第304話:七個目お守りチャレンジ
坂を下ること、小一時間。
別荘へと帰り着いて、玄関開けたら。
「大変、申し訳ございませんでした!」
シズさんが、土下座しておられまして。
金髪子先輩が直接の雇い主ではないかもだけど、雇い主のご息女、お嬢様、ともなれば。
シズさんとしても、申し開きが立たず、と考えても、無理はない。
ただ、金髪子先輩が、シズさんを責めるわけも無く。
「夜更かしは、メっ、だけど、誰だってやらかす時はやらかすし、気にしないでいいよー」
「お嬢様……恐れ多いお言葉、有難く存じ上げます」
普段のシズさんも礼儀正しいけど、なお、更に、って感じ?
「まーまー、シズだって女なんだし、わかるよー。帰ったら機種変更しに行こうねー」
金髪子先輩、それは……。
あぁ、優しさは、ある意味、罪。
「お嬢様、重ね重ね、有難き幸せ」
あら?
シズさん?
旧型の端末の見づらい画面で、一体、何を熱心に見られていたのか。
あまり想像は、したくないと思いつつ。
うぅん。
そういう事、だよねぇ、やっぱり。
ますます。
女性の方が、って言う話に、信ぴょう性が。
野郎どもも、たいがいだけど。
ある意味、それ以上に?
かなぁ。
「それより、お昼ごはん、お昼ごはん~」
「あ、はい、すぐに」
正座から、すくっと立ち上がれるのは、慣れなんだろうか。
あたしだったら、足がしびれてすぐには動けないだろうなぁ。
そこら辺は、さすが、シズさん?
それから、すぐ。
シズさんの用意してくれた、お昼ご飯の、あとの、くつろぎタイム。
「はいこれ、お土産」
金髪子先輩が、例のお守りを、シズさんに。
「ありがとうございま……す?」
さすがに。
お守りに書かれた文字を見て、目が点になる、シズさん。
「いやー、実はねー」
金髪子先輩が、シズさんに、事の成り行きを、説明。
シズさんの分も含めて、先輩たち、それに母さんへのお土産も。
「なるほど……しかし、あそこに祭られている神様はそういった偏った神様ではなかった気がしますし、それに」
シズさんも、過去には何度か訪れた事はあるらしいけど。
ここ最近は、行ってなかったらしく。
「そんな面妖な機械が入っているとは……」
面妖。
確かに、言いえて妙だけど。
神社にあるまじき、って感じは、するよね。
おみくじなら、いざ知らず。
不思議に思って調べてみたらば。
ガチャガチャ本来の、おもちゃとしてのパロディ的なお守りは、あるけど。
本物は、さすがに、ここの神社独自、なのかな。
一方、本物のお守りの自販機そのものはあるみたいで、そちらは普通に、目的のボタンを選んで買うタイプの模様。
そりゃ、そうだよね、普通……。
謎は、深まる。
さらに言えば、なんで子宝連発だったのか、も。
うーん?
「あら? そうしますと、エリ先生へのお土産は……?」
シズさんの、素朴な疑問に。
あ。
「あ」
「あ」
「あーっ!?」
ワスレテタ。
七人目の。
七個目の。
いや、でも。
「それだけのためにまたあそこまで歩くのか……」
「ここは誰か代表で」
いやいや。
「帰る前に車で立ち寄ればいいんじゃないですか?」
ご提案。
「なるほど!」
「その手があったかっ!」
「さすがっ! お母様っ!」
いや、それほどでも?
逆になんか。
煽られてる気がするのは、気のせい?
それは、まあ、いいんだけど。
エリ先生へのお土産を手に入れるべく、神社に立ち寄るのであれば、と。
早々に、帰り支度をととのえて、別荘を後に。
いざ、七個目の、チャレンジへ。