第205話:女子、恐るべし
ブラの上からブラ。
これが、本当の、ブラブラ。
「ナンジャソリャ」
「園田? さっきから、大丈夫か?」
「ダイジョブダイジョブ」
さすがに、女子校に通っているとは、言え。
すぐ近くで、女の子がお着換えしてる、とか。
こっちが恥ずかしいわよっ!?
「で、この『上げ底』を上のブラの中に収める、と?」
「うん、そう」
なん、だけど……。
「ぐっ、キっつぅ」
「元が『男子用』だから、内側がかなりフラットになってるから……」
ぺったんこの上に、モリモリするための物だから。
ぺったんこじゃない上にと、なると。
「あぁ、でも、上も下もどっちも柔らかいからなんとかなりそう!」
ヨカッタネ!
「園田、オレ、やばいかも……」
「ダヨネー」
「……おまえもヤバそうだ、な?」
ウンウン。
「よっし、収めたぞーうひゃああすげー」
何が、どう、すげーのか。
確認したいのを、ぐぐっと。
「ちょっ! 山田くんっ! ダメっ!」
振り向こうとする、山田くんの首をぐぐっと。
「あはは、ふたりともおもろーまってねすぐキャミ着るー」
ごそごそっ。
少し横を向いてしまったために。
視界の片隅に、ちらりとミツキさんの姿を捉えてしまい。
そっちに視点を。
ぶるぶる。
がしっ、と。
山田くんの肩と言うか、首に腕をかけて。
「ダメよっ山田っ」
「痛い痛い園田ギブギブ」
おっと。
首に回した腕に、山田くんタップ。
ぺちぺち。
「ふぅ」
「あはは、ホント、あんたたち仲いいなー妬けるなーこっち向いていいよー」
ミツキさんの声に。
振り向く、あたしと山田くん。
そこには。
「ぉお」
「おぉー」
キャミソールだけ、だから、目立ってる目立ってる。
しかも、見慣れないから、なおさらに、目立ってる。
「本物すげーな」
「いや、上げ底だし」
本物の女子は、って言いたいんだろうね、山田くん。
あたしも、そう思う破壊力!
ただ、後付けの上げ底の方が、キャミソールから溢れちゃってて、そういう意味でも、目立ってしまってる。
これだと、胸元の開いた服だと違和感あるなぁ。
「っと、これだと自分の服じゃサイズも合わないから、ここはやっぱり彼シャツだなーケンゴ、シャツ貸してー」
ここはさすがに。
彼氏彼女の、気の置けない関係、か。
彼氏彼女と言うより、すごく仲の良い友達か、姉弟みたいな、感じかな。
なんか、いいな。
「あ、おう。いいぞ取って来るわ」
部屋を出て、おそらく自分の部屋に戻ろうとしている山田くんに。
「何言ってんのよ、今着てるソレ貸してよ、ソレ」
「へ?」
あはは。
強奪、ミツキさん。
強奪される、山田くん。
「いや、じゃあ、それでいいとしてオレが着るものがねぇだろがどっちにしろ着替え取って来るわ」
脱出、山田くん。
残留、ミツキさん。
と、あたし。
「どぉ? まあやちょこっと揉んでみる?」
「もみませんっ!」
もぉ、本当に。
自分のを両手で、モミモミ、しながら。
ミツキさぁああああんっ!
山田くんがココに居たら、〇されてるわよ、ホント。
がくがく、ぶるぶる。
女子、恐るべしー。