第140話:真綾のクラスに金髪男おさげ男現る
「おぉい、まぁやぁ、居るかぁ?」
ひょっこり。
顔を出したのは、金髪……男先輩?
自分のクラスでお留守番役をしていたら。
金髪男先輩が、やってきた?
「はい? ミリ先輩? どうしたです?」
「お、なんだ今日はスカートかい?」
「え、ええ、午前中はスラックスでしたけど、途中で着替えてきました」
クラスの子たちのリクエストで……。
「ボクも居るぞ。それより、早くいかないと始まっちまうぞ?」
おさげ子先輩も、続けて入ってくる。
まわりには、一緒にお留守番してたクラスの子とか、クラスの出し物……『人物画』を見学に来てるヒトも、ちらほら。
その子たち、そのヒトたちが、キャーキャー、黄色い声。
軽く手を上げてそれを制する、おさげ子先輩。
きらーん、って、効果音が、聞こえた気がする。
どうやら、男子モード用に、眼鏡も作ったらしく、クールに。
そのおさげ男先輩が。
「サクヤのクラスの合唱がもうすぐなんだ一緒に観にいかないかい?」
あぁ、なるほど。
そういえば、さっき校内放送で二年の合唱が、って、流れてたっけか。
「でも、あたし、お留守番が……」
ひとりだけ役を放る訳もいかず。
あとでビデオを見せてもらおう。
「そういわず、行こうぜサクヤのヤツをからかいに、な!」
おさげ男先輩も『観に』って言ってるし。
このひとたちは、まったく。
そのおさげ男先輩が、あたしと一緒にお留守番してる子たちに。
「ねぇ、君たち。ちょっとだけ、真綾君をお借りしても、いいかな?」
「きゃー、ちょっとだけならいいですよ!」
「その代わり、終わったら戻って来てもらえますか?」
「大里先輩も一緒に!」
えぇ……。
先輩たちの事は、もはや、学校中に知れ渡ってるし。
あたしと先輩たちの関係についても、かなり知れ渡ってしまってるし。
「わかったよ、じゃあ、真綾君、お借りして行くね」
「よっし、じゃぁ、行こうぜー」
早速。
金髪男先輩が、あたしの手を引いて来る、けど。
「あぁ、待って、待って、ミリ先輩っ、みんなごめんね、ちょっとだけ行ってくるぅううう」
ひぃいん。
拉致。
ひどい……。
そんな感じで、連行された講堂。
舞台には緞帳が降りていて、客席側にはパイプ椅子が並べられて、結構、人が集まってる。
その客席側の最前列、少し左寄りの方から。
「こっちこっち、こっちよ、ミリトくーん!」
呼ばれてる、し……。
おそらく、金髪男先輩のクラスメイトかな?
数名、座席を確保してたらしい。
「ぉう、サンキュなー」
その確保席へ向かうと。
「キャー、生まぁやちゃん! カワイイっ!」
「ミリトくんよりおっきいけど、なんかちっちゃめでかわいい!」
で、監禁と言うか軟禁と言うか、何これ……。
「いいなぁ、ツグオくん、真綾ちゃんとお友達なんて」
あら、おさげ男先輩のクラスメイトもいらっしゃる?
「ふっふっふ、君達も男装、してみるかい?」
と、言うか。
金髪男先輩も、おさげ男先輩も、そして、ぱっつん男先輩も。
あたしと同じく、クラスの中では浮いた存在で。
仲の良い友人とか、ほとんど居ないって聞いてたけど。
あたしと同じく。
新制服のお披露目やらの事もあったりして。
この文化芸術祭もきっかけに。
クラスのひと達と仲良くなれた、の、かな?
うん、きっと。
席のまわりで、わちゃわちゃしていたら。
講堂内に、ベルが響き渡り。
「お、始まるな」
ぱっつん男先輩、の。
晴れ姿、お披露目、です?




