第133話:校長先生の長いお話
「失礼しまーす」
あたしが職員室に着くと、すでに先輩方がエリ先生の元に。
「来た来た」
「何なんです、一体、校長室とかもしかして八時間目の予算使いこんだとか?」
「そんな訳ないでしょ、行くわよ」
ぞろぞろ。
席を立つエリ先生に連れられて。
職員室の奥の扉へ向かって、途中。
「教頭先生、集まりました」
エリ先生が、教頭先生……初老の、白髪まじりのおばちゃんに声をかけると、立ち上がる。
「ええ、参りましょう」
教頭先生のすぐ後ろの扉。
校長室へ。
教頭先生が、その扉をノック。
「校長、入ります」
中から。
「どうぞ」
と、返って来る。
失礼します、と、皆で、ぞろ、ぞろ。
(ふぉお、校長室ってこんなんなのね)
(意外と狭いね)
(椅子とか机とかもっと豪華だと思っていましたけど)
先輩たちのヒソヒソに。
「うぉっほんっ」
エリ先生の、咳払い。
あはは。
「みなさん、試験お疲れ様でした。急に集まってもらって悪かったわね」
校長先生は、教頭先生より、若い?
と、言うか、若く見える、のかな。
頭髪も黒くて、つやつや。
スーツも教頭先生より、パリっとしてる感じ。
女性はお化粧とかで化けるって言うのもあるから実際はどうかわからないけど。
その校長先生が、続ける。
「八時間目の授業について大変興味深い報告を受けていますが……」
やっぱり、この面子なら、その話、だよねぇ。
「本日は今後について皆さんにお願いがあるのです」
あぁ。
これまでは、エリ先生は顧問として指導? 監視? みたいに、一緒になって遊んでたけど。
他の先生、教頭先生や校長先生の直接的な介入はなかったと思う。
エリ先生が活動を報告してて。
エリ先生を通じて、ってのは、あったかもしれないけど。
どちらかと言うと。
あたしや先輩たちが主導で、勝手気ままにやってた節もあり。
ただ。
予算とか、特に合宿とかは、もちろん教頭先生や校長先生が許可、認可、してたハズだし、ね。
「昨今の少子化の影響で当校の志願者も減少傾向にあるのはご存知の通りですが」
あ。
これ。
長話、始まるパターン?
校長先生はお座りですが。
あたしたちは、起立状態、ですよ?
「共学化に関して迷いがあり中途半端な状態になって申し訳ないとは思っていますが……」
ちらり、と、あたしの方を見る校長先生。
確かに、中途半端にも程がある、よね。
ソースは、あたし。
「急な変化を受け入れるにも課題があり、試行中と考えてください」
試行。
つまり。
実験。
あたし、実験体?
「また、昨今の世情に合わせた学校運営にも配慮が必要な面もあり」
あ、ぁあ。
長話。
「文化芸術祭に併せて少し試行を始めたい事柄がございまして」
つい。
ぼーっとしちゃうよね、校長先生の、長話。
「百聞は一見にしかず、早速ですが、こちらへ」
お?
動き、あり。
校長先生が、席を立って。
職員室から入った方の扉とは別に、もうひとつ扉があって、そちらへ。
校長先生を先頭に、ぞろぞろ、移動。
先頭の校長先生が、扉をノックして。
「お待たせしました」
そう言いながら、扉を開けてその外へ。
外と言うか、別の部屋?
そこには……。




