表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/349

第16話:フィッティングと新しいブラ



 女装男子ショップに拉致されたオレ。


 女装男子の店員さんと、その女装息子さん。


 キレイだし、カワイイとは思うが。


「アカネ、アキラとお店、お願い」

「はいよー」


 奥さんと思われる女性を隣の女性向けショップから連れて来て。


 いや、息子さんと言うか娘さんと言うか。


 そっくりですね。


「では、こちらへ」


 と、案内される。


 絶賛、フィッティングルームに監禁され中。


 なんだ、これ?


「ブラは取らなくてもいいよ」


 外から解説してくれる店員さん。


 はいはい、と、言われた通りにジャージの上を脱いで。


 下に着ているTシャツも脱ぐ。


「ストラップだけ肩から外していったんカップを下げてからカップの中に収める感じで着けてみて」


 生々しい物体(オブジェクト)を。


 ぴたっと。


「ひっ!?」


 一瞬、ヒヤリ、と冷たい感触が広がる。


「カップに収まったらストラップを戻してみて」


 言われた通り、柔らかい物体(オブジェクト)をカップに収めつつ、ブラを上げてストラップを肩に通す。


 なんだ、これ?


 姿見に映る自分の姿が。


 ブラのカップ自体が盛り上がっているとは言え、中身がなかったので、ぺたんと潰れがちだったのが。


 中身が入ったコトによって、本来の姿に変われば。


「……」


 首から下だけを見れば、なんか、それっぽいとも言えなくはないが。


 ないが……。


「きつくない?」

「あ、はい。きつくはないです、けど……」


「?」

「窮屈、ですよね、ブラ自体が……」


「あぁ……はは。慣れないと、そうかもね。ボクも着け始めた頃は違和感あったけど……慣れるとね……」


 慣れると?


 店員さんが少し小さな声で、続ける。


「着けてないと、不安になるよ?」


 えー……。


 そんな境地が?


「どう? いけそう?」


 とか思っていたら、母ちゃんの声。


「うん、大丈夫、これでいけそう」

「じゃあ、コレも試着してみて」


 え?


 カーテンの隙間から母ちゃんの手。


 その手に。


 白地にピンクの花柄の刺繍の入ったブツ。


 いやいや、いやいや。


「これだと校則違反になるだろ」


 外に居る母ちゃんに聞こえるように、少し大きな声で告げるが。


「何言ってんの。お(うち)用に決まってるでしょ」


 ぉぅぃぇー。


「あ、家では着けてないんだ?」

「いや、着けませんって……校則で仕方なく学校で着けてるだけで」

「あぁ、慣れるなら、家でも着けてた方がいいよ?」


 ぇー。


 抵抗虚しく。


 白地に花柄の。


 女の子女の子した。


 いや、まあ、ブラ自体が女の子女の子してるって言うか、男用じゃないし。


 その花柄のブラジャーと、中身の物体(オブジェクト)を装着。


 その上からTシャツを着てみると。


 白いTシャツが盛り上がって、その下にうっすらと浮かぶピンクの花柄。


 見えそうで見えない。


 いや、これ、ジャージ着たら完全に見えなくなるのに。


 まぁ、形状は中身の物体(オブジェクト)のおかげでそれっぽくはなってるとは思うけど。


 自分以外に見せるコトもないのに、柄とか、関係、無くね?


 なんでこんな複雑な模様にする必要があるのか?


「サイズ大丈夫ならそれ買ってあげるからねー。着替え用にこれとこれも試着よろしくー。みんなで選んだからねー」


 母ちゃんっ! そして先輩方っ!


 あ、先生も、か……。


 カーテンから中に放り込まれたブラ。


 形はちょっと違っているが、さっきのと似たような柄の入ったヤツ。


 水色っぽいのと、黄色っぽいのと。


 あぁ、もう、やっぱり完全に玩具(おもちゃ)にされてるよ、コレ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ