第247話:手に負えない暴走姉妹
母さんとおねえちゃんが、姉妹ふたりで、お風呂。
姉妹とは言え、義理。
母さんが、今の両親に引き取られてから、姉妹になったから。
血はつながっていないけど。
高校生で、妊娠中の母さんと、突然引き合わされた、おねえちゃん。
サヤカ叔母さんも、当時はまだ、中学生。
ユイナおねえちゃんは、小学生。
混乱しただろうなぁ。
でも。
一緒にお風呂に入ったりして、すぐに打ち解けたんだって。
義理とはいえ、三姉妹。
母さんが、働きに出るようになって、実家を出る頃には。
サヤカ叔母さんも高校生で、ユイナおねえちゃんも中学生。
それでも、数年間、仲良く。
家を離れても、定期的に連絡は取り合ってたらしいし。
仲良し、姉妹。
あたしは。
一人っ子だから。
姉妹とか、兄弟とか、ちょっと憧れ的なものも、無くはない、けど。
ユイナおねえちゃんも、サヤカ叔母さんも。
おねえちゃん、みたいな感じだし。
ね。
あ。
でも。
母さんが、結婚、したら。
弟か妹か。
きょうだいが、できたりするんだろう、か?
そんなおねえちゃんと母さんが、ふたりでワイガヤと、お風呂からあがって来る。
ユイナおねえちゃん、すごく楽しそう。
母さんは。
すごく、照れた様子。
お風呂でのぼせた、ってわけじゃないんだろうけど。
お顔も、真っ赤。
これは、おねえちゃんの攻撃が、かなり激しかった模様。
バトンタッチ、で、あたしも、お風呂。
いつもの、お風呂ルーティンを、こなして。
ナイトブラ、それに、お腹まである長丈のショーツの上から。
パジャマ替わりの、スウェット。
髪が少し長くなってきたので、充分に乾かして。
リビングに戻ってみれば。
「おー、真綾ぁ、ホント、女の子みたく長風呂だなーこっちこっちこっち来て座れー」
出来上がっていた……。
いつの間にお酒なんて。
普段、母さんは全然呑まないし。
家にお酒は置いてないはずなんだけど。
いつの間に買って来たのやら。
逆らうと後が怖いので。
誘われるまま、リビングのソファ。
ユイナおねえちゃんの、横へ。
イヤな予感しか、しないんですけど。
仕方なく。
ぽふん。
「いいかー、真綾ぁ、よく聞けー」
即座に、肩を抱かれて、耳元で。
「ヤるのはイイ、ヤるのはイイんだぁでもなぁ避妊は絶対に欠かすなーヤればデキちゃうんだその事は忘れるなぁー」
「そうよ、真綾、ちゃんと持ってる? ちゃんと持っておかないとダメよー」
母さんまで!?
なんと。
普段滅多に呑まないのに。
ユイナおねえちゃんに、無理やり、呑まされたっぽい?
「そうだぞーヤられて一発でデキちゃった母ちゃんが言うんだ説得力アリアリだぞー」
ぐあぁ。
た、助けて……お酒くちゃい……。
「一発かどうかわかんないわよーいっぱいされちゃったしー」
「ねえさん、そんなにヤったのー?」
「うやー」
ぎゃぁああ。
ほんと、お願い、やめてぇ。
この話は。
さすがに、拷問以外の何物でもないですよぉおおおおお。
真っ赤になって、うつむくしか、無いじゃないっ。
やばいやばい、逃げないとぉ。
うぅ。
ふと、ロゥテーブルを見ると。
飲みかけの、グラス。
よし。
そこに、置いてある茶色いボトルの中身を、とぷとぷと、注ぎ足して。
「おねえちゃん、お酒、お酒、どうぞどうぞ」
「おぅ、気が利くねぇ真綾ちゃん! いいホステスになれるぞっ! ぐびー」
「母さんも、ほらっ」
「あらー、ありがとーごくんごくん」
ほっ。
とりあえず、口封じ。
あたしは、こっちのお水をもらって飲もう。お風呂あがりでノド乾いてたし、ちょうどいいや。
さて。
それから。
「らからー聞いてるぅ? まぁやぁー?」
「にゃむにゃむふにゃぁー」
すっかり酔いつぶれたふたりを。
「さあ、ほら、もう寝ないとっ」
って、それぞれの寝室へ、連行して。
なんとか。
脱出っ。