表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
新学年前の春休みっ
251/349

第251話:玄関先、パジャマのままでホンダさんと



 お見舞いに来てくれた、ホンダさん。


 ユイナおねえちゃんが、インターホン越しは失礼だろう、って、ほぼ、無理やりに。


 母さんを、軒先へ。


 母さんの、悪い性格? なのかな。


 ユイナおねえちゃんに、流される、まま。


 いや、ごめんなさい。


 あたしも、ちょっと、背中を押した感、あるけど。


 それはいいとして。


 玄関の、扉をあけて。


 直接の、ご対面。


 あたしとユイナおねえちゃんも、母さんの少し後ろで、様子をうかがう。


「あ、園ちゃん、大事なくてよかった、顔色も悪くなさそうだね」


 ホンダさん、母さんの顔を、見て。


 ご安心?


「は、はい、朝から休んで、だいぶ良くなりました」


「うんうん、よかったよかった。じゃあ、ウチはこれで」


 え。


 まさかの、即、ご退場?


 すぐに母さんから顔を逸らして。


 でも、そこは、ユイナおねえちゃん。


「あの、せっかく来ていただいたんですし、少し中でお茶でも。」


 母さんの後ろから、ひょっこり顔を出して。


「あ、妹さん、ですね、あのバイクの」


「ですです、それで、ご都合、いかがです?」


 さすが。


 学生とはいえ、それなりの、年齢。


 ちょっと怪しいところもありつつも、大人の、対応。


「いやぁ、それが、まだ仕事中でして。次の納品もあって、そこに車を待たせてあるんで、そんなにのんびりもしとれんのですわ。すみませんねぇ」


 との、ことらしく。


 見れば、しの女の正門の、少し奥に。


 見慣れない、白い車。


 さらに。


「生徒手帳の納入でこっちに来たついでに、ちょっと寄らせてもらっただけなんで」


 あぁ、そっか。


 生徒手帳の印刷を、母さんの会社に発注してるって、言ってたっけ。


 完成、したんだ。


 お仕事中なら、仕方ない、よね。


 母さんも。


「お忙しいところ、わざわざありがとうございます」


 って、素直に、ホンダさんの言葉に従って。


「いえいえ。大事なくてよかったよかった。じゃあ、ウチはこれで」


「あ、ホンダさん」


 そのまま離れようとする、ホンダさんを、母さんが引き止める。


「ん? 何、園ちゃん」


「えっと、体調も戻ったので、午後から出社しますね」


 あら。


「あぁ、無理はしなくていいけど。うん、いけるなら、出てもらえたら助かる」


「はい。それじゃあ」


「了解。ウチはもう一件納品に()()()()()から戻るよ」


「はい、ちょうど同じくらいに会社に着くと思います」


「ほい、了解。じゃ、また後で、ね」


「はい、行ってらっしゃい。お気を付けて」


「ほいほーい」


 と。


 振り返りつつ、手を振りつつ、軒先から、遠ざかる、ホンダさん。


 あ。


 押しボタン信号……。


 ちょっと、微妙な間。


 信号待ちの間。


 振り返って、また手を振ってくれてる。


 母さんも、手を振り返して。


 信号が変わったら。


 お歳の割りには、軽快に。


 とんとんとん、と、ダッシュ程ではないにせよ。


 信号の横断歩道を渡って、しの女の正門前へ。


 正門の中に止まっていた車の助手席へ乗り込んで。


 ぶるるん、と。


 車で、去って行かれる。


 もうひとり、母さんの会社の人が、車で待機してたのか。


 なら、そんなに。


 時間、かけらんない、よね、確かに。


 その車を、見送って。


 見えなくなったところで。


 母さんと、ユイナおねえちゃんと、あたし。


 三人。


 家の中へと、戻る。


 戻るなり。


 ユイナおねえちゃんが、うなる。


「うぅう、仕事中じゃ仕方ないかぁ。絶好のチャンスだと思ったんだけどなぁ」


 そして、母さんも、うなる。


「うぅう、パジャマ姿、見られちゃったじゃないの……恥ずかしぃ」


 あはは。


 おねえちゃん作戦、ちょっと失敗?


 失敗と言うか、不発、かな。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ