表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
どとぉの冬休み~山田くんの彼女と
186/349

第186話:ミツキさんと下着屋さんにて



 駅ビルのエスカレータを昇って。


 すぐ脇の、下着屋さん。


 つい先日にも来たところ。


 だけど。


「ごめん、ホント勘弁して、お願いだから」


 両側から捕縛(ホールド)されて、拉致寸前の山田くんが、抵抗。


「えー、いいじゃん、アタシに似合うの、選んでよー」

「無理無理、無理無理」


 お店の前。


 ちょっと、営業妨害?


「あはは。ミツキさん、解放してあげようよ。()()()男の子にココはキつすぎると思う、よ?」


 あたしでも、まだひとりで入るには抵抗があるし。


 この間はレイちゃんや先輩たちも居たからよかったけど。


 今日もミツキさんが一緒だから、なんとか?


「そっかぁ、しょーがないなぁ」


 と言いながらも、山田くんの腕からすっと離れて。


 あたしの手をとって。


「んじゃケンゴはそこらで待っててちょうだい。行こうまあや」

「うん」


 ささっさと、ふたりで店内へ。


 向かう途中。


 何やら、後ろから。


(園田のやつもすげえよなぁ、あそこにすんなり突撃できるとか、ありえねぇ……)


 ぼそぼそ、っと。


 聞こえた気がしなくも、無いけど。


 うん。


 聞こえなかった事に、して、お店に入って。


 ゆっくりと通路を歩きながら、商品を眺めつつ。


「さーて、じゃぁまあやの下着レッスン、お願いしようかなぁ」


 うーん。レッスン、と、言われても、なぁ。


「えーと、それじゃ、ミツキは今着けてる下着に不満とか不都合とか、無い?」


 一般論的な語り、よりも。


 身近な、我が事の方が。


 興味も大きくなるだろうし、実用的、かな?


「あぁ、あるある結構キツい感じがするクセに上の方はゆるゆるって感じで、なんか合ってない気がするんだよねぇ」


 ふむふむ。


 それって、単純に。


「サイズが合ってないのかなぁ」

「一応、母ちゃんにサイズ測ってもらって買ってるんだけどなぁ」

「こういうお店でフィッティングとかしてもらった事は?」

「フィッティング? あぁ、試着はした事ないね」


 ふむふむ。


「だとしたら、一度ちゃんと計測してもらって、フィッティングしてみた方がいいかもね」


「そうなの?」


「うん。サイズの測定とかも、きちんとしないと、正しく測れてない可能性もあるから」


「ほぅほぅ……って言うかまあや、そういうの、どこで覚えて来る訳?」


 うっ。


 まぁ、確かに、男がブラジャーに詳しい、とか。


 女性から見たら、不思議と言うか、気持ち悪い、よねぇ。


「一応、ほら、自分でも着けてる訳だし、ネットとかで色々調べてみたのよ。だから、ネットのウケウリが多い、けどね」


 などと。


 言い訳、って取られるかもだけど、これは本当の、こと。


 下着メーカーのウェブサイトとか、下着の解説をやってる動画投稿サイトの動画とか見て、お勉強したもの。


「ふむふむ。じゃあ、フィッティングってどうすればいいのかな?」


 ミツキさんも納得してくれたみたいなので。


「えっと、店員さんに頼んで……」


 きょろきょろ、と、店員さんを探してみると。


 向こうもどうやら、こちらを窺っていたらしく。


 目が合うと、ニッコリ。


 すたすたっと速足で。


「いらっしゃいませ。いかがなさいましたか?」


「えっと、この()のブラ、合ってないみたいで、計測とフィッティングをお願いしたいんですけど、飛び込みで、いけます?」


「はい、大丈夫ですよ。こちらへどうぞ」


 そんな感じで、フィッティングルームに案内されるんだけど。


 あたしが最後まで着いて行く訳にも、いかず。


「じゃあ、あたしは山田くんと一緒に外で待ってるね。終わったら山田くんにメッセージ送って」


 そう言って、その場を離れようとすると。


「えーまあやは一緒じゃないの?」


 引き止められそうになるけど。


「いやいや、いやいや、さすがにそれはマズすぎるし」

「えー、別にいいじゃん」


「だめだめ。たとえ()()()()()こういう時はお互い気まずいし、ね?」

「アタシは気にしないけどなー」


「他のお客さんとかが、気になる、気にするのよ」

「そっか……まぁ、しょうがないや」


 ほっ。


 なんとか、納得してくれた。


 店員さんも、苦笑してるんで。


「うん。えっとすみません、よろしくお願いします」


 そう、お願いして。


 なんとか脱出して。


 山田くん、探そう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ