第284話:お着換えは男の子用
何故か突然、予定外で。
先輩たちと、別荘に一泊することに。
その先輩たちが、先ずは入浴を済ませ。
パジャマ姿で、リビングに再登場。
「はぁい真綾、次、お風呂どうぞ~」
「はい、いただきます」
「あと、これ、着替えね」
と、おさげ子先輩から、手渡される、紙袋。
そういえば、予備があるって言ってたっけか。
確かに、紙袋の中、さらに買ったままのポリ袋に入った状態の、これは下着かな。
中を、見てみたらば。
「え? これって……」
「今日は、それ着ておいて、ね」
いやいや。
「男物じゃないですか、こっちのパジャマも!」
いやいや。
えーっと。
どゆこと?
「詳しくは、後で、ね」
「今夜は男の子、真綾くんの出番だ~」
「ですわね」
「はぁ……」
???
絶対、何か企んでる。
うぅむ。
「あと、髭剃りも禁止ね」
「はぁ……」
まぁ、とりあえず。
逆らわず。
言われた通りに、しておこう。
髭は剃るなって言われたけど。
体毛どうしよう……。
とりあえず、浴室へ向かい。
脱衣所で、着ているものを、脱いで。
バスルーム。
確かに、広い……。
四人でもゆったり入れそう。
入らないけど!
そんな広い湯船に、ひとり。
ちょっと贅沢?
っと。
普段のルーティンで、髭剃り、体毛処理と思ったけど。
カミソリが無い……。
仕方ない。
言われた通り、処理抜きで……なんか違和感あるけど、しょうがない。
身体は洗って、髪もシャンプーして、と。
「はふぅ……」
今さら、男に戻れ、と?
うーむ。
何を考えてらっしゃるの、やら。
少々、いや、多いに不安もありつつ。
お待たせしても、って事もあり、適度なところで切り上げて。
お着換え……。
おさげ子先輩が用意してくれた、衣類。
トランクスと、Tシャツ、それに、男性用の、パジャマ。
ブラは……着けない方がいいんだよね、これ。
うぅ。
なんか、心もとない、けど。
仕方ない。
ノーブラで、Tシャツを羽織って。
ショーツと違って、トランクスも、なんかヒラヒラして、心もとない。
パジャマは、まあ、男女で大きく差は無いだろうけど、と、思ったら。
おぅっす。
ボタンの合わせが、逆っ。
と、留め難い……。
色も女の子風ではなく、地味な男性用。
可愛くないぃっ。
こうなると。
伸ばした髪が、違和感。
乾いたら、後ろでくくっとくか。
脱衣所の、姿見に、その姿を映してみるけど。
「んんん……」
右向いて、左向いて、正面からも。
やっぱり、胸のふくらみが無いのが、すごく違和感あるなぁ。
でも、そうか。
そもそも、って事で言えば。
これが、本来の、姿。
あるべき、姿?
んー。
ドライヤーで、髪もある程度乾かしつつ、そんな事を考えて。
髪が乾いたところで、後ろでお団子にして。
リビングへ、戻る。
戻ると……。
「……あれだけ食べて、まだ食べますか?」
先輩方、リビングで、デザート? の、スイーツを。
「女の子にはスゥイィーツ用の胃があるのよ。別腹ってやつ」
ウチ、男の子だから、そんなもん、ねーっすよ……。
でも。
おいしそう。
「ささ、真綾もここ座って、食べれ食べれー」
仕方ない。
「いただきます」