第239話:結論を申しますれば
三人のトランスジェンダー女性の受験生。
その面接のあと、八時間目のメンバーで、三人について。
感想と言うか、印象と言うか。
この、東雲女子高校に、ふさわしいか、どうかについて。
議論。
そして、調査。
ネットも使って。
対象者についての情報は無いかと、探してみたところ。
七ちゃん九ちゃんは、とくに何も情報は、無く。
診断書の病院も、大きな病院で、こちらも問題はなかったけど。
問題は。
八っくん。
先ず、診断書の病院が、うさんくさい個人経営の病院。
クチコミでは、診断書の偽造のウワサも、ちらほら。
火の無いところに、って感じかなぁ。
それに加えて。
衝撃なのは、八っくんの父親の過去の、所業。
ちょっと、これは……。
父親と、本人は、別。
って、考え方もできるし、しなくちゃだけど。
病院の件と併せて考えると。
ね。
が、故に。
それらの内容を、校長先生、教頭先生、次の一年生の担任の先生たちに、ご報告。
意見具申。
「なるほど、情報、ありがとうございます。さすがにインターネットで情報を検索するなど、思いも付きませんでしたわ」
それでも。
「貴重なご意見、ありがとうございます。あなた方の見解について参考にさせていただきますね」
この場では、確定的な判断は、まだ。
先生たちが持ち帰って。
総合的に判断される、とのことで。
面接の段取りは、全て終了。
あとは、帰宅するのみ、なんだけど。
「ネットで検索したらこんなすぐ出てくるのに」
「バレないと思ってるんかな?」
「ダメ元で、あわよくば、かしら?」
あたしも、そう思います、先輩方。
「でも、真綾も最初は完全に男子だったんだよね?」
あー。
「ええ、まあ……」
「エロい展開とか、夢見ちゃったりしてた?」
エロい展開って、どんな展開ですか、おさげ子先輩……。
「肩身狭くてそれどころじゃなかったですよ。逆にそんなことしたり考えたりしたら、袋叩きにされると思ってましたからね。他の子の方見ないようにしてましたもん」
「ほんとーかなー?」
ぎゃぁー。
金髪子先輩まで、絡みだしたっ。
あたしの後ろに回り込んで、肩を抱いて来る。
「ミリ先輩おさわり禁止です離れてー」
「えー」
先輩たちも。
男子に慣れない、男子に近寄れないとか。
面影も、無く。
本気かどうか、いや、冗談なんだろうけど。
色んな理由を、付けて。
あたしと結婚とか、言い出す始末。
もうすぐ高二、とは、言え。
まだまだ、そんな。
先の、話。
結婚、と、言えば。
あたしより先に。
母さん、だよなぁ。
そっちの話も、どうなったんだろうなぁ。
「真綾も今じゃもうすっかり女の子だもんね」
「下手すりゃわたくしたちより女の子らしい時もありますもんねぇ」
「サクラ、言葉使いがお嬢様じゃなくなってる」
「うるせーですわ」
「いひゃいいひゃいひゃめへひゃふひゃー」
あはは。
「あはは。あんたたちも、相変わらず、ねぇ」
エリ先生も、苦笑。
「そういえば、エリ先生、アパートの再建はどんな感じなんです?」
そう。
そっちの問題も、まだ残っていたり、する。
火事でアパートが全焼して、現在、学校住まいの、エリ先生。
「もう少しで終わるらしいんだけど、ちょうど春休みの頃に引っ越しかなぁ。通勤時間ゼロの今も捨てがたいけど、いかんせん部屋が狭くって狭くって」
お風呂も無くて、あたしん家のお風呂を使ってもらってるもんね。
エリ先生がお風呂入ってる時は、あたしがその部屋のお留守番。
そんな、三月も。
去り行く、日々。
たまには、懇願してみるるん!
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話数はどんどん増えておりますが、終わる(終われる)気配が、無い、デス。
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引き続き、玄関ダッシュの真綾ちゃんを、よろしくお願い致します。