第175話:母さんと帰省ドライブ出発
冬休み。
クリスマスも、終わって。
年末。
いやぁ、クリスマスにグループチャットでひと悶着あったのは、あったけど。
見なかったこと、聞かなかったことに、せざるを得ず。
掘り下げられなくて、よかった…・・・。
女子トークのノリで、全員でこっちにまで詰め寄られたら。
恥ずかしいなんてもんじゃ、ない、よ?
いゃ、まぁ、聞いてみたい好奇心も、無くは、ないんだけど。
それは、それで、後が恐ろしい事にもなりかねず。
そう言えば、金髪子先輩は、エリ先生からお説教、喰らったんだろうか?
はふぅ。
年末、お母さんもお休みに突入して。
気分も入れ替えて。
ふたりで、お家の大掃除。
とは、言っても、普段から小マメにお掃除してるので。
さほどの手間も、かからず。
少し早めに。
お母さんの実家へ向かおう、って、ことで。
年末年始の数日を過ごすにあたっての、支度。
お洋服やら、下着やら、小物やらを旅行バッグに詰めて。
「そうだ、制服も持って行かなくちゃ」
そうなのよね。
入学が決まって、お爺ちゃんお婆ちゃんにその報告はして。
写真は時々送ってた、けど。
高校生になってから会うのは初めてってことになるから。
制服姿を見たい、ってリクエスト。
なので、学校関係ないけど、制服も持参。
「真綾ぁ、支度、出来たー?」
「はぁい、今行くー」
母さんに呼ばれて、自室を出てリビングへ。
「戸締りもチェックしたから、もう出れるよ」
「あたしも二階は見てきた。あと、ガスの元栓は?」
「あ」
「お風呂場、見て来るから、母さんはキッチンを」
「はぁい」
なんて。
少し、どたばたは、いつもの光景。
しっかりしている母さんも。
たまに、ポカる時もあり。
「おっけー、じゃあ出かけましょうか」
「うん」
手荷物と、制服を手に。
母さんの車へ、乗り込む。
ぱっと見、軽自動車にも見えなくはない、少し小さく感じる白い車体。
後部座席の足元に、荷物を置いて。
制服はハンガーのまま、座席のヘッドレストに吊り下げる。
たたんで鞄に仕舞っちゃうと、シワになっちゃうしね。
車だし、この方法で持っていくのが、吉。
「おっけー母さん、出せるよ」
年末で、お休みの時期なので。
家の前の道路は、かなり空いてるから。
信号を止めなくても、難なく車を出せる。
母さんが車を車庫から出して、道路へ出て。
そのまま直進して、しの女の正門前のスペースへ移動。
してる間に。
あたしが、車庫の門を閉めてから。
押しボタン信号を押して、歩行者側を青にして、正門前へ。
助手席側に回り込んで。
「シートベルトしっかり、ね」
「はぁい」
かちゃっ。
「んじゃ、行くわよー」
「うん。れっつごー」
なんて感じで。
母さんの運転で、ドライブ、開始。
母さんの運転は。
うん。
エリ先生の運転より安心して乗ってられる、かな。
「そう言えば、母さんって、車の運転はお爺ちゃんに教えてもらったんだっけ?」
「そうよー。広い私有地あるから、免許無くても車に乗れちゃうからねー。そっか、真綾にもそろそろ、教えてもいい頃かな?」
「え? いや、まだ早い気がする……」
車の免許って、十八歳から、じゃなかったっけ。
まだ十五だよ。
もうすぐ十六だけど。
「習うより、慣れるが早道だからね、実際に操作を身体で覚えた方がいいよ」
「そういうもの?」
「うん、そういうもの」
だ、そうです。
なんて、顔はしっかり前を向いた母さんと、車中の会話。
もしかしたら、お母さんか、お爺ちゃんに。
運転を教わる事に、なるのかな?
「クラッチでギアを繋ぐ時の足の感覚とか、加速しながらコーナー曲がる感覚とか……」
へ?
「話で聞いただけじゃ、コツは掴めないからねー」
ちょ、ま。
車とか、あんまり詳しくはないけど。
クラッチって、ナニ??




