第159話:まぁやがまひたー
夜。
帰宅した母さんと、夕食の、席。
「母さん、クリスマスって時間取れる?」
「んー、その頃は超忙しくて構ってあげられないと思うよ」
あ。
「そうなんだ」
「今年は特に忙しそうなのよね。年末直前に発送しないといけない商品が山ほどあって、現場から応援要請も入ってるの」
「なるほど」
もさもさ。
ごはんを食べながらの会話は、少しとぎれとぎれに。
「クリスマス、何かあるの?」
「ん、先輩たちのクリスマスパーティにお邪魔できるかな、って」
「あぁ、そうなのね……でも、残念だけど、無理そうだわ」
「うん、お仕事なら仕方ないよね」
「ええ、ごめんなさい、ね」
お仕事大変。
「うん、こっちこそ、ごめんね」
後で先輩たちにお断りを入れておかないと。
「年末年始はいつもの通り、お爺ちゃんのとこだよね?」
「うん、さすがに年末年始は普通にお休みするよ」
もぐもぐ。
ちなみに、今日の晩御飯は、親子丼。
とろとろ卵に柔らか鶏肉に玉ねぎ青ネギ。
お好みで、軽く振った七味唐辛子。
ぴり、ぴりり。
進路の話もした方がいいかなと思ったり思わなかったり。
でも、まぁ、また、今度でいいか、な?
そんな夕食も、ささっと済ませて。
お茶とデザートで軽く、くつろいだ後。
「さーて。洗い物は母さんがやっておくから、先にお風呂入っちゃって」
「はぁい、ありがと」
着替えを取りに部屋に戻ったついでに。
グループメッセージで、クリスマスには母さんが仕事で忙しい旨を報告。
それから、お風呂に入って。
ついでに、下着も手洗いして。
「ふぅ、母さんもお風呂どうぞ」
「はーい」
母さんと交代。
部屋に戻ると、メッセージが返って来てる。
『おつおつ。そっかーまたなんか別のイベント考えるかー』
みたいな。
『年末年始もそれぞれとすると、冬休みは短いからねぇ』
『と、すると、次は春休みになりますかしら』
春休み、かぁ。
進級、二年生、かぁ。
新入生、新一年生も入って来るんだよねぇ。
『春だと、お花見?』
『お? いいね。お弁当作って、お花見ー』
『お弁当も一緒に作るのもアリですわね』
あはは。
先輩、気が早いな。
「じゃあ、内容はまたおいおい考えましょう」
と、シメにかかったところで。
『またれよ少女たち』
エリ先生?
『と言うか、真綾ちゃん、クリスマス、先生たちのパーティに来ない?』
え?
「いやいや、さすがに大人の会に学生のあたしはマズいんじゃないですか?」
『大丈夫。下戸嬢の会だから、アルコール無いし、大丈夫』
そういう問題でも無い気もするけど。
『友達が真綾ちゃん見たい、連れて来いってうるさいのよ』
えー。
「お友達って、女性ですか?」
『うん。みんな女性だよ』
まさかの。
と、言うか。
「お友達にも、あたしの事、喋りまくってる訳ですね?」
『いやぁ、つい』
つい、じゃ、ないわよー。
ぷんすか。
「あんまり遅くならないなら、いいですけど」
『門限とかあるの?』
「門限とかは無いですけど、さすがに午前様はマズいかと」
『だよねぇ。ちょいスケジュール考えてみるから考えておいてー』
「わかりまひた」
あ。
ミスタップ……まぁ、いいか。
『まひた』
『まひたー』
『まぁやがまひた』
うるさいっ!




