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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
春休み、お花見バーベキュー大会
270/349

第270話:永依夢(えいむ)さんにあたしの事を



 お花見バーベキューに集まった、大勢の方々。


 咲き誇る、桜のもと。


 美味しい、楽しい食事。


 河崎さん、それにホンダさんたちの、野鳥の写真を見せてもらったりしてたんだけど。


 河崎さんと、ふたり、みんなから少し引いたところで。


「園田さん、って、えと、その、男の子、なんだよね?」


 今度は、河崎さんのお訊ね(フェイズ)


「あ、はい、一応……」


 来たかー、って感じも、無きにしも。


「どうして、女装を? って、訊いちゃっても、いい?」


「はい、大丈夫ですよ」


 自宅前の元、女子校が共学化されて。


 入学したのはよかったけど、って。


 あたしが女の子の恰好をする事になった経緯(いきさつ)を、簡単に。


「へぇ、東雲(しののめ)が共学化されたなんて、初めて聞いたわ」


「あんまり宣伝してませんからねぇ」


 それから、八時間目の特別授業(カリキュラム)の、話。


「なるほど。LGBTQとか、学校で少し習ったけど、身近には無かったから、こんなにいらっしゃるなんて、驚きだわ」


 雪人さん、アキラくん、川村ちゃん。


 レイちゃんは、ちょっと違うかも、だけど。


「そう、なんでしょうか。あたしとか、あたしの周りが、ちょっと特殊、なのかなぁ」


「うん、いちにぃ、さんしぃ、四人? すごいわぁ」

「あー、五人、ですね。アキラくんも」


「あ、そっか、あのちっちゃい子も、男の子だったっけ……どう見ても女の子にしか見えないわ」

「あはは。あたしもだけど、姿はともかく、声が、どうしても、ね」


「そうね。声とか、ノドボトケとか、よぉく見たら、わかるんだけど。ぱっと見だと、男性だって気付けないわ」


 嬉しいのか、悲しいのか?


「えっと、その……こんな事、訊いていいのかどうか……」


 ん?


 何か言いたそうで、戸惑うように。


「はい、何でしょう?」


「えっと、その、下着とかも、女性用、着けてるんですか?」


 あー。


「はい、一応……」


 そのあたりも、興味、持たれちゃいます、よねぇ、やっぱり。


「その、胸部の膨らみとかも、何か入れてたりする?」


「はい。雪人さんのお店で売ってるんですけど、上げ底、みたいな感じで、柔らかいスポンジみたいなの、入れてますよ」


「へぇええ。そっか、そういう専門のお店、なんだね」


「はい、下着とかも、雪人さんのお店で買えるんで、女性用のお店に行くことはもう無いですね」


「あぁ、それも訊きたかったの。下着、どこで買ってるのかな、って」


 女性としては。


 男性が、女性用の下着屋さんに、って。


 本物の女性からすると、やっぱり、嫌なモノ、なんだろう、な。


「何度か、行った事はあったりするんですけど、やっぱり、男が行くのは、ちょっと。今は通販か、雪人さんのお店か、ですね」


「なるほど、そのあたりは気を使ってるのね」


「はい」


 今さら、こういう話をするのって。


 ちょっと、新鮮、かも?



 なんて。


 河崎さんと、仲良くお話していたらば。


「あなたにそんな事を言われる筋合いはないわっ!」


 聞き慣れた、声。


 でも、聞きなれない、口調の、声。


 母さん!?


 少し離れているけど、大声が、聞こえて。


「あなたこそ後から出てきて泥棒猫みたいな真似するんじゃねーですわっ!」


 母さんに、相対する、もうひとりの、女性。


(らん)っ?!」


 河崎さんも、その()()に、気付いたようで。


 その、蘭さんが、母さんに……。





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