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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
どとぉの冬休み~山田くんの彼女と
185/349

第185話:山田くん、ざまぁ



 山田くんと彼女のミツキさんと三人で。


 雪人さん雪枝さんのお店に来たものの、お休み。


 と、なれば。


「仕方ないなぁ、このまま帰るのもアレだし、ちょっとブラブラしてこーよ」


 さすがに、二人に着いて回るのは、お邪魔虫以外の何物でも無く。


 ここは、しれっと。


「じゃあ、あたしはこれで……」


 逃げようと思いきや。


「えー、せっかくだし、まあやも一緒にブラブラしよーよ街ブラー」

「いや、それは、さすがに……」


「イイってイイって気にしない気にしない、こいつとはいつでも会えるしねーブラブラ行こー、ブラブラー」


 いや、もう、ほんと。


 アクティブ、ですね!


 とほほ。


 と、思っていたらば、山田くんが。


 げらげら、お腹を抱えて笑ってらっしゃる?


 何がそんなに可笑しいの、かと。


「ミツキ、おまえ、ブラブラって、ブラブラって、うはははは」


 ブラ、ブラ……あ。


「なによ、ブラブラいいじゃない、街ブラ」

「いや、なんか、ちょっとセクハラっぽいなって」

「なによ、街ブラのどこがセクハ……ラ?」


 気付いたらしい、ミツキさん。


 ちょいと顔を赤らめて。


「な、な、何言い出すのよ! そんなんアンタの方がセクハラじゃんっ!」


 そりゃまあ、男の子が、()()の話とか、ね。


「あー、でも、園田(こいつ)()()詳しいらしいぞ?」


「え」

「え」


 おいこら山田っ!


 だから、何でもかんでもバラすんじゃねぇえええええっ。


 あら、やだ。


 お下品。


「んんっ、ちょっと、山田くん、何を言ってるのかなぁ?」


「あ」


 さっき釘刺したばかり、なのに。


「あぁ、でも、わかるー。女装するのに必要だもんねーそっかそっか詳しいのかー」


 ぎゃぁ。


 ミツキさんが食いついて来られたじゃ、ないですかっ。


「じゃあ、アタシもまあやに教えてもらおうかなー。アタシあんま詳しくないんだよねー()()()()()ってさよしよし行こう行こう下着屋さん行こう」


「おいちょっと待て、オレも、か?」

「あたりまえじゃんケンゴの好きそうなの選んでもらうし」


 ご愁傷様、山田くん。


「まてまて、まてまて、さすがにそれは勘弁してくれ」


 焦る、山田くん。


「よーし、まあや行くじぇーケンゴも行くぞー」


 両手で、あたしと、山田くんをひっ捕まえて、ぐいぐい、と。


 駅前ビルへ向かって歩き出す、ミツキさん。


 あはは。


 あたしは、まだマシだけど。


 普通の男の子である山田くんにとっては。


 ある意味、地獄? それとも、天国?


 ざまぁ。


 ちょっと笑える。


「うん、じゃあ、行こっか、ミツキさん」

「おーおー、おススメのブラジャーとか教えてよねー」

「うんっ」


「おまえらちょっと待ってくれいやこれホント勘弁いやあああ」


 手のつなぎ方を、変えて。


 ミツキさんとあたしで、山田くんの両腕にしがみついて。


「両手に花じゃん、いいじゃんケンゴ」

「えいっ」


 ぎゅぅうう。


「ぎゃああ、当たってる当たってる両側から当てるなぁああああ」


「ニシシっ」

「んふふっ」


 なんか、面白くなってきちゃった……。


 ノリと勢いって。


 怖い。


 けど。


 楽しいっ!



 かも?





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