第257話:男子チーム到着、でも色々混ざってませんか
『春休み・お花見バーベキュー大会』
予定の集合時刻まで、まだ少しあるけど。
続いて到着しましたるは。
でっかい、ワゴン車。
「おはよーみんな早いなー」
門から入ってすぐに、一旦停止して。
助手席から降りてくる、山田くん。
「車、そこに停めればよい?」
「山田おはー、うんうん、並べて停めてー」
金髪子先輩が、お出迎え。
「兄貴、そっちだって」
「おっけー、みんな、先に降りちゃって」
そんな山田兄弟の、やりとりから。
左右のスライドドアが、開いて。
ぞろ、ぞろ、と。
同乗メンバーが、降りて来る。
手前、車の左舷から、ミツキさん、森本くん、それに、レイちゃん。
「レイちゃん、おっひさー」
「まあやちゃん、ひさー」
レイちゃんと、ふたり。
「いえー」
「いぇえーっ」
ぱんっ、と、ハイタッチ。
「まーやいえーぃ!」
「ミツキいえー!」
ミツキちゃんともハイタッチ。
そんな事をしていると。
山田くんのお兄さんが、車を移動させて。
右舷の方から降りたメンバーの姿が、見える。
若林くん、それと……え?
え?
誰?
まさかの、女の子?
しかも、なんか可愛い。
はて?
「そう言えば、川村くんは?」
川村くんが、見当たらず、代わりに、見慣れない女の子。
いや、見慣れないけど、見覚えは、ある気も?
すると。
その女の子が。
少しうつむきがちに、右手を、小さくあげて。
小さく、つぶやくように。
「オレ……」
「そうなのよ、まあやちゃん、聞いてよ、川村くんがね、川村ちゃんなのっ!」
何故か、テンション高めの、レイちゃんが説明してくれるけど。
説明に、なってないような。
「勢いって、怖いなぁ……」
川村くん改め、川村ちゃん? ご本人の、談。
あぁ、なんか、察し。
「この間のアレで、目覚めちゃった?」
そう。
一月に行われた、女装大会。
他の男子はともかく、川村くんの完成度が、やけに高かったっけか。
それから、ふた月あまりの間に。
「まぁ、そんな感じ。レイに色々教えてもらいながら、さ」
ひやぁ、驚いた。
びっくりだよ。
「みんな、知ってたの?」
他の男子諸氏。
「いや、オレも今日初めて見て、ビックリ仰天」
「一体何がどうなったのかと」
「車中でいろいろ聞かせてもらったわ」
だよねぇ。
「でもさ、めっちゃ可愛くて、いいじゃん、いいじゃん」
ミツキさんも。
例の女装大会でも、一緒に見てたし、ね。
「二年生、新学期デビュー、するんだよねー、タカちゃん」
「うぅ、まぁ、そのつもりでは、あるけどなぁ……」
あぁ、まだ、言葉使いとかは、男子のまま、か。
そんな、川村ちゃんも一緒に。
ぞろぞろ。
雪人さんや、先輩たちが集まっているあたりへ、移動して。
着替えを終えたユイナおねえちゃんも合流して。
おはよう、お久し、はじめまして、ナニソレどうしたの。
ご挨拶の、応酬。
これだけ人数が、集まると。
誰と誰が、って、固定的におしゃべりも難しい、よね。
でも、やっぱり、注目は。
川村ちゃん。
タカちゃん?
タカ子ちゃん??
そうだよねぇ、あたしやレイちゃんは、もう、この姿に馴染んで、馴染まれて、って感じだしー。
目新しさでは、やっぱり、タカ子ちゃん、かー。
あ。
雪人さんとも、話してるな。
「川村くん、イイ感じに仕上がってるね」
「はい、その節は、お世話になりました」
「いえいえ、毎度アリ、ですよ」
そっか。
きっと、例のグッズ関係やら、下着やら、それに洋服とかも、雪人さん、雪枝さんのお店で調達したのね。
ふむふむ。
それに、もうひとり。
やっぱり、かわいらしさで注目は、アキラくん。
「アキラちゃんちなうーアキラくんだもー」
お約束の、セリフも可愛らしく。
さて、と。
もう少しで、集合時刻。
あと、残りのメンバーは。
母さんの……。