第287話:ほっぺスリスリ、おなかペタペタ
ソファに腰掛けて。
両サイド、それに背後を、女子先輩に固めれられて。
緊張のためか、背筋はピーン。
お行儀よく揃えたお膝に、手を置いて。
その腕も、ピーン。
半ば、硬直した状態で。
さらに、目を閉じて。
左右から金髪子先輩と、おさげ子先輩の、頬ずりを堪能……じゃ、なくて、これは、頬ずりの刑?
そのほっぺスリスリの感触が、ふっ、と、消えて。
「ほい、サクラの番~」
「はい、では、いざわたくしも」
左側から金髪子先輩の声のあと。
背後からぱっつん子先輩の、声。
目を閉じていても、体温? 熱量? そんな、気配が。
背後から、顔の右側へと、近付いて来て。
「んっ」
ぴたり、と、頬に触れる感触に、また少し、ドキっとしてしまう。
「ふむふむ、指で触れるよりも、ずっと刺激的、ですわね……」
すり、すり。
指先と違って、距離感を掴みにくいのか、そこそこ、がっつり。
頬と、頬が、触れあって。
それに、耳元近くでささやかれる、声の響きもあって。
「あぁ、この、痛いような、くすぐったいような、不思議な感触……クセになってしまいそうですわね……」
すり、すり。
ぞくぞくっ。
鳥肌が立ちそうなくらいに。
ほっぺたと言う『面』での肌の接触に加えて。
短くとがった髭の一本一本の『点』での接触が。
ほっぺ全体に過剰なまでの感触を生み出す。
その感触は。
熱くなっている身体が、また、少し体温を上げるのにあわせて。
少しづつ、眠っていた感覚を、思い出させてしまって。
「あ」
つい、クチを突いて、出てしまう。
「ん? どうしたの真綾」
「な、なんでもない……です」
「そ? じゃあ、次は……」
目を閉じているので、表情は、わからないけれど。
左側の、金髪子先輩の、声と同時に。
頬の感触が、すぅっと、離れて。
接触を解かれた肌が、ひんやりと、する。
「おなか! おなかをさわってみよー」
「え」
「はいほらパジャマの前開いて開いて」
「え? え?」
金髪子先輩と、おさげ子先輩に、左右から。
パジャマのボタンを外されて。
前を開かれても、Tシャツは着てるから、まだ素肌を晒すまでは無いと思ったのもつかの間。
「はい、シャツめくってー」
「ふわぁっ」
ぺろん。
これまた、左右からシャツの裾を、めくりあげられて。
「サクラ、シャツ押さえておいてー」
「了解、ですわー」
背後のぱっつん子先輩の、体温がまた、近付いて。
いや、近付くって言うか、これ。
ぺったり。
ソファの背もたれがあるのが、救い?
肩から首筋、後頭部にかけて、ぱっつん子先輩……サクラ先輩の、身体が、あちこち、触れて。
その体温が、直接、伝わって来て。
さらに。
「はわぁっ!」
思わず、目を開けてみれば。
左右から伸びた手が、おなかを。
ぺたぺた。
すりすり。
「おぉ、意外と柔らかーい」
「もっと固いと思ってたけど」
ぷにぷに。
「でも、女の子に比べると少し固いかな?」
ちらりと、おさげ子先輩の方を見ると。
自分のパジャマの裾をめくりあげて。
素肌を、直接、ぷにぷにしているのが一瞬見えたけど。
見なかった事にして、また目を閉じて。
「せんぱぁい、これ、いつまで続けるんですか?」
目的は聞いたけど。
目標は、聞いてない。
どうなったら終わるの?
「んー、どうだろう」
「とりあえず、次はわたくしですわ。この位置からだと上手くさわれませんから、前に回らせていただきますわね」
背後のぱっつん子先輩の体温がふっと離れて。
ととと、と、足音が動いて。
「あぁ、テーブルが邪魔ですわね……少し移動させませんと」
まだしばらく。
この拷問? は、続くのか、な?
ひぃ。