第294話:雪人さんちの同意書別紙
「うわ、ほんとだ、これ、雪人さんとこのサイトだ……」
「ってことは、この『甲』が雪人さんで『乙』がアカネさんか」
「『丙壱・丙弐』が雪枝さんと美里さんだね」
「なるほど……」
それをふまえて、同意書の最後の文字の小さな文章を読み替えてみると。
『雪枝ならびに美里はアカネの合意の下、雪人とアカネの特定の行為を見学または行為に参加できるものとする』
「ぶっ」
「なに、それ」
「やだ、すご」
最後、雪人さん同意? 合意? してないじゃん。
文字の大きさと言い、雪人さん、完全に女性陣にハメられてませんか?
しれっと、親が混ざるとか。
仲がいいにも保土ヶ谷、じゃなくて、程がある気も。
しかも、それを、そのままで、公開?
さらに。
「二枚目が、別表(1)かー」
最初のページの最後まで見ると、次のページに続く。
――――――――――――――――――――
別 表 (1)
――――――――――――――――――――
氏名 氏名
行為者:
承認者:
――――――――――――――――――――
行 為 計 画
開始予定日時: 年 月 日 時 分~
予定行為:
□着衣 □脱衣
□B01 □B02 □B03 □B04
□B05 □B06 □B07 □B08
□B09 □B10 □B11 □B12
□C:
――――――――――――――――――――
行 為 実 施 報 告
実施日時: 年 月 日 時 分~
終了日時: 年 月 日 時 分
実施行為:□計画の通り □それ以外(下記)
□着衣 □脱衣
□B01 □B02 □B03 □B04
□B05 □B06 □B07 □B08
□B09 □B10 □B11 □B12
□C:
承認者 :
――――――――――――――――――――
「計画書と、報告書、かー」
「着衣、脱衣はわかるとして、B1とか記号は何だろ」
「別表(2)、別表(3)、後ろにまだあるみたいですわね」
わちゃわちゃ。
先輩方も、各々、その同意書の文書をスクロールして読んでいる。
シズさんは金髪子先輩の端末を横と言うか、上から覗き込んでる。
ボクも、画面をスクロールして、読み進めると。
あぁ、なるほど。
計画書、報告書には記号、番号だけが書いてあるけど、次のページに、その記号番号の意味と言うか、内容が書かれてある模様。
ただ、その内容が……。
「エグいというか、生々しいですわね、これ……」
ぱっつん子先輩の、おっしゃる通り。
「Bの前半あたりが、ちょうどウチらが考えてる内容、かなー?」
「うん、でもこれ、後半はほとんど、ガチでマジのヤツじゃない?」
金髪子先輩、おさげ子先輩も同じようなところを見られてる様子ですが。
なるほど、アカネさんたちが雪人さんを『オオカミさん』にするのに苦労した、って話していたけど。
これは、その一端、なんだろうな。
想像するに。
これを使って、雪人さんを説得しながら、って感じかな?
文書の方は、さらにページを進めると。
各記号番号の図解、と、言うか、カラーのイラストが登場。
うはー。これは……ある程度、デフォルメされたイラストだけど、結構、生々しいな。
おそらく、金髪子先輩たちも、そのイラストまでたどり着いたのだろう。
「お嬢様っ! それはいけませんっ! 見ちゃダメですっ!」
急に、シズさんが大声をあげて。
金髪子先輩から端末を取り上げようと、する。
「ちょっとシズ、何すんのよ、やめなさい」
「お嬢様こそ、そのようなものはまだ見てはいけませんっ」
シズさんとしては、未成年のボクや先輩たちには見ちゃいけないと、指導する立場なので。
仕方ないと言えば、仕方ないのかな。
確かに、ボクから見ても、恥ずかしいのは恥ずかしいから、あまり見たくないような。
でも、興味は、無くも無い。
自分から進んで検索したりとは、しないけど。
こんな風に、目に触れたりしたら、つい、見ちゃう、よねぇ。