第149話：八時間目の拡大授業～真綾の下着講座
なんか、先輩方に対して、だけではなく。
他の生徒たち向けに、下着講座を、と。
エリ先生が持って来た、お話。
なんでも、あたしが先輩たちに下着の話をしたって話がどこからか校内に漏れたらしく。
エリ先生が他の生徒との会話の中で。
じゃあ、皆にも、とかって流れになったらしい。
で、先生が、希望者を募って集めてるとか。
やめてえええ。
と、言いたいところ、だけど。
レイちゃんや先輩たちに話したような内容でいいから、って事で。
拡大版、八時間目。
いつもの面々、だけでは、無く。
ずらり、席を埋める、女子生徒の皆さん。
クラスメイトのみならず、他のクラス、他の学年の方々まで。
「と、言う訳で、『真綾の下着講座』、はじめますよー。園田さん、よろしくー」
一応、エリ先生が最初に今回の授業の概要を簡単に説明。
その後、思いっきり、振られる。
「えっと、一年一組、園田、です。今日はよろしくお願いします」
教壇に立って、軽くご挨拶。
したらば。
拍手喝采！？
さらに。
「園田さんよろしくっ」
「真綾ちゃん、よろしくー」
「まーやちゃんかわいぃいいっ」
などなど、掛け声。
ぉうぉおぅ。
クジ引きで講堂の舞台に立った時より、さらに熱量があるような。
嬉しいやら、恥ずかしいやら。
「あ、ありがとう、ござい、ます」
少し拍手と掛け声が収まるのを待って。
「えっと、それでは、はじめて行きたいと思います、ね」
幸いなのは。
「今日は、ナイトブラ……夜、寝る時に着けるブラジャーについて、お話しさせてもらいます、ね」
レイちゃんにも説明したし、同じ説明を先輩たちにも繰り返した内容なので。
話の流れや、話すポイントはだいたい決まってるから。
「みなさんは、夜、寝る時にブラジャーは着けられていますか？」
なんて。
先生みたく、問いかけるように、訊いてみる風に。
実際に、答えをもらう訳じゃないけど。
さすがに、それは、セクハラになっちゃう。
だけど、見渡してみると。
小さくだけど、首を縦に振ってる人も居れば。
首を横に振ってる人も、居る。
ネットで調べた中では、『寝る時はブラを着けない』人は、結構多いみたい。
「ブラジャーを着けて寝るとして、昼用の、普通のブラジャーを着けていませんか？」
さっき、首を縦に振ってた、つまり、寝るときにブラを着けてる人の中で。
今度も縦に首を振る人、横に振る人。
つまり、昼用の普通のブラジャーを着けてる人も居らっしゃる、と。
そうじゃない人は。
ちゃんとナイトブラを使ってるか、もしくは、スポブラなんかを代用しているか。
「普通のブラジャーは、日中、起きている時、つまり、立ってる、座ってる、歩いてるような場面で、下向きの重力がかかっていることを想定して作られています」
ホワイトボードに、下向きの矢印を書いて、その下に、半円を描く。
もちろん、リアルにならないよう、あくまでも図式化した感じで、ね。
「仰向けに寝転んだ状態では、こんな風に、上下左右、全方向に重力が働きます」
同じ半円をもう一個描いて、中心から上下左右、四方向に矢印を描く。
「さらに、寝返りをうったりして、身体の向きが変わると、当然、重力の向きもこんな風に変わる事になります」
半円の向きを変えて、『（←』と『→）』の図を描く。
「昼用の通常のブラは、下方向にしか支えがなくて、寝ている時の上下左右の動きには対応できないんです」
一応、説明用にと持って来たブラジャー実物を広げて見せつつ。
「じゃあ、スポブラなら？」
さらに、持って来たスポブラと持ち替えて。
「これなら、身体が激しく上下左右に揺れた時に、その揺れを抑えてくれるので、寝る時にも使える、って、思いませんか？」
うんうん、と、頷かれてる方、数名。
「でも、調べてみたら、スポブラとナイトブラ、形はわりと似てるんですけど、効果はぜんぜん違うみたいなんです」
先生にスポブラを掲げて持ってもらって、あたしはナイトブラを掲げる。
「ホックレスの一体型で、全体を覆い隠すようになっているところは、同じなんですけど……」
こんな感じで。
八時間目の拡大授業。
真綾の下着講座。
真っ最中でございます。
【おまけ】
主要キャラ身長比較図（ラフ絵。下着の絵じゃないよ？）
