第301話:神社でお参り・お守りを買ってみる
結局、先に階段を上りきったのは、先行していた金髪子先輩おさげ子先輩。
わたしとぱっつん子先輩は。
「おかーさん、おそーい」
段数はさほどでもなかったけれど、わりと急な角度だったので。
ぜーぜー。
「はぁ、はぁ」
「手洗い場あるね、お清めしよー」
何をするにしても。
わりと、先陣の、金髪子先輩。
他のメンバーは、ぞろぞろと、それに着き従い。
「ふぇ、冷たっ」
湧き水そのものなんだろうか?
手洗い場の水は、すごくきれいで、冷たい。
そこで手を清めて。
「展望台は……神社の右手の方かー」
「先にお参りしない?」
金髪子先輩に、ぱっつん子先輩が提案。
「そだねー」
順番的にも、ね。
四人揃って、お参り。
お賽銭……五円玉が無いや。一円玉五枚か、五十円玉で代用するか?
悩ましいところだけど。
五十円で!
金髪子先輩が代表で鈴を鳴らして。
二拝二拍手一拝。
最後の一拝を、少し長く。
母さんのこと? 自分の将来のこと? 先輩たちの受験?
なんか、いろいろと、お願いしたい事が沢山ありすぎて。
五十円でも足りなさそう?
なんて。
「さーて、展望台行ってみよー」
先輩たちも、お参りを終えて。
右手にあると言う、展望台の方へ移動し始めたら。
「ん? あれは何だ」
金髪子先輩が目に留めたのは。
社務所と、その前にある、棚のようなもの。
社務所自体はシャッターが下りていて、今日は開いてないようだけど。
近寄ってみると。
「あぁ、これ、ガチャガチャだー」
なんと。
遠目ではわからなかったけど、なるほど。
枠が木目調で四角いのが並んでたから、棚のように見えたけど。
透明な窓の中に、まあるいカプセルが入っていて。
「なんと、お守りガチャ!?」
三列二段の、ガチャガチャ。
「へぇ、って、ちょっと待って、お守りのガチャガチャって……」
「おみくじなら解りますが、お守りって目的ごとに用意するものですわよね」
そして、おみくじガチャは、無い。
「なんか、攻めてるなぁ、この神社……」
うん。
ただ、お守りの自動販売機として考えれば。
目的のお守りが出るまで、回す?
いや、いや。
なんか、何もかもが、違くないですか?
「まぁ、何が出るか、みんなでやってみない?」
「いいですわね」
「やろうやろう」
先輩たちみたいなノリのいい人ばかりなら、いいですけど。
普通、怒られそうな、気もしますけどね……。
あ。
「五百円玉の両替機もありすね」
いや、ホント、商魂っ!
機械が六台あるので。
ひとりひとり、別々の機械を選んで。
五百円玉をセットして。
「じゃあ、行っくよー」
ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャっ。
ノブを回せば。
まあるい神社らしからぬパステル調のカプセルが、ころん、と。
「ウチのはオレンジのだなー」
「わたしは青」
「わたくしは白ですわね」
「あたしのは緑~」
色的には、好きな色で、よかったけど。
カプセルの透明な側からは、お守りの種類が見えないようになっている模様で。
カプセルを、開いてみないと、ってことで。
「さて、何のお守りかー」
かぱっ、と。
開けて、ビックリ。
「ぶほっ!」
「えー?」
「あら?」
いや、先輩方、その微妙な驚きは、一体。
そんなあたしのお守りは。
「おかーさん、何だった?」
言わずに。
出て来たお守りを手に掲げて。
「ぶっ! 『安産祈願』っ!」
「うわぁ、似たりよったり」
先輩方も、それぞれ、各々、入手したお守りを掲げると。
見事に。
三先輩、全員そろって。
『子宝祈願』
お互いに、お互いのを、見比べて。
ひと気の少ない、静かな境内に。
あたしを含めて、先輩たちの、大爆笑が。
響き渡る。
300話超えちゃいましたね……1話あたりの文字数が少な目とは、言え、書きましたねー。
カクヨムの方では、もうすぐ連載開始から、1年。
まだ、しばらく続く、予定です。新学期スタートくらいでいったん、終了にしようとは思いつつw
予定は未定w