表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/349

第15話:ユキトとアキラ



 我らが母校『しの女』の最寄駅の隣の駅から少し歩いたところに。


 ありました。HP(ホームページ)で見た、お店。


 『女装男子専門ショップ・YUKITO』


「お隣は普通に女性向けのファッションもやってるのね」


 エロ先生……じゃなかった。ロリ先生のおっしゃる通り。


「なになに……『ガールズ・ファッション~YUKI』」


「女の子向けが『YUKI(ユキ)』で男の娘向けが『YUKITO(ユキト)』かぁ……」


 おさげ子先輩と金髪子先輩の感想と言うか、レポート?


 女性向けのショップがもともとあって、そこに女装ショップを追加した感。


 『YUKI』の入り口から入ってすぐ、左に『YUKITO』への誘導案内。


「ウチ、こっち見て来てよい?」

「だめよ、貴女も一緒にこちらへ」

「ぅぇー」


 金髪子先輩が女性向けのショップに行こうとするが、ぱっつん子先輩に引き戻される。


 ロリ先生も後ろ髪ひかれてそうで、時々振り返って女性向けショップの方を見てるな。


 オレと母ちゃんは三先輩の後に着いて店内へ。


「いらっちゃいまちぇ!」


「うわー、何? カワイーっ!」


 出迎えてくれたのは、幼女。


 幼い少女と書いて、幼女。ちっちゃな女の子。


 三歳か四歳ぐらいか?


 いや、もう、これ、何から何まで。


 色々、想定外。


「パパ~、きれいなおねーちゃんがいっぱいきたよー」


 なんで女装男子ショップに幼女?


 店の奥に座っていた美人なお姉さん……お姉さん??


「ほら、アキラ、こっちおいで……失礼しました。いらっしゃいませ」


 お姉さん(仮)が立ち上がり、幼女を抱き上げてこちらへ。


 容姿だけを見れば、キレイなお姉さん。


 いや、でも『パパ』って呼ばれてなかった?


 それに、この声……。


「えっと……あ、君かな? 何かお探し物でも?」


 オレの存在に気付いたのか、声をかけられる。


「あ……や……その……」


 オレは混乱している!


「このおにーちゃんも、パパとボクとおなじ?」

「うん、多分、そうだと思うよ?」


 幼女とその母親らしき父親と……え? ボク?


 水色の可愛らしいワンピースに赤いリボンで髪を結っているが。


「はい、このヒトにちゃんとした女装をさせたくて……」


 ロリ先生が店員さん母子(おやこ)(?)に事情を説明。


「なるほど……『しの女』が共学化されたって初めて聞きましたよ……」


 全然、宣伝してなかったらしいしなっ!


 たまたま家の真ん前の学校だったから興味があって調べて共学化に気付いたオレだけど。


 男子の出願数が少なかったのも、宣伝してなかったせいだろう。


 それはともかく。


「それで、ブラの中に入れる上げ底? みたいなのが売ってるってネットで見て。あと、ウィッグもあるとか」


「はい、それでしたら、そちらの後ろに……」


 入口から入って見た正面、ではなく、入り口のすぐ脇。


 並んでいる。


「おぉ……写真で見て生々しいと思ったけど、現物はさらに生々しいね」


 金髪子先輩の初見感想。


 (うなず)く面々。


 オレもそう思う。


 ずらっと並んだ肌色の物体(オブジェクト)


「うわ、ふわっふわ……それに思ったよりずっと軽い……」


 金髪子先輩が興味津々でその物体(オブジェクト)を手にとってもふもふしている。


 他の先輩方も同様に。


 いや、なんであんたたちが?


「えっと、店員さん……」


 念のため、確認しておきたくて、店員さんに声をかける。 


「はい?」

「店員さん『も』、その……」


 男の娘さん?


「はい、そう(﹅﹅)ですよ」


 にっこりと微笑んで返してくれるその姿は、どう見ても美女なのだが。


「あと、この子も……ボクの息子なんですけど」

「はぁ……」


 やっぱり……。


「サイズの希望とか、あります? ブラも用意してるので一緒に、フィッティングしてみますか?」


 矢継ぎ早に問われるが。


「あ、いや、その、えっと……」


 しどろもどろ。


 しどろん・もどろん。


 新しい漫才ペアか?


「ブラは自前の着けてるので大丈夫です。このサイズでフィッティングいいですか?」


 なんでおさげ子先輩が仕切るっ!


「はい、では、こちらへ……」


 勢いで試着室へ連行される、オレ。



 いやん。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ