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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
女子会パジャマパーティ in 別荘
289/349

第289話:お嬢様方の代わりに




 先輩たちに、ぺたぺた、さわさわ、すりすり、ぷにぷにと。


 いろいろ、されて。


 事故的に、ぱっつん子先輩の『おでこアタック』を受けて。


 いろいろヤバい状態を、察してくれたのか、シズさんが。


 先輩たちを部屋へと追いやって。


 リビングに、シズさんと、ふたり。


 その、シズさんが。


 すっと。


 あたしの前に立って、深々と、お辞儀をして。


真綾(まあや)様、お嬢様方が大変ご無礼を……申し訳ございませんでした」


「あ、いや、シズさんが謝るような事じゃないです、顔あげてください」


 でも、シズさんはそのまま、続けて。


「少しくらいならと見守っておりましたが不慮の事故とは言え、その……」


 事故。


 ぱっつん子先輩の、手が滑って、額が……、って。


「ええ、事故ですし、仕方ないですから。それにシズさんがすぐに助けてくれましたし」


 上体を曲げ、頭を低くしているシズさんの。


 その肩にそっと触れて。


「ありがとうございます、シズさん」


 そう言うと、シズさんもやっと、上体を戻して、顔をあげてくれて。


「はい、ありがとうございます、真綾様それで……」


 ?


 何か、少し言いにくそうに、でも、シズさんは続けて。


「お嬢様方が真綾様に触れる事はできましたが、真綾様がお嬢様方に触れるまではできていませんでしたよね」


 はぁ、まぁ、それは。


「そ、そうですね」


 もともとの、先輩たちの話によれば、って、事ではありますが。


「それで、そのですね……わたくしが、その、お嬢様方のような若さはございませんが、一応、その、女、ですし……お嬢様方に代わって、ですね……」


 はい?


 何をおっしゃっておられるのかな?


 シズさん?


 白い割烹着を、脱ぐと、とてもシンプルなねずみ色の、着物姿。


 えっと。


 さらに、腰と言うか、お腹あたりの、帯と言うか、紐に手をかけて……。


「ちょ、ちょーっと、待ってまってシズさんストップストップぅうううううっ」


 さすがに。


 叫びつつ、シズさんの手首をつかんで。


 その動作を、強制停止。


 てか。


 何しようとしてるんっすか、シズさん。


「何しようとしてるんっすか、シズさん!?」


 さすがにさすがに。


「ですから、真綾様にオン……」

「わーわーわー、わーわー、ダメダメダメですー」


 シズさんの意図を、汲んで。


 いや、理解はしたけど、汲まん。


 汲んだらあかんやつや、これ。


 うぇええええい。


 先輩たちより、さらに生々しいと言うか。


 生々しすぎる。


 こ、これが。


 オトナのオンナの。


 魔性?


 ひぃい。


 怖っ。


「真綾様……」


 がしっ!


 逆に。


 シズさんに、正面から両手で肩を、掴まれて。


 シズさんの方が、背が高いので、上から覗き込まれるような形で。


「そういうところ、ですよ。女性にも男性にも、ひとに優しい、優しすぎるのも善し悪しなのです。ぐいぐい行くところは行かないと、どこにもたどり着けなくなってしまいますわよ」


 って。


 何を諭されているのか、な?


 えーっと。


「それとも、こんなおばあちゃんでは、やはり、ダメ、ですか?」


 今度は。


 なんか、ちょっと悲しそうな表情で。


 いや、シズさんは、ぜんぜん、そんな。


 おばあちゃんだなんて。


 って、思ってたら。


「真綾様」

「ひゃぁ」


 シズさんに、ぎゅっと。


 抱き締められて。

 

 耳元で。


「真綾さま……」


 ひゃ。


「ひゃい……」








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