第199話:山田くんの女装リベンジ
女装した、森本くんを見て。
ぉお、っと、どよめきの、一同。
ただ、その中で。
激高したのは、山田くん。
「おぃ、ちょっとマテ、ミツキなんだこれなんか普通にそれっぽいじゃないか」
どういう事か、と。
それは、少し前に、山田くんがミツキさんの手によって女装させられた時の、こと。
服装もイマイチだったけど、お化粧も、なんか、そう。
お化け?
みたいな。
頬紅も真っ赤でぐりぐりで、アイシャドウとかも黒々と。
口紅も真っ赤で、ちゃんとひけてなかったから。
ね。
それに比べると、今、この、森本くんの女装は。
体格の事もあって、それほどではないものの。
まぁ、それっぽく。
「普通に普通のおばちゃんだろ、これ」
山田くんのおっしゃる通り。
なんとなく、おばさんチックな、仕上がり。
おっきいおばちゃん。
うん。
それは、それで。
「いやぁ、まあやのコーデもそこそこだし、なんかアタシもお化粧張り切っちゃったテヘ」
「テヘじゃねぇ、こんちくしょうっおぃ園田っ次オレだオレ。オレにもコーデしやがれ」
はへ?
勢い。
怖い……。
「いいけど……いいの?」
山田くんには、いいけど。
他のひとは、いいの?
って、お伺い。
こくこく、と、頷く、ひとびと。
この勢いには、勝てませぬ、と。
「じゃ、じゃ、一度森本くんの女装解かないと、ね」
洋服はともかく、中身とブラは人数分揃ってないからね。
「なら、その前に写真写真っと」
若林くんが先導して、森本くんの写真を、ぱしゃぱしゃと。
「よっし、いいぞ園田」
「はーい。じゃあ森本くん、こっちこっち」
「ぉうっ」
森本くん、写真に撮られて恥ずかしそうだったけど。
とっとと解放されるって事で、喜んでるかな。
そんな森本くんとレイちゃんと三人で、お着換えルームの書斎へ戻って。
脱ぎ脱ぎ。
ブラと中身、それからウィッグを回収して。
森本くんは元の男子に……。
完全に戻るには、お化粧も落とさないとね。
それは、この部屋じゃなくてもいいから。
リビングに戻って。
「ミツキさんにお化粧落としてもらってね。ミツキ、よろ」
「はいはいよーこっちおいでー」
ミツキさん、森本くんを連れて、多分、洗面所方面へ。
うん。
山田くんのお宅ながら。
勝手知ったるなんとやら。
どうやら、頻繁にこのお宅に来られてるんだろうねぇ。
さすが?
「さて山田くんはこっちへ」
「おーぅ、頼んだぞ園田、菅原」
「はいはい」
「はーい」
さて。
山田くん。
どう仕上げましょう?
身長的にはちょうどあたしの母さんと同じくらいなのよね。
似た身長の川村くん用に、と、思って、母さんの洋服を少し借りてきたけど。
母さんの、私服。
歳のわりに、と言うと、怒られるかもだけど。
意外と、少女趣味な感じのが、あったんで、そういうのを借りてきた。
『若い頃に着てたのよー』
って、ご本人、談。
ホントかどうか?
着ているところ見た覚えが無いから。
あたしが小さい頃とかに着てたのかなぁ。
そういうのだけど。
山田くんにも、合う、かしら?
サイズ的に合うかどうかもあるけど。
そもそも、似合う、かしら? かしら?