませんが、わたくしの場合……」


 車を運転しながら、シズさんが、何やら語り出す。


「昨日、雪枝(ゆきえ)様や美里様のお話を伺いまして……」


 え。


 雪枝さん美里さんと、言えば。


「夫は要らずとも、子は欲しい、なるほどと、感銘を受けておりましてですね……」


 そう、だから、雪人さん、アカネさんには、父親がおらず。


 アキラくんには、おじいちゃんが、おらず。


 母さんの場合は、経緯が違うとしても、結果的に状況としては、同じ。


 それにしても。


「え、シズさんって結婚されてないんですか?」


 素朴な、疑問。


 てっきり、旦那さんも居て、子供さんも居そうな佇まいかと。


「はい、独り身でございます」


「ずっとウチで住み込みで働いてるし、そういう機会も無かったもんねぇ」


 金髪子先輩の、フォロー。


 なるほど。


「実は、旦那様から縁談のお話も頂いた事はあるのですが」

「え? そうだったの?」


 その金髪子先輩も、初耳の、お話のようで。


「はい、もとより、若い頃に幼いお嬢様のお世話係として雇われまして」

「それは聞いてた知ってたけど」


「お嬢様が大きくなられて……あぁ年齢的に、ですが」

「ぉぃ、シズ、何が言いたい?」


「はい、お嬢様の手がかからなくなって、ですね」

「スルーしやがったーこんちくしょー」


 コントかな?


 漫才かな?


 そんなシズさんの、お話によれば。


 金髪子先輩の家では、数人の家政婦さんを雇っているらしいんだけど。


 金髪子先輩のお世話がメインで、その手が離れる頃に、金髪子先輩のご両親に縁談をすすめられたらしい。


 ただ、同じ頃に、別の家政婦さんが退職されるとのこともあって。


 その跡を継いで、家事メインの方で継続して働く事になって。


 結局、お仕事に注力とのことで、結婚はしなかった、見合わせていたんだって。


 ちなみに。


 和装は、金髪子先輩のお母さんの趣味らしい……。


 ある種の、お仕事用の制服? みたいな感じで、着させられてたんだって。


「前々から、子供は欲しいとは思っていましたが、結婚は全く考えておりませんでして」


 あぁ、それで。


「雪枝様美里様のお話も伺って、それに……」


 もうひとり。


「経緯は異なれど、園田様……沙綾(さあや)様もおひとりで子育てをされていらっしゃいますし」


 昨日は、女装男子が集まってたのも珍しいけど。


 未婚の母が揃っていたのも、また、珍しい?


「そっかー、それで、結婚はしないとしても、誰の子供をって問題は残るよねー」


 うわー。


 金髪子先輩。


 さすが女子?


 生々しいツッコミですね。


 よし。


 寝たフリして、聞いてないことにしよう。


 うんうん。








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