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プロローグ
「ねえ、あなたは私が満足する作品を書いてくれる?」
病室の窓際に立ち、彼女はそう言って微笑んだ。当の本人である男は頭を悩ませた。彼には自信がなかった。今まで彼女が満足した作品など書いたことなどないから。だが見栄っ張りの彼はこう答えた。
「そうだな……何年掛かるか分からないけど、君に最高の作品を贈るよ」
その時のことを彼はあまり覚えていない。ただ、彼女は最後に何かを言おうとしていたことだけは憶えている。
「……期待しないで待ってる。だってあなたはーー」
これから一週間ペースで投稿する予定です。今後何か気になったこと、そして感想などを受け付けているのでどうぞ宜しくお願いします。