第297話:別荘の朝、はじまる
イヤな予感、と、言うものは。
たいてい、当たってしまう、もの。
どれくらいの確率なのか、証明することは出来ない、とは、言え。
なんとなく、当たりがちな気は、する。
一夜明けての、朝に、目覚めて。
そう言えば、時間を決めてなかったかな、と思いつつ。
時計を見ると、そこそこ、いい時間。
普段なら学校へ行くような、時間帯。
とりあえず、お手洗いへ。
途中、リビングを通ると。
「シズさん、まだ起きてない、か」
なんとなくだけど、ボクらより早く起きて、朝食の準備とかしてそうな感じはあったんだけど。
「とりあえず、コレをなんとかしないと」
男だと痛感してしまう、させられてしまう、朝の生理現象。
幸い、先輩たちもまだ起きてないようなので。
そそくさと、お手洗いへ。
座って用を足して、しばらく、ぼぉっと、収まるのを待って。
その間に先輩たちが起きてくるかな? とも、思ったけど。
静かな、静かな、朝。
四月になったとは、言え、まだ朝はそれなりに、寒いんだけど。
トイレの中も空調が効いてて、あったか。
ぼぉっとしてると、また眠くなってしまいそう。
家のトイレも、こんな風にあったかくできないかなー。
夏のトイレも暑いし、空調欲しい。
でも、トイレって常時使う訳じゃないから、使う時だけお手軽にって、難しいかなぁ。
なんて。
くだらない事を考えていたらば、落ち着いてきたので、お手洗いを、出て。
うん、まだ誰も起きてないや。
洗面所で、ひと通りお肌のお手入れもして。
部屋に戻って、お着換え。
シズさんがまだ起きてないなら、ボクが朝食、準備しようかな?
そう、そう。
ボク。
パジャマが男物だったし、先輩たちとのやりとりで。
ボクって言ってたけど。
あたしに、戻ろう。
あまり気持ちのいいものじゃ、ないけど。
ブラやキャミは、昨日着けてたのでもいいかな。
ショーツどうしよう……。
むぅん。
日帰りとしても、替えの予備をカバンに入れておくべきだったか。
それか、お風呂に入った時に洗っておけばよかったか……。
次からは、万が一を想定して、準備しておかなくちゃ、な。
結局。
今履いている、男物のトランクスの方が、まだマシって事で。
どうせ、上を着たら見えないし、ね。
服も昨日のだけど、これはまあ、仕方ない。
消臭スプレーが置いてあったので、使わせてもらって焼肉の匂いを少しでも消しておこう。
さて、あとは家に帰るだけ。
シズさんに車で送ってもらう、だけ。
なんだけど。
使わせてもらった部屋も、ある程度片付けて。
荷物も持って、リビングへ。
「うーん、誰もいなーい」
まだ起きて来ないですね。
時間的には、お昼過ぎにここを出発しても、夕方までには帰る事ができるとは、思うけど。
すでに、そこそこいい時間だから。
今、朝ごはん食べたら、お昼ご飯がズレそうな気もするなぁ。
そうなると、朝昼兼用で、もう少し後にした方がいいかな。
先輩たちの要望も聞かないと、だし。
とりあえず、先輩たち、起こすとしましょうか。
シズさんは、金髪子先輩に起こしてもらおう。
先輩たちのお部屋の前まで移動して。
軽く、扉をノックしつつ、普通に。
「先輩、おはようございます、朝ですよー」
…………。
返事は、無い。
少し強めに、扉を叩いて、大きな声で。
「先ぱぁい、おはようございまーす、朝ですよー」
…………。
ダメか、これは?
さすがに、女子三人、パジャマでひと部屋と、なれば。
遅くまでパジャマパーティ女子会の可能性も高く。
そうなると、お昼ごろまではぐっすりの可能性も、あるか。
仕方ない。
シズさんも起きて来ないし。
自分だけってのも心苦しいところはあるけど。
お腹もすいたし、朝ごはん、作って食べちゃいましょうか。