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優しい嘘と救世主

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2024/05/07




 私はあの人に嘘を吐かれていた。


 あの人は私を騙していたらしい。


 だけど、私はあの人を恨んだりはしない。


 なぜならその嘘は優しい嘘で。


 いつだって思いやりにあふれていたのだから。





 私の人生をひとことで表すとすると、それは、


 剣を極めようとした人生だった。


 強くなりたかった。


 強くなれたら、どんな脅威にも立ち向かえると思っていたから。


 あの頃の私には怖いものがたくさんあって。


 その怖いものから、身を守らなければと思っていたからだ。


 だから私は、一生懸命剣を振り続けた。


 それで、自分の命だけを守っていれば、話は簡単だっただろう。


 しかし、私は手を広げすぎた。


 あれも、これも守りたいと思うようになったのだ。


 だから、それで。


 私は壊れてしまったのだと思う。


 嘘がなければ生きていけないほど。





 壊れて、今にも消えてしまいそうな。


 そんな私を支えてくれたあの人は、


 あの人もきっと私と似たところのある人だったのだろう。


 たくさん頑張って、たくさんのものを守ろうとした。


 けれど、きっとその努力は実らなかったのだ。


 そんなあの人を嫌いになれるわけがない。


 私に嘘をついているあの人を、嫌いになれるわけが。


 私は、きっと、嘘に騙されながら生きていくのだろう。


 この先も、ずっと。


 あの人もずっと、優しい嘘を吐き続けていくのだろう。


 それが正しい関係でないとしても。






「救世主は魔王に負けて、世界を守れませんでした」


「世界は滅びて、たくさんの人たちが死にました」


「私は剣を、膝を折って、その光景に絶望した」


「そして、心を壊してしまった」


「そんな私に、平和な世界はここにあると嘘を吐き続けてくれたあの人がいてくれたから」


「私は、生きていられるし、本当の孤独に身を落とさずにすんでいる」





 この何もかもが死に絶えた世界で、たった二人生き残ったのが、人類の救世主と、人類の仇敵である魔王だったなんて、なんて皮肉なのだろう。




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