第254話:エリ先生とユイナおねえちゃん
学校の正門前で、おねえちゃんとわちゃわちゃしてたら。
エリ先生に、遭遇。
ユイナおねえちゃんとの『チューショット』を目撃されて、しまい。
あちゃぁ。
は、いいとして。
「先生、どちらまでお買い物?」
「コンビニかなー」
ふむふむ。
「駅前のナックとか、どうです? あたしもお昼にしようかなって」
ちょうど、あたしもそろそろ、お昼ご飯。
「お、いいわねナックデート」
デートじゃないですけど、ね。
「あ、お姉ちゃんも行く行く。お昼ご飯食べたけど、ドリンクだけでも付き合うよー」
デスヨネー。
「んじゃ、行きましょうかー」
「あたし、家の鍵、閉めてきますね」
と、押しボタン信号を押して、いったん三人で渡って。
あたしだけ、家に戻って。
「あ」
しまった。
制服姿の、まま、か……まぁ、いっか。
「お待たせしました」
「行くじぇー」
「おーっ」
なんか。
エリ先生と、ユイナおねえちゃん。
いきなり打ち解けあって、盛り上がってません、か?
「わたしと同い年の先生かー」
「真綾ちゃんの叔母さんがわたしと同じ年齢だなんてー」
盛り上がってますね。
そっか、同い年、なんだ。
先生が二年目で、おねえちゃんが大学院生って違いは、あれど。
なるほど、納得、なるるん。
駅までは、徒歩約十分程度。
ハンバーガーショップの、ナクドナルド通称『ナック』、にて。
あたしは定番の『てりやきナックバーガー』、先生は、『チーズバーガー』を、それぞれセットで。おねえちゃんは、ホットコーヒーで。
お昼時だけど、少し前。
ふたりがけのテーブルをふたつ、くっつけて。
「へぇ、んじゃ、まだ二年目なんだ」
「今年で三年目に突入よ。そっちは来年卒業?」
「うん、一応、その予定」
「で、実家の農業を継ぐって、大変ねぇ」
「まぁ、他にやりたい事もなかったしね。農作、好きだし」
「そっか。好きな事やるのは良い事よ」
もぎゅもぎゅ。
さすがに、同じ歳、ってこともあって。
ほんと、いきなり仲良しさんな感じ、だね。
ハタで見ていても。
ほのぼの、のんびり、和気あいあい。
良いな。
そういえば。
なんだかんだ。
この『ナック』に、先輩たちと一緒に来たこと、まだ無いや。
意外と。
先輩たちを、駅まで送ったりしたことは、あったけど。
なんか、ここに立ち寄る流れには、なってなかったよねぇ。
あぁ、何か食べる、と、言ったら。
ウチで食べてたのも、あるか。
近所のスーパーに一緒に買い出しとか、したけど。
JKらしく、ファーストフードで、ワイワイ、とか。
やってみたい、かも?
「そぉなのよぉ、これがまた、イイ男ってなかなかみつかんなくてさー」
「そっちはまだ大学で学生も教授も男多いからいいじゃない」
あ。
考え事してたら、先生とおねえちゃんは。
あたしそっちのけで、盛り上がってらっしゃいます、が。
「こっちは女子校で男なんて全く居ませんからねぇ」
「ひとり居るじゃない」
「へ?」
おねえちゃん?
あたしを指差して、何かしら?
かしら?
「コレなんて、どう?」
「あぁ……いやぁ、さすがに、教師と生徒は、マズいでしょ」
「あはは、だよねー。なら、わたしが貰っちゃおう、かなー」
へ?
おねえちゃん、あたしの隣に座ってるんだけど。
あたしの肩を抱いて。
「大学でもいい男見つかんないし、もう、コレでもいいかな?」
コレ呼ばわりは、いかがなものか? と。
「義理とはいえ、叔母と姪ってのも、どうなの?」
「そこはゴリ押しで」
きゃはは、と。
楽し気な、おふた方。
先輩たちも、先生もだけど。
何故か、求婚されまくってるな、あたし……。
まぁ、全部冗談なのは、わかってるから。
いいんだけど。
それにしても。
なんだか、おねえちゃんとエリ先生の、デートみたい。
あと、先生。
姪、じゃなくて。
甥、ですから、ね?