第262話:自己紹介大会①園田家、しの女、男子チーム
「今日、初めての人も居るから、軽く自己紹介ねー真綾からおねー」
またも、金髪子先輩に、振られて。
仕方ない。
「じゃあ、えっと、園田真綾、えぇっと、この春から二年生です」
みなさん、食べながらも、しっかりと、あたしの方を見てくれてる。
そして、ほとんどの人は知っている、事実を、告げておこう。
知らない人も、居るから。
「えっと、こんな格好してますけど、一応、男子、です」
今日も、女の子の装い、ですしね。
「ええっ?!」
「ウソっ!」
「あー、でも、そない言ぅたら声は男やな、ちゃんとノドボトケもあるやン」
はい。
やはり、と、言うか、あたりまえに、ご存知ない、ホンダさん御一行の、女性陣。
そう言えば、夏の合宿の時も、ホンダさん、混乱してたよねぇ。
ふふ。
「あたし以外にも、そういう人が居るので、お楽しみに。それから……」
しかし、この人数。
二十人以上、いらっしゃるので。
全員、ひとりづつとなると、時間もかかっちゃうだろうから。
「こっちが、母の、園田沙綾で、隣は、母の妹のユイナです」
園田家代表で、家族をまとめて、紹介しておこう。
「園田沙綾です、よろしく」
母さん、ぺこり。
「はいはーい、真綾の姉のユイナだよー、よろしくねー」
お酒、入ってないはずなんだけど、テンション高め。
コレが、素なんだよねぇ。
ぱちぱち、と、拍手、喝采。
からの。
「じゃあ、次は、あたしの通う高校の先輩方と、先生ですー、ミリ先輩、よろしく」
よし、と。
金髪子先輩なら、うまい具合に、拾ってくれる、よね?
「はーい、真綾と一緒の学校の小坂ミリィだよー、今度三年生で受験生だよーよろしくねー。はい、つぎ、ツグミん」
くすっ。
はじめて、会った時の、自己紹介とは、まるで、全然、違う。
のりのりの、金髪子先輩。
「ミリィと同じく、今度三年生の、中原ツグミ、ですよろしくおねがいしますね。はい、サクラ」
「大里サクラと申します、こっちの二人と同じ学年ですわ。よろしくお願いいたします。先生」
「はーい、東雲女子の国語教師で、沢田エリです。真綾さん含めて、この女子三人と一緒に……」
はい。
説明、難しいですよね、八時間目の特別カリキュラムとか。
ひと言では、言い難い。
「なんやかんや、いろいろ活動してまーす。よろしくですー」
なんやかんや、って、軽いなぁ。
「なんやかんやって、ナンやねン」
ちょっとした、笑いと、ツッコミ。
例の、関西弁の女の人は。
さすが?
ツッコミ担当さん、なのかなぁ、やっぱり。
それにしても、まあ、エリ先生、らしいし、いっか。
おっと、それと。
「あと、この会場は、小坂先輩のお宅で、今日はいっぱいお手伝いいただいている、シズさんです」
一応、お世話になってるし。
ぺこり。
お肉の焼け具合を確認していた手を止めて、控えめに、会釈だけ。
奥ゆかしい、シズさん。
からの。
「では、こちらの男性陣は、あたしの中学時代の同級生と、そのお友達、です、山田くん、よろしく」
こっちも。
今の流れを汲んでくれれば。
「おぅっす。中学ん時に園田と同じクラスだった、山田、山田ケンゴっす、こっちのでっかいのはオレの兄貴で、ケンイチ」
よろっす、と、山田くんのお兄さん。
それから、続けて山田くんは。
「こいつが森本で、そっちのが若林、それから……川村とレイは置いといて、この子は、オレの……」
男子二名の名を告げて、それぞれ軽く会釈。
川村ちゃんとレイちゃんは、ちょっと別格として。
さらに別格なのが。
「なーに言い渋ってんのよ、ちゃんと言いなさいよ、恋人だって」
ミツキにツッコミを入れられる、山田くん。
「オレの恋人の、ミツキ、洞爺ミツキ、です……」
ちょこっと、赤くなって、尻つぼみの、山田くん。
「はいはーい、ミツキでーす、真綾とかケンゴと同じ、今度高二の正真正銘、ジェーケーでーす、よろでーす」
あぁ、ここにも、いらっしゃいました、ね。
お調子者、なんて、言ったら、絶対怒られるだろうけど。
何故か、あたしの周りには、こういう元気な女性が、多い?
そして、多い、と、いえば。
「んじゃ、こっちふたりは自分で自己紹介なー」
ミツキさんから、振られる、残りふたり。
レイちゃんと、川村ちゃんが、顔を見合わせて。
アイコンタクト?
(どっち先?)
(そりゃレイだろ)
(えー)
(ほら、先輩、ヨロシク頼んだ)
(えー、しょうがないなー)
みたいな、感じかしら?
さて?
オールスター(?)総出演、自己紹介と言う名の、キャラクター紹介と言う名の備忘録。
正直。
山田兄の名前、メモってなくて、必死に遡って調べた(自滅
そして雪人の母、『ゆきえ』の漢字表記が間違っていました・・・『雪江』ではなく『雪枝』が正解(読みは『ゆきえ』で同じです)