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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
夏休み・もうひとりの少女:菅原レイちゃん
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第105話:サンセットジョーカー



 菅原さんのバイトの件も、明日面接って事で、今日のところはいったん保留。


 お料理の方は、素材のカットを終えて、煮込み。


 ぐつぐつ。


 灰汁とか取りつつ、出汁投入で、あとは煮込むだけ。


 火の確認をしつつ、菅原さんと、世間話。


 と、言うか、お互いの女装のこだわり? みたいな話、とかも。


 今日会ったばかりだけど。


 やっぱり、他人のような気がしない。


 それは雪人さんやアキラくんも、だけどね。


 そして、そろそろお昼時、ってことで。


 シズさんが料理を仕上げて。


 あたしたちの料理も、完成して盛り付けて、ダイニングルームへ運ぶ。


 ここも、広い、でかい……。


 今日、十人も集まってるけど、十分に座れるスペースが、ある。


 これ、金髪子先輩とご両親の三人となると……広すぎ感、満載。


 そんな広いダイニングのテーブルに、料理を並べ終えたところで。


 シズさんがあたしたちに。


「では、みなさんをお呼びいただけますか?」


「はい、呼んできます」


 一応、菅原さんと、ふたり。


 そういえば、菅原さんと盛り上がっちゃって、みんなの事、放置してたけど……。


 どうなってるんだろう?


 と、リビングに行ってみると。


「ふっふっふ、やったぜ。またオレっちが一番だなっ!」


 金髪子……いや、金髪男(きんぱつお)先輩が。


「何、やってるですか……」


 ロゥテーブルのまわりに座った()()八名。


 手には。


「トランプ?」


「おぉ、マヤっち。サンセットジョーカーやってたんだっ!」


 サンセットジョーカー?


「サンセット……日没?」


 まだめっちゃ日中、お昼時、ですけど?


「ちがうちがう、そっちじゃなくて、三組のトランプを使ったババ抜き」


 あぁ、サンセット、じゃなくて、三(セット)か。


「ジョーカーも三枚だから、ジョーカーを持ってても負けない可能性ができるスリル!」


 なるほど……。


 詳しい話は、食事時にでも聞こう。


 って、ことで、とりあえずは。


「お昼ご飯できましたよ」


「お? もう、そんな時間か」

「そういえば、お腹空いたな」


 おさげ男先輩も、ぱっつん男先輩も……。


 声を聴く限りは女の子なんだけど。


 口調は、それなりに『男子』が板についてる?


 本物男子の面々も、ハラヘッター、みたいな、こっちは、まあ、いつも通りで。


 トランプゲームが途中だったみたいで、ちょっとゴネかけたけど、そこは強引に連れ出して。


 ダイニングに、十人。いや、シズさんも入れると、十一人居る!?


 全員座ってもまだ余裕があるのが、すごい。


 着席して、山田くんが、ぽつり。


「和食だ……」


「ダメだった?」


「いや、そうじゃなくて、なんかすごいなって。これ、園田が作ったんだろ?」


「えっと、お魚とお味噌汁は、シズさん。あたしと菅原さんはこっちの玉じゃがね」


「肉じゃがじゃないの!?」


 エリ先生の絶叫。


「お肉抜きの肉じゃがなんで、玉ねぎ&じゃがいもで、玉じゃが、です」


「ぐぬぬ……」


 先生、お肉好きみたいだけど、それにしては身長が……。


 これは言ってはいけないヤツ。空気の読める子、真綾ちゃん。


 おぇえ。


「さ、おしゃべりはあとにして、冷めないうちに、どうぞ召し上がれ」


 とりあえず、食べましょう、食べましょう。


「おかわりもありますから、どうぞご遠慮なく」


 シズさんもフォローしてくれる。


 食事をしながら、あたしたちが居ない間、何してたか、聞いちゃお。





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