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36話

「サキさん、優斗さん、リハーサルの時間になりましたので会場に来て下さい」


「「はい」」


 それから30分後、スタッフに呼ばれリハーサルへと向かった。


「あ、大体来てるね」


「そうだな」


 集合時間には大半の配信者が間に合っていなかったものの、流石に本番前のリハーサルには結構な数の配信者が間に合っていた。


 とはいっても数人はまだ来ていないようだが。


 色々と不安になるが、そういう人でも本番には絶対に間に合うらしい。



「ではリハーサル始めます!!」


 リハーサルに間に合わない人が居ることはスタッフも織り込み済みだったらしく、スタッフから遅刻者の代理人をとなりリハーサルが行われた。




「ありがとうございました!10分後に本番始めます!」


 今回の配信は特殊な事をするでもなく、ただただカードゲームをするだけだったので特にリハーサルは何事もなく終わった。


 強いて何かを挙げるとすれば、遅刻してやってきた配信者がリハーサルに参加するでもなく机に突っ伏して寝ていたことぐらいだろうか。



「そろそろ本番だな。どうだ、緊張していないか?」


 配信開始直前、私はペアとして隣に座っているサキの様子を伺った。


 サキは配信歴がかなり長い方の部類ではあるが、私が調べた限りでは公式の配信に出た経験は無かった。


 なのに最初の出演がこの大物ばかりを呼んだ超大型配信である。


 挨拶の時は楽しそうにしていたが、本番となるとどうだろうか。


「全然大丈夫だよ。こんな大きな配信に出させてもらえるなんて、楽しみでしかないよね」


「……そうだな」


 私が心配する必要なんてなかったな。自身の人気を伸ばすために駆け出しだった私に声を掛けたくらいだ。


 こんな大チャンスで緊張するわけがないか。


「優斗さんこそ大丈夫なの?」


「当然だ。私を誰だと思っているんだ」


「それもそうだね。配信頑張ろう」


「ああ」


 サキを全力で輝かせないとな。


「後5秒で配信始まります!」


 なんて話していると、配信開始の合図があった。私は姿勢を正し、配信に望んだ。



「さて、始まりました。『デュアルサモナー』の公式配信!本日は第1回ということで、超大型企画を用意してまいりました!その名も、『OurTuber最強カプ決定戦!』今回はOurTuber界でも屈指の人気を誇るカップリングの方々に来ていただきました!では早速自己紹介をお願いします!」


 と司会者の山本という芸人が促すと、各々順番に挨拶をしていった。


 別に名前を名乗るだけの話なのだが、流石は配信者、全員個性溢れる挨拶をしていた。


 当然そんなものを考えていない私は「私は天才イラストレーターの優斗だ」という何の変哲もない挨拶しかできなかった。私のチャンネルなら特に問題ないのだろうが、こういう公式配信用に何かしらは準備しておかなければならないだろうな。



「皆さん個性豊かな挨拶ありがとうございます。それではルール説明をしてから1回戦開始、としたいところなのですが、皆さんの中で何か意気込み等ございますでしょうか。この人には負けたくないとか、優勝したら何をしたいとかなんでもいいですよ」


 と山本が促すと、私たちの前に座っているペアが同時に手を挙げた。


「はい、それでは『戦艦』のお二人」


『戦艦』。事前にサキから聞いた話によると先導海斗と甘楽玲子で構成されるカップリングだ。


 当事者である二人はビジネスだと一生否定しているらしいのだが、ふとした瞬間に見せるお互いの反応がどう見てもガチにしか見えないらしく、それが人気を博しているとのこと。


「私からでいい?」


「良いよ」


「じゃあ私から。今私の真後ろに座っているペアには絶対に負けたくないわ」

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