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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
別荘の朝~まだまだ帰れない
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第299話:歩き出そう



 先輩たちと一緒に、朝食を終えても。


 シズさん、現れず。


「明け方まで起きてたとしたら、まだまだ起きないかもなー」


 とは、金髪子先輩の、談。


「どうします?」


 何を?


 あたしも含めて、先輩たちも、シズさんに車で家まで送ってもらう必要が、あり。


 そのシズさんが運転、となると、体調も万全でないと、マズい。


 なので、無理やり起こすよりは、と。


 自然に起きて来るのを、待った方がいいだろう、って事で。


「ここで騒いだらシズもゆっくり眠れないだろうから、お散歩がてらお出かけしようかー」


 すでに結構、騒いじゃってたりしますけど、ね。


 金髪子先輩の提案に、ぱっつん子先輩が。


「お出かけって、どこへ行きますの? このあたり、何もないでしょう」


 疑問を呈するも、おさげ子先輩が、フォロー。


「あぁ、ちょっと上の方に神社があったような?」

「ふむふむ」


 各自、携帯端末で、検索してみると。


「確かに、少し先の方に神社がありますね。小さいですけど、展望公園みたいなところもあるみたいですよ」

「ほんとだ、じゃあ、ここ行ってみるかー」

「距離的にも、行って帰って、ちょうどお昼過ぎくらいだね」


 そんな感じで。


 さくっと、行動計画も、決まり。


 食後の休憩を少し挟んで、出発準備。


 準備と言っても、そんな大そうなものでは、なく。


「タオルは持ちましたか? この時期の日中、歩くとなると結構、暑くなって汗かきますよ。ペットボトルのお水かお茶もお忘れなく」


 飲み物も、必要だしね。


「あと、そうだ、シズさんが起きて驚かないように、書置きしておかないとですね」


 とか、言ったらば、おさげ子先輩が。


「やっぱり真綾(まあや)は、いいお母さんになる」


 などと、おっしゃいまして。


「まあやおかーさーん」


 金髪子先輩、だから、抱き着かないで。


 セクハラで訴えますよ?


 もぉ。


「お母様、準備整いましてよ。ささ、さ、参りましょう~」


 ぱっつん子先輩も、なにげにノリノリ?


 そんなわけで。


 リビングのロウテーブルの目立つところに、シズさん宛ての、メッセージも置いて。


 タオルは。


 金髪子先輩は、首にかけて。

 ぱっつん子先輩は、丸めて手に持って。

 おさげ子先輩は、左手に絡ませるように、持ってる。

 あたしは。

 デイパックのショルダーハーネスに、くくりつけておこう、かな。


 みんなデイパックに、ペットボトルの飲料も、入れて。


 まさかの、予定外のハイキング、スタート?


 別荘の玄関を、出て。


 玄関ダッシュ!


 は、せずに、のんびり、ゆっくりと。


 昨日、バーベキューもやった、お庭を通って、門へ。


 車も通れる広い門の脇の、扉から、外へ。


 別荘の庭も、桜の樹があったけど。


 外の道沿いにも、桜の樹が、ちらほら。


 幸い、お天気も、良く。


 ハイキングには、もってこい。


 道路も、山道、とは言いながら、それなりに広く、歩道もあって歩きやすく、安全。


 それでも、一応。


 前から後ろからやってくる車には、気を付けつつ。


 道路脇、それから、遠くにも見える桜を眺めながら。


 てくてく、てくてく。


 稀にすれ違う、おそらくは、ハイキングしてる、ひとたち。


 軽く会釈のご挨拶など、しつつ。


 てくてく、てくてく、てくてく。


 なんだけど……。


 目的地の公園、神社があるのは、坂を(のぼ)った、先。


 なので。


「ミリィもお母さんも、歩くの速い」

「もう少しゆっくりと参りましょう、お母様」


 早くも根を上げる、おさげ子先輩と、ぱっつん子先輩。


 すでに汗をタオルで拭き拭き。


「って言うか、お母さんって……」


 何気に、先輩たちのお母さんになってる、あたし。


 とほほ。


 それは、さておき。


 もともと、ハイキングコースのような道だったのか。


 途中に、ベンチも置かれていたりして、ちょこっと足を休めたり。


 元気な金髪子先輩はベンチには座らず、そのあたりをうろうろと歩き回って。


「あぁ、ほら、ミリ先輩、車道に出ちゃだめですよ」

「はぁい、ごめんなさい、おかーさーん」


 うぉおいっ。素直なのはいいんですが。お母さんは、やめて?


 その、金髪子先輩は、ベンチに座る他のふたりに。


「ほら、あんたたち、もちょっと体力付けた方がいいよ?」


 そう言ってのければ、ぱっつん子先輩が、言い返す。


貴女(あなた)は燃費がいいだけでしょう……」

「確かに、サクラは燃費悪そうだよね」

貴女(あなた)も似たようなものでしょう、ツグミ」


 あはは。


 この軽快な、やりとり。


 さすが、幼馴染、と言ったところ、かな。


 ちょっと、うらやましい感。


 微妙な参加方法かもしれないけど。


「さて、じゃあ行きましょうか」


 そう、声をかけて、また、歩き出そう。


「はぁい、おかーさーん」

「行こうか、お母さん」

「さあ、参りましょう、お母様」


 うぅ……。





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