第202話:森本くんよりちょっと若い山田おばさんの次は
どやーっ!
って、感じで。
ミツキさんが、後ろから入って来た山田くんを、ご紹介。
両手伸ばして、ひらひら、ひゅーひゅー、とか、口走りつつ。
山田くんの方も。
「ど、どだ?」
ちょっと、恥ずかしそう。
うん。
わかる。
初めて、じゃないかもだけど、ほぼ初めての、女装。
自分で見るのも、他のひとに見られるのも。
めっちゃ恥ずかしい、よねぇ。
うんうん。
胸元の違和感もあって、ちょっと背を丸めて、猫ちゃん気味。
そんな山田くんを、恋人のミツキさんが。
「ほれ、しゃっきっとしゃきっと」
「いてっ」
ビシバシ、と、背を叩いて、背筋を、ぴんっ、と。
そして。
「ほれほれ、森っちよりちょっと若いオバさん風でしょ?」
ミツキさんの、印象。
間違っては、いない。
森本くんも、おばさんチックだったけど。
山田くんも、おばさんチックは、変わらず。
そして、比較すると。
「服がちょっとだけ若作りなだけな気もする」
とは、比較対象たる、森本くんご本人。
「あぁ、端々のピンクが、若作り?」
「あと、山田の方が背が低いのがそれっぽいか」
「並んだら、確実に山田の方がそれっぽく見えるだろうな」
「とりあえず、写真写真」
「ぉ、おぅ、そう、だな」
山田くん。
前回の、と言うか、初回の女装が、アレ過ぎたのものあって。
ちょっとトラウマ?
ミツキさんの指導で、ポーズをとって。
みんなで撮影会?
そんな感じで、山田くん女装バージョンを堪能?
いや、もう、ハテナマークが乱舞する。
ナニコレ感は、否めないも。
みんなで、ワイガヤ。
うん。
楽し味。
「オレ、もういいよな? じゃあ、次は川村、若林、どっちだ?」
山田くんも。
ノッて来たかと思うも、やっぱり恥ずかしいらしく。
バトン……ブラと中身を、次の被害者へ渡したい模様。
「足元が見ずらいのもあるけど、あちこち違和感だらけだし、苦しい……」
ウエストを細く見せるために、ベルトで締め上げてるし、ね。
慣れないと、ブラジャーの締め付けと言うか、上半身にまとわりつく感じが、気持ち悪いだろう、ね。
経験者が、語ってみる。
あたしはもう、慣れたけどね。
着けてないと、不安になるしね。
ふふふ。
さて。
若林くん、VS、川村くんとなると。
森本くんと同じく背の高い、若林くん。
あたしより少しだけ背の高い、川村くん。
スラリとした若林くんか、ぽっちゃりの川村くんか。
ちなみに。
五人の中では、あたしが一番ちっこい。
若林くんと川村くんの仕上がりをイメージすると。
少し童顔な川村くんに分があるか?
そんな、若林くんと川村くんが。
目と目で、バチバチ。
(おまえ行けよ)
(最後でいいよ)
(いやいや、トリはまかせろ)
(最後のやつはそのまま帰る事にするか?)
(おいまていきなり何言い出しやがる)
いや、小声で。
聞こえてますやん。
最後、着て帰るってのも、面白いかも。
まぁ、確実にトラウマになるだろうから、やめてあげて?
と。
ざわざわ。
次は? どうする?
あっちが、こっちが。
そっちが、どっちだ。
がやがや。
してたら。
「はいはーい!」
手を、あげたのは。
意外や、意外。
「え? なんでお前?」