第293話:同意書で同意しよぉ
※昨日あとがきでお知らせしました通り、本日より公開時刻を17時とさせていただいておりまするん。
そっか、そうだった。
今は、男性用のパジャマで、ノーブラ。それに男性用の下着を着てたんだっけか。
意識すると、どことなく、違和感。
鏡に写す以外、自分の姿を直接見る事は、あまりないので。
無意識に女の子の状態になってた感じ、かな。
と、言う事は。
すごい事に気が付いてしまった……。
女装をして、女性のような格好をしているから、女性っぽくなってるんだと思ってたけど。
やばい。
格好に関係なく、思考が……。
もちろん、今、シズさんや先輩たちがやろうとしている方面に関しては、男女の差を意識しているのに。
なんだろう、これ。
「と、とりあえず、オレ……は」
ぎゃぁ。
鳥肌。
オレは無いな、オレは。
「ウチ……」
これも、なんか違う。
「……ボク、で」
「ボク、かー」
「ボク、ね」
「ボクっ娘!?」
ボクっ娘だと、微妙に意味が違うような気も。
どちらかと言うと、男の娘、だっけ?
いや、なんか、もう、いろいろ、ぐちゃぐちゃ。
「はいはい、ですから、ボクが同意しなくちゃ何もできないんですし、もう寝ましょうよ、眠いですよ」
とっとと、終わらせよう。
ソファから立ち上がろうと、したら。
「まてい」
はい、また金髪子先輩に、引き止められました。
とほほ。
ボクの腕を掴んだまま、金髪子先輩が、続けて。
「真綾はさ、何をどこまでって線引きがあいまいだから、怖いってのもあるんじゃない?」
あー。
「それは、確かにあるかもしれませんね」
どこまで触れていいのか。
どこまでなら、許されるのか。
手を繋ぐ、手を取る、肩を叩く。
うん、今だと、この程度、かな?
それ以上は、ちょっと。
さっき、先輩たちにおなかをペタペタされたけど。
あれを、ボクが先輩たちに、ってなると。
なんか、違う、よね……。
「じゃあさあ、あらかじめ、ここまでならオッケー、みたいに具体的にきちんと決めておけば、大丈夫かな?」
ふむ。
なるほど。
で、あれば、心構えも、ある程度は?
「さっきみたいにさ、ほっぺスリスリするよー、とか、おなかペタペタするよー、とか、って宣言してならいけそうじゃない? ダメだったら、そこでダメって事で」
さすが金髪子先輩、と言うか。
「でも、それだと、口約束って事になるから、きちんとするなら、ちゃんと同意書みたいな形に残した方がいいんじゃないかしら?」
さらに、おさげ子先輩、が、何を言い出しますやら。
「同意書、ですか……それらしいテンプレートとか、ありますかしら?」
ぱっつん子先輩が、端末をぽちぽち。
肝心の、シズさんと言えば。
金髪子先輩の隣に座って、金髪子先輩の端末画面を覗き込んでいらっしゃる。
ご自身で、端末を使うとかは、していないみたい。
「なんか、それっぽいテンプレートを見つけましたわよ。これ」
ぴこん、と、メッセージアプリの通知。
ぱっつん子先輩から送られてきたアドレスを表示してみると……。
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同 意 書
年 月 日
<氏 名> <生年月日>
甲 : 年 月 日
乙 : 年 月 日
丙壱: 年 月 日
丙弐: 年 月 日
記
1.甲と乙は同意の下に丙壱または丙弐との合意の上で特定の行為を行うものとする。
1.甲と乙が特定の行為を行う場合は都度別表(1)の原紙を複写したものに双方署名し、実施する特定の行為の開始の予定日時と内容を記入したものを『行為予定表』として申告し丙壱または丙弐のいずれかまたは両方の署名を得ること。
1.特定の行為終了後に実施した特定の行為の内容と日時を『行為予定表』に記録し『行為完了報告書』として丙壱または丙弐のいずれかまたは両方に報告し署名を得ること。
1.特定の行為の内容は別表(1)に定める。
1.別表(1)の行為の内容について必要が生じた場合、甲・乙・丙壱・丙弐の全員の合意に基づいて追記を行うものとする。
1.本同意書の内容の改定については、甲・乙・丙壱・丙弐全員の合意の下に行うものとする。
以上
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ふぇえ。
「あら? これって……」
ん?
「どうかした? ツグミん」
おさげ子先輩が、何かに気付いたらしく。
「このテンプレート、雪人さんのお店のみたい」
はいぃ?