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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
別荘の朝~まだまだ帰れない
300/349

第300話:神社へと続く道、そして階段



 金髪子先輩の別荘近く。


 近くとは、言えど、坂道を徒歩で小一時間。


 桜咲く山道を、お花見がてらのハイキングは。


 元来の計画には、無く。


 シズさんが起きて来ないための、時間つぶしの側面もありつつも。


 八時間目のメンバーで。


 あぁ、エリ先生は、昨日、母さんと一緒に先に帰って、今は居ないけど。


 そう言えば。


 母さんも。


 昨日、エリ先生とふたりで帰ったんだけど。


 よくよく考えて、みたら。


 あたしと一緒に帰るより。


 家に、ひとり。


 うん。


 昨日の事もあったし。


 母さんも、ひとりで考える時間があった方が、よかったかもしれない。


 それは、先輩たちか、シズさんか、それともエリ先生か?


 誰か、もしくは、みんなで相談して?


 母さんに配慮してくれたのかも、しれず。


 皆まで言わず、とも。


 なんとなく。


 このひとたち、あたしの周りのひと達の、優しさを、感じる事ができる。


 晴れ渡る青空に、咲き誇る、桜の樹たちも、また。


 同じように、優しい風を、届けてくれている。


 んが、しかし。


(あち)ぃ~」


 台無しですよ、金髪子先輩?


 あたしのこのいい感じのメンタルを返して?


 とは、言え。


 この、だらしなさも、また。


 先輩の、先輩たちの、良いところ。



 かな?


 おさげ子先輩も、タオルで顔や首回りの汗を、拭きながら。


「これもう、夏よね、夏。春何処行った?」

「はぁ、はぁ、んぐっぅ」


 体格がいいのが、災いなのか、ぱっつん子先輩は、すでに言葉にならぬくらいに苦しそうに。


 ペットボトルのお水も早々に飲み切ってしまってましたが。


 幸いな事に、途中のベンチ付近に自動販売機が置いてあって。


 そこで追加のお水なども、補充して。


 やっとたどり着きましたるは、小さな、神社。


 の、入口の、階段。


 これが、また……。


「さぁ、もう少しだー。あとはコレ(のぼ)るだけみたいよー」


 金髪子先輩が、おさげ子先輩とぱっつん子先輩に、トドメ?


 驚くような段数では、ないけれど。


 坂道を(のぼ)って来て、そこからさらに、ですもんね。


 かく言う、あたしも。


 ちょっと足が痛くなって来たかも。


「しょーがない、おかーさん、サクラ押してやって。ウチはツグミ押してのぼるわー」


 そう言って、金髪子先輩はおさげ子先輩の後ろのまわって、両手で背中を押して、階段を(のぼ)りはじめる。


「おぉっと、ミリィ、あんがと」


 体格差で考えると、金髪子(小)先輩がぱっつん子(大)先輩を押すよりも、おさげ子(中)先輩の方がって感じ?


 あたし(中)ならぱっつん子(大)先輩の方が、差が少ない?


 それは良いんだけど。


「お母様、よろしくお願いいたしますわ」


 ぱっつん子先輩も、その気なのか、あたしの前に立たれましても。


 これ、例の同意書とか作らなくて大丈夫ですかね?


「ほら、ふたり先に行っちゃいますわよ」


 あうぅ。


 女の子同士なら、そりゃ、気兼ねなく触れられるんでしょうけど。


 まぁ。


 前じゃないし、後ろだし。


 えぇぃ。


「じゃぁ、行きます、よ?」

「どんと来やがれ、ですわ」


 それでも、そぉっと。


 ぱっつん子先輩の、大きな背中に。


 ぴとっ。


 両の手のひらを、あてて。


 はわわ。


 背中なのに、なんでこんなに柔らかいのか。


 うぅ。


 それに、ぱっつん子先輩の、体温が、もろに手のひらに伝わって。


「どうしまして? もっとしっかり押して下さいな、お母様」


 後で文句言わないで下さいね?


 と、言うか。


 母親なら、娘にも。


 気軽に触れて、いいのか、な?


 えぇい、もう。


「い、行きますっ」


 少し力を込めて。


 腕だけじゃなく、足、腰も、使って、前へ!


 その勢いに合わせて、ぱっつん子先輩も、歩き出してくれるんだけど。


 あぁあ。


 当てた手の位置が、少し悪かったのか。


 手のひらの下の方が、当たってる。


 ブラのストラップと言うか、バンドに当たってるのが、わかっちゃう……。


 ひぃ。


「ほらほら、お母様、どうされまして? ミリィとツグミがどんどん先に行かれてしまいますわ」


 この状態で、負けん気を出さないで欲しいところですが。


 ご本人は、全く、気にされていない、模様。



 ならば。


 ここは、あたしも。


「わ、わかったわよ、サクラちゃん、追い上げます、よ!」

「はい、参りましょう、お母様っ!」





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