表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
273/349

第273話:園田ズルーム



 金髪子先輩に案内されて。


 母さんと、ユイナおねえちゃんと、別荘の一室へ。


 園田家、一時集合。


「じゃあ、少し飲み物とか持ってくるから、おとなしくしててね」


 そう言って、金髪子先輩が部屋を後に。


 部屋に残る、三人。


 ソファがあったので、そこに三人、並んで。


 あたしが、真ん中。


 右に母さん、左におねえちゃん。


 あたしも、少し落ち着いて、涙は止まったみたいだけど。


「ほらほら、真綾(まあや)、鼻かみなさい」


 ユイナおねえちゃんが、備え付けのティッシュを数枚、手渡してくれたので。


 目と、鼻をぬぐって。


「ありがと、おねえちゃん」


「それにしてもムカつくなぁ、あの女もだけど、あの(おっさん)もだよ!」


「本多さんに姪子さんが居るのは聞いてたけど……その子からプロポーズされたとか、わたしも今日初めて聞いて驚いちゃったわ」


 うん。


 あたしも、初めて聞きました。


「そんなヤツを連れて来るって、どういう神経してんだって話よね!」


 あぁ。


 なんか、今度は、ユイナおねえちゃんがっ。


「いきなりそんな話を聞かされて、わたしも気が動転しちゃって、つい、カっとなっちゃって……ごめんね、真綾、心配かけちゃって」


 そっと、ふんわり。


 母さんに、頭を抱かれる。


「それから、ありがと、ね」


 母さんの腕の力が、少し強く。


 ありがとう、ね。


 母さんと()()()の間に入って、ってところ、だよね。


「うん」


 逆に。


 あたしが、間に入って、突然泣き出しちゃったから。


 ヒョウタンから、コマ?


 ワタリに、フネ?


 なんて言えばいいのか。


 タナカラ、ボタモチ、だっけ?


 それは、まぁ、どうでもいいや。


沙綾(さあや)ねえさん、マジな話、アレはやめといた方がいいよ、絶対」


「うっ……」


 ユイナおねえちゃんの、本多さんに対する印象は、最悪?


 正直。


 あたしも、ほぼ、同意見。


 母さんのお見舞いに来てくれたり、悪い人では無いんだろうけど。


 なんか、ちょっと、どうよ? って、気もしなくは、無い。


「あれが意図的だとしても、天然だとしても、すんごく微妙だと思わない?」


「うぅっ……」


 ユイナおねえちゃんが、母さんを説得する図式。


 でも。


 母さんの、想いは?


 母さんの、意志は?


 あまりにも突然すぎて。


 あたしもだけど、母さんは、もっと。


 多分、ユイナおねえちゃんも。


「まぁ、あのおっさんが沙綾おねえちゃんを選ぶのか、あの女を選ぶのか、ってのもあるかもだけど、さ」


 うん。そこ、だよね。


「ずっと保留にされてるって事は、両方選ばないって事もあるだろうし……はっ!? まさかっ!」


 おねえちゃんが、何かひらめいた?


「どうしたの? ユイナ?」


「二択じゃなくて、三択とか四択とかだったら!?」


「え?」

「え?」


「あの、もうひとりの子さ、関西弁じゃない方の子。いや、あの関西弁の子も、とかだと、さ」


 うわぁ、それは。


 母さんも。


 その可能性を指摘されて。


「……」


 絶句。


 からの。


「痛い痛い、母さん、痛いよっ」


 痛烈な、ヘッドロック、頂戴いたしました。


 そこへ。


 こんこん、と、部屋の扉がノックされ。


「入るわよー」


 返事を待たずに。


 エリ先生が、お盆を手に、ご登場。


「何やってるんです? 大丈夫?」


「痛い痛い、母さん、痛い」


 やっと気が付いた母さんが。


「あ、ごめんなさい、真綾」


 ほっ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ