第195話:山田くん家で女装チャレンジ男子諸君
よっし!
先輩たちと先生には、バレずに。
女装チャレンジ。
山田くん家で、開催っ。
地味に面倒くさい気もしなくはないけど。
あたしやレイちゃんと違って。
意図があってのものではなく。
ただただ、単に『面白いから』って。
まぁ、いいけど、ね。
そもそもの発端が、あたしってところも、無きにしも、だし?
参加者は。
もちろん、山田くんと、言い出しっぺでもある、恋人の、ミツキさん。
そして、被害者とも言える。
森本くん、若林くん、川村くん。
んでもって、オブザーバーと言うか、アドバイザーと言うか。
おまけの、あたしと、それに。
「レイちゃん、おひさー」
「おひさ真綾ちゃーん」
「いぇーい」
「イエーイ」
レイちゃんと、ハイタッチ。
「おぉ、女子感高いねぇ、ホント、あんたたち」
「あ、ミツキさん! 初めまして、レイです!」
「おぅっす。まあやから聞いてるよー、レイ、よろしくなー」
と、早速和やか女子チーム。
実質は。
ミツキさんひとりの、逆ハーレム状態だったりはするんだけど、ね。
そして、男子チームは、と、言うと。
「女物の服借りるのも大変だったんだけど」
「オレ、母ちゃんの借りてきた」
「オレも……」
「お前ら……おつかれ」
テンション、低っ。
ちなみに、今日は学校関係じゃないので、あたしは私服~。
まぁ、無難に無地で地味なブラウスにベスト、ロングスカートの上からロングコート。
逆に、これくらい地味じゃないと目立っちゃうからねー。
一応、みんなに貸してあげられるように、いくつか可愛らしい洋服も持ってきたけど。
ただ、体格的に、あたしが一番ちっこいからなぁ。
サイズ的に合わなさそうな気もする。
そして。
ミツキさんが。
「ふふふ、じゃぁ、誰からスる?」
陣頭指揮?
「てか、本当にヤるん?」
「もちろんっ!」
「お前らも味わえっ!」
デスヨネー。
ミツキさんと山田くん。さすが仲良しカップル。
ちょっと意図が違う気もするけどー。
「あ、じゃあ、オレさっさと終わらせたい……」
手を上げたのは。
森本くん。
「おぉ、勇者っ! じゃあ、まあやとレイはコレの着け方、教えてあげて」
はいはい。
手渡されたのは、下着と、中に収める上げ底、それにウィッグ。
上げ底は、あたしやレイちゃんが着けてるのより、おっきいヤツ。
ネタにも程がっ、って、感じもするけど。
まぁ、お遊びなら、これくらいの方がインパクト?
ブラもそれに合わせた、でっかいサイズ。
Eくらい?
裏のタグ見たら。
『F90』
うん。なんか、どこかのロボットアニメのような。
それは、さて、置き。
「こっちの部屋、使ってくれ」
家主のご子息、山田ケンゴくんが、案内してくれたのは。
おそらく、お父様の、書斎? みたいな小さな部屋。
両側に、本棚。奥に机。机の上には、パソコン?
机の前に、椅子。
机と椅子、それに本棚の空いてる部分に洋服やらを一時的に置いて。
「えっと、先ずは上、全部脱いで、ね」
「ぉ、ぉお……」
もじ、もじ?
少しゆるっとした動作で。
服を脱ぎ始める森本くん、だけど。
「ちょ、あっち向いててくれよ」
「あ」
「あ、ごめ」
マジマジ、と見てた。
レイちゃんと、一瞬、顔を見合わせて。
くるっと、反転。
「これで」
「どうぞー」
「おぅ」
がさ、ごそ。
衣擦れの、音。
「よし、脱いだぞ」
また、くるっと反転。
脱ぐところは恥ずかしいけど、脱いじゃったら平気なのかな?
まぁ、あたしも、レイちゃんも。
別に、男の子の上半身裸の姿とか。
なんとも、思わないんだから、ね?
さて。
「んじゃー、ブラ、着けてこーかー」
んふふっ。