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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
女子会パジャマパーティ in 別荘
286/349

第286話:ほっぺタッチ



「さて、と」


 先輩方、向かい側に三人並んで腰掛けていたけれど。


 ふたり。


 金髪子先輩と、おさげ子先輩が、すっく、と、席を立って。


 あたしの隣に。


 どさっと、着席。


 いらっしゃいませ?


「そんじゃ、おさわりターイム」


 ターイム、じゃ、ねえですってば……。


「先ずはほっぺから、ね」

「真綾くん、いいかなー?」


「良くないと言ったら?」


 それでも言いくるめられそうな気は、しつつも、一応。


「だいじょうぶ大丈夫、痛くしないからー」

「そぉっと、優しくスリスリするだけだから」


 左右から。


 ステレオ放送。


 向かいのソファでは、ぱっつん子先輩もニヤニヤしながら、待機中。


「ちょっとだけですよ?」


「はいはーい」

「それでは」


 って。


 左右から、腕が伸びて。


 頬に。


 そろっと。


 触れられた瞬間に、びくっとしてしまう。


 左側の金髪子先輩の手は、あったかくて。


 右側のおさげ子先輩の手は、少しひんやりとしていて。


 左右非対称の、でも、触れられている感触は同じで。


 そこからさらに。


 すり、すり。


「おぉ、お髭がザラザラー」

「あぁ、なんか懐かしい感触……小さい頃にお父さんのほっぺにすりすりした時の感じに、似てるわ」


「あー、ウチのパパ、お髭ボーボーだから、この感触は初めてー」


 触れるか、触れないかの、タッチで。


 すり、すり、されてるけど。


 なんだこれ?


 なんか、不思議な感覚。


 それに。


 先輩たちがすぐ近くに座っているから。


 下手に手足を動かして、変なところに触れてしまったら、と。


 緊張で、身体はこわばってるのが、わかる。


「わたくしもよろしいかしら?」

「おー、サクラもおいでおいでー」


「では、失礼して」


 正面に座っていたぱっつん子先輩も、ソファから立ち上がり。


 テーブルとソファを迂回して、あたしの背後に立って。


「それでは、参ります」

「いけいけサクラ~」

「ど、どうぞ」


 左右の金髪子先輩とぱっつん子先輩が、手を離し。


 かわりに、背後から。


 ぱっつん子先輩の両手が。


 頬と言うよりは、アゴの方から。


 さわっ。


「ひっ!」


 視界の外からの感触だったので。


 びっくり。


「なるほど、これが男性のお髭の感触なのですね」


 さわ、さわ。


 手のひらと言うよりは、指先で。


 アゴから頬にかけて、繰り返しなぞられる。


「そー、ザラザラしてチクチクするけど、なんか楽しい感じ?」


「あぁ、そうですわね、はい、わたくしも幼い頃の父の頬を思い出しますわ」


 なで、なで。


「よしじゃあ、今度は、ほっぺでほっぺスリスリしてみよー」

「手とはまた違った感覚でしょうね」


「え?」


 疑問を挟む余地なく。


 ぱっつん子先輩の手が、すっと引いたかと思うと。


 左右から。


 今度は。


 金髪子先輩と、おさげ子先輩の。


 ほおずり……。


 ずり、ずり。


 では、なく、すり、すり。


 正面からじゃないのは、せめてもの、救い?


 ふたりは、後ろを向いて、頬を寄せているから。


 視界には、金髪と黒髪おさげが。


 ただ、ほっぺたには、さっきの手よりも、ずっと柔らかい、感触。


 あぁ……。


 母ちゃんに、ほっぺスリスリされるのと。


 似た、感触。


 そっか。


 母ちゃんも、女性。


 年齢は違えども。


 先輩たちも、女性。


 微妙な差は、あるかもだけど。


 なんだか。


 緊張も、するけど、心地よさも、ある、かな?


 さらに。


 目を閉じれば。


 視覚情報が消えて、感覚だけが、さらに研ぎ澄まされて。


 これは……。



 なんか、ちょっと、良い、かも?






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