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新しき友達

◇◇第三組曲、救愛からの続き◇◇

5月12日月曜日の朝、葵奈愛美(あおいな まなみ)と双子の妹の葵奈幸美(あおいな ゆきみ)は二人の姉、友美(ともみ)洋美(ひろみ)と一緒に首女中(首都女子大学付属女子中学校)へ登校すべく歩いていた。

友美:「洋美、愛美、幸美、昨日は楽しかったようだね。ますます友達、増えるじゃんか」

洋美:「一番の原動力は私じゃなくて愛美と幸美よ」

愛美:「昨日は旭中(市立旭中学校)の友達と遊園地で楽しんだからね」

幸美:「新しく、どこかのチアリーディングチームの人達と友達になったからね」

友美:「そう言えば首女中と首女高にもチアリーディング部があるけど」

洋美:「愛美と幸美、佳那子、悠真さんの担任の池澤先生が顧問をしているけどねぇ」

愛美:「昨日、知り会ったチアリーディングチームと首女中のチアリーディング部と交流が深まれば良いのになあ」

幸美:「同感、チアリーディングチームの中に小中学生の人がいたから中学受験と高校受験は首女中と首女高をすすめるのはどうかと思うんだけどね」

友美:「そのチアリーディングチーム、どの辺りで活動しているのかな?」

洋美:「おそらく遊園地の辺りをメインに活動していると思うわ」

愛美:「愛美達が住んでいる所よりも遠いよね」

やがてモノレールの駅に到着すると改札を通りホームでモノレールの到着を待つ。しばらくして首女校行きのモノレールが到着し四姉妹は乗車する。車内には中等部三年B組の宇都香織(うとう かおり)と洋美のクラスメートで中等部二年B組の工藤美千代(くどう みちよ)、友美の担任の菊池由利(きくいけ ゆり)、愛美と幸美のクラスメートの牟田内悠真(むたうち ゆま)が乗っていた。

香織:「友美おはよう、洋美ちゃん、愛美ちゃん、幸美ちゃん、おはよう」

美千代:「葵奈先輩おはようございます。洋美、愛美ちゃん、幸美ちゃん、おはよう」

悠真:「おはよう友美、洋美、愛美、幸美」

菊池:「おはよう。四姉妹そろっての登校はいつものの光景みたいだわ」

友美:「おはようございます菊池先生、悠真さん。おはよう香織、工藤」

洋美:「おはようございます菊池先生、悠真さん、宇都先輩。おはよう美千代」

愛美と幸美:「おはようございます菊池先生、悠真さん。おはよう香織姉ちゃん、美千代姉ちゃん」

次の駅で愛美と幸美、悠真のクラスメートの小湊佳那子(こみなと かなこ)が乗って来た。

佳那子:「おはようございます菊池先生、悠真さん、香織姉ちゃん、美千代姉ちゃん、友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん。おはよう愛美、幸美」

葵奈姉妹、香織、美千代、菊池、悠真も佳那子に挨拶をする。

佳那子:「愛美、幸美、昨日はどうして過ごした?」

愛美:「昨日は洋美姉ちゃん、幸美と新しく出来た友達と遊園地に行ったよ」

佳那子:「そおなんだ。愛美と幸美、友達作りが上手だね」

洋美:「新しく出来た友達は私と同じ二年生が五人だったから私も付き添いで行ったのよ」

友美:「私が洋美に、お前も行け、と言ったのよ。佳那子は昨日どうした?私は、お姉ちゃんと一緒にカレーを作ったわ。母の日だったから」

佳那子:「一緒にカレーですか?私は菊池先生、大水先生、悠真さんと一緒に大型ショッピングモールへショッピングに行きました。母の日の買い物も兼ねて」

菊池:「そう、母の日だったからね」

悠真:「そのついでに電動三輪自転車を買ったのよ。私に犯罪被害者見舞金が出たから」

佳那子:「犯罪被害者見舞金って、国からなんですよね?自宅から最寄り駅まで、その電動三輪自転車で通学なんですね」

悠真:「そうよ、そのつもりなのよ」

愛美:「悠真さんが乗る車は電動三輪自転車でないと駄目ですね」

幸美:「山地さんには嬉しくない事でしょうけど」

洋美:「モノレールと電車で行ったの?」

佳那子:「大水先生の車で行きました。運転席に大水先生、助手席に悠真さん、後部座席に私と菊池先生が座りました」

やがてモノレールは首女中と首女高の最寄りの終着駅に到着する。そして菊池や生徒達は降車して校門へと歩き校内へと入っていく。中等部一年A組では愛美と幸美が佳那子に話しかけていた。

愛美:「佳那子、今度の日曜日の事だけど」

佳那子:「うん、友美姉ちゃんからメールあったわ、写真集の発売イベントを秋葉原でやるから参加して欲しい事よね」

幸美:「そおよ、久しぶりに長野明子(おさの あきこ)さんに会えるから楽しみだわ。詳しい詳細はメールで知らせてくれると思うよ」

佳那子:「長野さんは悠真さんの事、知っているのかも気になるわ」

やがてホームルームを経て一時間目の授業へと移行していく。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

市立旭中学校では洋美、愛美、幸美と知りあった由美子、麗美菜、真由、雅、若菜が昼休み、他の友達と一緒に愛美と幸美のバク宙、連続前宙の動画を観賞していた。そこへ他の生徒が声をかける。

旭中の生徒A:「何見ているの?」

由美子:「最近、知りあった友達の動画なの」

旭中の生徒B:「何これ!?」

麗美菜:「バク宙と連続前宙している動画なの」

旭中の生徒C:「バク宙している二人は誰なの!?何処の学校?」

真由:「二人は首女中、首都女子大学付属女子中学校よ、一卵性双生児で双子姉妹なのよ」

旭中の生徒D:「その双子姉妹と友達になったのね、何年生?」

雅:「中一よ」

旭中の生徒A:「私達より1学年下だね」

若菜:「双子姉妹には二年生の姉がいて、そのお姉ちゃんとも知りあったのよ」

旭中の生徒B:「三姉妹と知りあったのね」

由美子:「そおなのよ」

旭中の生徒C:「名前は教えてもらえた?」

麗美菜:「うん、二年生の名前は葵奈洋美(あおいな ひろみ)で一年生の二人は葵奈愛美(あおいな まなみ)葵奈幸美(あおいな ゆきみ)の双子よ」

旭中の生徒D:「洋美が長女よね」

真由:「違うわ。洋美は三女、愛美は四女、幸美は五女なのよ」

旭中の生徒A:「五人姉妹なのかな?」

雅:「小五の弟がいるので六人姉弟よ」

旭中の生徒B:「部活は何かな?」

若菜:「三人とも水泳部」

旭中の生徒C:「得意種目は何だろう?」

由美子:「10メートル高飛び込みだそうよ、三人とも」

旭中の生徒D:「10メートルって高いじゃん、怖いわ」

麗美菜:「しかも三姉妹、グラドルで写真集を出しているよ」

旭中の生徒A:「写真集を出すなんてアイドルじゃん」

真由:「色んな所で撮影してるらしいわ」

旭中の生徒B:「由美子、麗美菜、真由、雅、若菜、アイドルと知り合えたから幸運じゃん」

雅:「でもCDは出してないし音楽配信はしてないよ」

旭中の生徒C:「今より人気がでたらCDデビューの可能性は出てきたりして」

若菜:「愛美と幸美のような後輩がいたらいいのだけどね」

旭中の生徒D:「ひとあたりはどうだった?」

由美子:「良かったよ。洋美、愛美、幸美、三人とも付き合いやすい性格だったわ。私だって洋美、愛美、幸美と一緒に勉強できたらいいなあと思うよ」

旭中の生徒A:「それにしても愛美と幸美の出で立ち何か素足丸出しだわ」

麗美菜:「首女中と首女高の体操服なんだ」

旭中の生徒B:「旭中の体操服と全く違うね」

真由:「首女中と首女高の制服、体操服、スクール水着は色んな型と色があるから好きなものとコーディネートを選ぶ事が出来るんだって」

旭中の生徒C:「そおなんだ。旭中の制服は紺のブレザーにグレーのスカート、ズボンと決まっているから面白みの欠片もないわ」

雅:「そう言えば、葵奈姉妹の三人、旭中の男子と生徒会に葵奈姉妹の事アピールして欲しいと話していたわ」

旭中の生徒D:「話してみようかな?」

愛美と幸美の動画を見ていた生徒達は葵奈姉妹に興味を抱きつつあった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

放課後、首女中と首女高のプールで葵奈姉妹をはじめとする水泳部員達は練習に勤しんでいた。水泳部員ではないが悠真も菊池と競泳部門の部員達の手ほどきを受け水中ウォーキングに精を出す。日増しに悠真の楽しみは放課後の水中ウォーキングとなっていた。悠真にとって戸籍上の同級生は首女中と首女高の中では菊池、大水だけである。学校生活での同級生は中等部一年である。

競泳部門の部員A:「悠真さん、頑張って」

競泳部門の部員B:「悠真さん、少し泳いでみる?」

悠真:「うん」

菊池:「悠真、少し足腰強くなったね」

悠真:「まだまだかしら」

悠真と菊池、競泳部門部員達の様子を横目に愛美と幸美は小声で話し合う。

幸美:「愛美お姉ちゃん、旭中の由美子、麗美菜、真由、雅、若菜、幸美達の事、話題にしてるかな?」

愛美:「そおね、変化があったらメール来るんじゃない?」

幸美:「由美子、麗美菜、真由、雅、若菜も飛び込み競技に誘いたかったなあ、学校が違うから無理だけど」

愛美:「同感、それだったら首女中に転校して来ない限り無理だわ」

幸美:「仮にしたとしても洋美姉ちゃん、美千代姉ちゃん、礼子姉ちゃんと同学年になるよね」

話し合っている愛美と幸美に罵声が浴びせられる。

「こらぁ!そこの一年二人、練習中に私語をするとは何事なの!?サボるつもり!?」

罵声の主は友美である。

「とっ、友美姉ちゃん・・・・」

顔立ちが驚きと怯えの表情に急変する愛美と幸美に友美は平手打ちを食らわそうと近寄ろうとするがクラスメートの井之上真美奈(いのうえ まみな)、香織、香織のクラスメートの遠藤美幸(えんどう みゆき)に止められてしまう。

真美奈:「駄目よ友美」

美幸:「あまり愛美ちゃん、幸美ちゃん泣かしたら駄目よ」

香織:「可哀想よ、私、兄弟姉妹いないから本当は洋美ちゃんか愛美ちゃんか幸美ちゃんを妹にもらいたいものだわ」

そこへ菊池がやってきて事情をたずねる。

菊池:「どうしたの?」

友美:「愛美、幸美、練習中に私語をしてサボろうとするんですよ。菊池先生からも叱って下さい」

菊池:「わかったわ。愛美ちゃん、幸美ちゃん練習終わったらプールサイドに残りなさい!」

愛美と幸美:「は〜い」

部活の練習が終わった後、愛美と幸美は菊池に説教される。その後、プール内に叩くような乾いた音が二発響きわたった。左手で左の頬を押さえる愛美と幸美の目には涙が浮かんでいた。下校時、愛美と幸美は旭中の由美子にメールを送信する。内容は

『由美子、そっちはどう?今日、愛美は部活中に幸美と私語をして、お姉ちゃんと先生にメチャメチャ叱られた((T_T))

平手打ちされて痛かった(>_<")』

である。しばらくして由美子からメールが来る。内容は

『愛美、幸美、叱られて叩かれたんだ。可哀想に痛かった?

でもね愛美、幸美、実のお姉ちゃんであっても部活の最中は先輩扱いしないと駄目よ。私語も駄目よ。元気出して。ところで愛美と幸美の事、他の同級生に話してみたよ。女子は興味を抱く人が出てきた。そのうちに生徒会と男子にも話す予定よ。頑張って。バイ由美子』

であった。メールに見いっている二人に声をかける者がいる。

「愛美ちゃん、幸美ちゃん、二人とも仲いいね」

声の主は菊池だった。驚く愛美と幸美に菊池は声を続ける。

菊池:「今日の平手打ち、痛かった?」

愛美:「叩かれた瞬間は痛かったけど時間が経つと気持ちいいです」

幸美:「菊池先生の平手打ち、友美姉ちゃんと洋美姉ちゃんのよりも気持ちいい」

菊池:「そおなの?お姉ちゃんに叩かれる事あるのね」

愛美:「うん、朝起きれなかった時、平手打ちで叩き起こされる」

幸美:「叩き起こされるのなら菊池先生に叩かれる方が気持ちいい」

菊池:「あははっ、面白いわね。お姉ちゃんは妹であるあなた達の世話と面倒で神経をすり減らしているのよ。覚えておきなさい」

愛美:「は〜い。ところで今月の15日木曜日、友美姉ちゃんの十五回目の誕生日なんです。それどうすべきかも幸美と話し合っています」

菊池:「あら!そおなの?」

幸美:「それで気になるんですけど来月の30日は悠真さんの誕生日ですよね?ローソクの数はどうすべきか悩んでいるんです」

菊池:「私語はしても悠真に対する気遣いは怠らないのね、感心だわ。ローソクの数よね」

愛美:「誕生日ケーキに立てるローソクなんです。13本にすべきか25本にすべきかなんです」

菊池:「咲と相談してみようかしら?」

愛美:「大水先生となら一番だと思います。間違っても山地さんに相談するきにはなれません」

菊池:「ヤマキには相談出来ない?」

愛美:「はい、山地さんは自動車販売会社に勤めいるので売り上げ成績しか意識してないと思います。悠真さんは13歳ではなく25歳になるという意識しかないと思います」

幸美:「同感です。幸美から見ると山地さんは悠真さんを利用して営業成績を上げる事しか考えないとしか思えません」

菊池:「成る程ね。でもヤマキは仕事上、意識しなければならないのよ」

幸美:「そおなのかな?」

菊池:「そおでないと、いけないのがあると言わざるをえないわ。遅いから早く帰宅しなさい」

そして帰宅後、自宅の姉妹の部屋で友美は改めて愛美と幸美に問いかける。

友美:「ねえ、愛美、幸美、練習中にしていた私語なんだけど」

愛美:「旭中の友達の事なのよ」

幸美:「旭中の友達が首女中と首女高を覗いてくれたら嬉しいんだけど友美姉ちゃん、洋美姉ちゃんはどう?」

友美:「私は会ってないから何とも言えないけど一度は会った方が良いかな?」

洋美:「そおね、みんな人当たりは良かったから友美姉ちゃんも一度は会ってみる価値はあると思うよ」

友美:「そうね、愛美と幸美が練習中の私語で話題にしていたほどだったから人当たりの良さ察しがつくわ。でも今度の18日の日曜日は秋葉原で写真集の発売イベントに出席しないと駄目だから25日か6月1日のどちらかで考えてはどうかな?もちろんグラドル撮影のスケジュールを長野さんから確認を取らないといけないけどね」

洋美:「グラドル葵奈姉妹、今は佳那子が加わって五人だけど、これ以上人数、増えるのは嫌かな?」

友美:「そおね、まとめるのが大変よ。誰か入れたいの?」

洋美:「出来たら美千代か礼子を、と思うのよ、私」

友美:「工藤か津軽か・・・私は個人的には香織か高等部の先輩を、と思うわ。補佐をしてくれる人だったら良いのがあるのよ」

洋美:「長野さんに美千代、礼子、宇都先輩の写真を見せるのはどう?」

友美:「そおね良いかも。明日もあるから寝よう」

就寝中、愛美と幸美は目を覚ましトイレに行き用便を済ませる。部屋に戻ろうとする愛美に幸美が抱きつき話しかける。

幸美:「愛美お姉ちゃん」

愛美:「幸美、どうしたの?何か話す?」

幸美:「うん、部活の最中は友美姉ちゃんと洋美姉ちゃんは上級生なのかな?」

愛美:「旭中の友達は上級生という見方みたいだわ。逆に友美姉ちゃんから見れば洋美姉ちゃんと愛美達は下級生かもね」

そこへ友美と洋美が出て来て二人に問いかける。

友美:「愛美、幸美、何を話している?明日もあるぞ」

洋美:「二人で話し合う時が楽しいの?」

愛美:「うん、楽しい。幸美と二人きりが一番楽しい」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんと話すのが楽しい」

友美:「そおなんだ」

洋美:「愛美と幸美の愛し合う力、尋常じゃないかも」

愛美:「友美姉ちゃんからみれば洋美姉ちゃん、愛美、幸美は下級生?」

幸美:「洋美姉ちゃんからみれば友美姉ちゃんは上級生?愛美お姉ちゃんと幸美は下級生?」

友美:「下級生だな」

洋美:「友美姉ちゃんは上級生。愛美と幸美は下級生ね」

友美:「明日もあるから早く寝よう」

四姉妹は再び就寝する。夜が明けて5月13日の、火曜日。洋美が一番に目を覚ます。姉の友美、妹の愛美と幸美はまだ寝ている。洋美はパジャマを脱いで下着姿で背伸びをし鏡に映った洋美を見る。

(下着姿の私、友美姉ちゃんと瓜二つみたい。ビキニでのグラドル撮影に自信満々でやれるわ)

そう思っていると友美が目を覚ます。

友美:「洋美、早いじゃん。下着姿で何やっていた?」

洋美:「友美姉ちゃん、いや友美先輩。私、鏡を見ていたの」

友美:「そんなにかしこまっちゃって。私を先輩呼ばわりしてどうしたの?」

洋美:「旭中の友達に言われたの。実のお姉ちゃんであっても部活の最中は先輩として扱わないと駄目よ、と言われたの」

友美:「そう?私も旭中の友達五人と会ってみたくなってきたわ。真美奈、美幸にも話してみようかな?」

洋美:「ねえ友美先輩、下着姿になって欲しいの」

友美:「わっ、わかったわよ。今、パジャマ脱ぐわ」

友美は洋美に言われるままにパジャマを脱いで下着姿になり洋美と向かい合う。

友美:「洋美の下着姿を見ると何だか私もグラドルだなあと改めて思うよ」

洋美:「そう?友美先輩の下着姿、セクシーに見える」

友美:「やだあ洋美、今は、お姉ちゃんでいいよ、何か照れ臭く感じるから」

洋美:「そう?友美姉ちゃん。愛美と幸美が抱き合って寝てるのを見ていると私も友美姉ちゃんと一緒に二人きりで過ごす時間を作ろうかなと思うよ。でも平手打ちは友美姉ちゃんのよりも菊池先生の方が気持ちいいけどね」

友美:「私のよりも菊池先生の平手打ちが気持ちいいのか・・・菊池先生に気持ちいい平手打ちのやり方、教えてもらえると良いのだけど。洋美、愛美と幸美を叩き起こして」

洋美:「わかったわ」

洋美は二段ベッドの下で抱き合って寝てる愛美と幸美を叩き起こす。起き上がってもうつらうつらの顔つきだったため、洋美は二人に平手打ちを食らわす。

パーン!パーン!

洋美:「愛美、幸美、目を覚ませ!」

愛美:「うぇ〜ん、痛い、洋美姉ちゃん」

幸美:「いい夢みてたのに〜洋美姉ちゃん痛い」

洋美:「朝だろ!学校があるだろ!」

友美:「愛美、幸美、今度は私が覚ましてあげる」

友美は愛美と幸美に平手打ちを食らわす。

バチーン!バチーン!

友美:「着替えて朝食、準備よ!」

四姉妹は朝食を取って歯磨きと準備を済ませ登校すべく家を出る。自宅からモノレールの駅までの道のりは下り坂がやや多い。洋美が愛美と幸美に問いかける。

洋美:「愛美、幸美、昨夜はどんな夢を見ていたの?」

愛美:「旭中の友達、五人と一緒にグラドル葵奈姉妹五人でバスケットボールをしていた夢だったのよ。メンバーに佳那子がいた。菊池先生が審判だった。服装は旭中の五人は旭中の体操服で、グラドル葵奈姉妹は首女中の紺ブルの体操服だった」

友美:「それだと敵味方の区別は一目瞭然だわ」

幸美:「幸美が見た夢はグラドル葵奈姉妹に美千代姉ちゃんと礼子姉ちゃん、香織姉ちゃんが加わって八人になったものだったよ」

洋美:「八人になるとは、にぎやかだわ」

友美:「でもまとめるのが大変だわ」

モノレールに乗ると車内に菊池、悠真、香織、美千代が乗っている。

菊池:「おはよう、友美、洋美ちゃん、愛美ちゃん、幸美ちゃん」

葵奈姉妹:「おはようございます」

菊池:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、今朝は起きれた?」

愛美:「起きれなかったから平手打ちで叩き起こされた〜」

幸美:「菊池先生に平手打ちで叩き起こされる方が気持ちいいのに〜」

菊池:「あはははっ、愛美ちゃん、幸美ちゃんらしいわ」

香織:「友美、大変だね」

友美:「妹達をまとめるのは大変よ。実の妹なら三人、グラドル葵奈姉妹だと四人になるから・・・」

香織:「えっ、一人増えたの?誰?」

友美:「佳那子よ。更に増えるのなら補佐してくれる人がいいのに・・・」

美千代:「グラドル活動で写真集だしているとしたら撮影場所が気になります」

洋美:「撮影場所はその時次第よ。先月は廃校になった中学校で撮影したわ」

菊池:「廃校になった中学校で?」

友美:「はい、老朽化と近隣の中学校との統廃合で廃校になったんです。グランドは異常は無いようでしたけどプールは酷かったです。水は無くあちこち亀裂が入っていてそこから無数の雑草が伸びていて使用出来ない様子でした」

菊池:「そおなの?水泳部は見向きしないわ」

悠真:「そう言えば私を誘拐し監禁した犯人、その廃校になった中学校の卒業生みたいだわ」

愛美:「えっ!マジで!?」

幸美:「本当にそうなの?」

洋美:「そう言えば廃校になった中学校と悠真さんを救出した場所はさほど距離はなかったみたいだわ」

美千代:「えっ、そおなんですか?」

洋美:「悠真さんの救出に関わったのは葵奈姉妹の中で私と愛美、幸美の三人。実際はプラス一人の四人だったのよ」

気が付くといつの間にか佳那子がモノレールに乗っていた。

佳那子:「おはようございます」

悠真:「おはよう、佳那子」

佳那子:「おはようございます悠真さん、菊池先生、香織姉ちゃん、美千代姉ちゃん、洋美姉ちゃん、友美姉ちゃん」

愛美と幸美:「おはよう佳那子」

佳那子:「おはよう愛美、幸美」

やがてモノレールは首女校近くの終着駅に到着する。校舎に入ろうとした時、友美と洋美は愛美と幸美を呼び止める。

友美:「愛美、幸美、学校の中では例え実の姉であっても私と洋美を呼ぶ時は先輩と呼ぶのを忘れるな」

洋美:「そうよ、話し方は必ず敬語使うこと!」

愛美:「そんな〜」

幸美:「お姉ちゃんに敬語だなんて〜」

そこへ友美のクラスメートの井上真美奈(いのうえ まみな)と香織のクラスメートの遠藤美幸(えんどう みゆき)が声をかける。

真美奈:「友美、何話しているの?」

美幸:「朝からカリカリしてどうしたの?」

友美:「愛美と幸美に私と洋美に話す時は敬語を使うように、と言っているのだけど聞こうとしないのよ」

真美奈:「あははは、友美ったら堅苦しい事、好きなのね。そういう所、私とは正反対みたいね」

美幸:「どうしてなのかは知らないけど強要は禁物よ」

洋美:「愛美と幸美が嫌がるのなら私だけ遵守するつもりです」

真美奈:「それでもいいと思うわ」

やがてチャイムが鳴り響きホームルームを経て一時間目へと移行していく。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

旭中では由美子が生徒会副会長の三年女子と話していた。内容は葵奈姉妹の事である。

副会長:「へぇ〜この三姉妹が気になっているのね」

由美子:「首女中の三姉妹です」

副会長:「三人のうち一年生二人が凄いのね」

由美子:「はい、バク宙と連続前宙が得意なんです」

副会長:「動画を見させてもらったわ。凄いわ、一年生の双子姉妹」

由美子:「三人のうちのあとの一人は二年生なんです。その二年生には三年生の姉がいるんです」

副会長:「じゃあ四人姉妹という事?」

由美子:「はい、三年生が二女、二年生が三女、一年生が四女と五女です。友達になったのは二年生と二人の一年生の三人です」

副会長:「今年の秋には私、生徒会副会長を降りるから、それまでには四姉妹に会いたいなあ」

由美子:「私は四人は無理であっても一年生二人の双子が首女中からの親善大使生として旭中に来てくれたら嬉しいですけどね」

副会長:「親善大使生ね、生徒会で協議して先生達に承認を取らないとね」

由美子:「それなら姉妹の写真、掲示板に貼り出しどうかな?」

副会長:「先ずは生徒会で意見交換からでないとね」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

首女中の昼休みの昼食後、友美は真美奈と会話をしていた。

真美奈:「妹ちゃん達に敬語を使わせる事、承認したのは洋美ちゃんの方なのね」

友美:「そおよ、愛美と幸美は嫌がる始末。ブラジャーの着用に関しても同じなのよ」

真美奈:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、佳那子ちゃんはブラジャー着けないのね」

友美:「そおなのよ。でも最近、愛美と幸美が抱き合って寝てるのを見ると私も洋美と二人きりで過ごす時間が欲しくなりそうだわ」

真美奈:「私としては友美と洋美ちゃん、二人きりも良いと思いますわ」

友美:「愛美と幸美、夜中に目を覚ましてトイレに行ったついでに二人きりで話し合っている事が多いのよ」

真美奈:「それなら友美も洋美ちゃんと二人きりで話し合えばいいじゃない?」

友美:「そおかしら?洋美と二人きりの時は下着姿で話し合う事にしようと思っているのよ」

それから放課後、グランドでは陸上部部員達が中等部一年A組の赤木ほのかと話し合っていた。

陸上部部員A:「悠真さん、毎日放課後はプールで水中ウォーキングの特訓よね」

陸上部部員B:「このままだと水泳部に入部させられるかも知れないわ」

赤木ほのか:「えっ!?陸上部に入れたいと思っているのですか?」

陸上部部員C:「出来ればの話よ。でも走れても飛ぶ事が叶わなかったら、意味ないし、本当は厳しくしごいて鍛えたいなあ」

その悠真はプールで水泳部競泳部門の部員達の手ほどきを受けて水中ウォーキングに勤しむ。側に菊池の姿もある。

競泳部門の部員A:「悠真さん水中ウォーキングが楽しみになってきたね」

悠真:「うん、競泳部門のみんなからの励ましが一番美味しく感じるのよ」

競泳部門の部員B:「出来れば泳ぐのにも挑戦してよ」

菊池:「そおね25メートルから50メートル泳げるようになれば良いのだけどね」

悠真:「でも、時たま足が痛くなるわ」

練習が終了すると友美は洋美、佳那子と一緒にプールサイドに残っていた。菊池が友美に声をかける。

菊池:「どうしたの?着替えないの?」

友美:「菊池先生、気持ちいい平手打ちってどうするのかが気になって」

菊池:「あら、どうしてなの?」

友美:「私、三人の妹に平手打ちを食らわす事があるんですけど三人とも私の平手打ちよりも菊池先生の平手打ちが気持ちいいと言うんです」

菊池:「あら、そんな事で悩んでいるのね。一番のカギは妹に対する優しさだと言いたいわ」

友美:「妹に対する優しさ?」

菊池:「厳しく叱る事を意識した平手打ちは嫌がられるもとじゃないかと考えさせられる事あるわ、私」

友美:「そうなんですか」

そこへ友美の背後から愛美と幸美が忍び寄ってきて友美を羽交い締めにする。

「愛美、幸美、何するの?」

友美は狼狽する。

愛美:「友美姉ちゃん、菊池先生に平手打ちしてもらったらどう?」

幸美:「そうよ、幸美達は友美姉ちゃんの平手打ちで泣かされていたから。 菊池先生、友美姉ちゃんに平手打ち食らわして下さい」

菊池:「あははは、面白いわね。友美、いつも妹ちゃん達を泣かしてるでしょう」

菊池は友美に三発、平手打ちを食らわす。

パーン、パーン、パーン!

友美は両手で左右両方の頬を押さえてうずくまる。

友美:「うううっ、いった〜い。菊池先生の平手打ち、メチャメチャ痛い」

愛美:「愛美は気持ち良く感じる」

幸美:「幸美も菊池先生の平手打ち、とっても気持ちいい。何万発、何億発叩かれても気持ちいい」

洋美:「私だって菊池先生の平手打ち気持ちいい。出来れば高等部の先輩から叩かれてみたいのがあるわ」

菊池:「あら、そおなの?」

菊池は目を丸める。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

そして、その日の夜、就寝後、愛美と幸美はトイレに行く為に部屋をでる。その直後に友美と洋美は目を覚ます。洋美が友美に問いかける。

洋美:「友美姉ちゃん、下着姿になろうよ」

友美:「うん、お互いに下着姿を見るのは何かビキニの水着になるような感じだわ」

洋美:「そおね、ビキニの水着って下着のブラジャーとパンツ姿に似ているわ」

友美:「そう言えばグラドルでビキニの水着で撮影するケースは多いね」

洋美:「グラドル撮影はビキニでやるのが王道みたいだね。長野さんはどう解釈するのかな?」

友美:「海で撮影するのが良いと思うかも」

洋美:「首女中の近くに海水浴場があるし夏はどこで泳ぐか場所選びに悩みそうだわ」

友美:「私は海だったら泳ぐより眺める方が好き」

洋美:「それだったら悠真さんか、ゆうにいと一緒に眺める方が良いじゃん。私は妹や旭中の友達と一緒にはしゃぐ方が良いなあ。一緒に飛び込み競技を楽しめたらなおベターだけどね」

友美:「真美奈と美幸は自宅にプールがあるから良いなあ」

洋美:「井之上先輩と遠藤先輩の家に泊まった時、プールで泳がせてもらったけど、また行きたいなあ」

友美:「誰と一緒に泊まりに行きたいの?」

洋美:「美千代か宇都先輩か佳那子と一緒にと思っているわ」

友美:「洋美、一緒に寝ない?」

洋美:「うん、友美姉ちゃんと一緒に寝るのも良いね。愛美と幸美、まだ戻って来てないけど」

友美:「もうすぐ戻って来るんじゃない。同じベッドで一緒に寝よう」

友美は洋美と同じベッドで抱き合うように寝る。やがて愛美と幸美が戻ってきた。

愛美:「友美姉ちゃんと洋美姉ちゃん、一緒に寝てる」

幸美:「愛美お姉ちゃん、一緒に寝よう」

愛美と幸美も再び就寝する、お互いにキスしながら。そして、5月14日水曜日の朝になり四姉妹はいつものように登校する。 モノレールの車内で四姉妹は香織、悠真、美千代、菊池に会い挨拶をする。

香織:「おはよう友美、今日は寝起き良いのね」

友美:「うん、昨夜は洋美と同じベッドで一緒に寝たよ」

洋美:「友美姉ちゃんと寝ると何か寝起きが良くなる」

愛美:「愛美は幸美といつも一緒に寝てる」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんと一緒が気持ちいい」

美千代:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、一番気持ちいいのはなあに?」

愛美と幸美:「一緒に抱き合ってキスしている時よ」

美千代:「愛し合うみたいに仲が良いんだね。愛美ちゃんと幸美ちゃん、二人はプリキュアじゃなくて愛し合う双子姉妹だね」

悠真:「次に気持ちいいのはなあに?」

愛美と幸美:「飛び込み競技で二人同時に入水する時と菊池先生に平手打ちを頂戴した時です」

菊池:「もう、やだぁ」

悠真:「由利ってみんなに好かれているじゃない。私には真似出来ないわ」

友美:「悠真さん、部活はどうするか決めてないのでは・・・」

悠真:「今は水中ウォーキングでリハビリだから今はまだ迷っているわ」

友美:「私は一年の時に飛び込みの補習の延長で水泳部に入部されられたのよ。気が付いたら」

菊池:「それは、飛び込み競技の選手に育ててみたくなったのよ」

洋美:「それなら菊池先生、友美姉ちゃんを平手打ちで厳しく鍛えて下さい」

菊池:「わかったわよ」

友美:「もう洋美!余計な事、言わないで」

悠真:「間違っても教習所には通いたくはないわ」

愛美:「運転免許の事ですね。愛美が通いたいぐらいです。日本以外の外国の中には14歳で免許が取れる国があるらしいです」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんと一緒に免許取りたいぐらいです。出来れば佳那子と一緒に取りに行けたら良いなあ」

話し合っているうちに次の駅で佳那子が乗ってきた。

佳那子:「おはようございます」

友美:「おはよう佳那子。今、佳那子の事で話題が出ていた所よ」

愛美:「三年後の話になるけど愛美は幸美、佳那子と一緒に運転免許を取りたいと思っているのよ」

佳那子:「運転免許?」

幸美:「自動二輪の免許なのよ」

佳那子:「どうしてなのよ?」

愛美:「山地さんの件で気になったのがきっかけなのよ」

佳那子:「山地さんって自動車販売会社の人ですね」

菊池:「そおよ、ヤマキが勤めている会社の周辺は色んなメーカーの自動車販売会社が沢山あるから自動車販売の激戦区なのよ」

友美:「一台でも多く売ろうと必死なんだ」

愛美:「それなら大人だけでなく愛美達のような中学生が乗れる車も作って売った方が良いのにね」

幸美:「免許が無くても運転出来る車を作って売った方が売り上げはうなぎ登りだと思うんだけどなあ」

菊池:「現実は道路交通法上、不可能と言わざるを得ないよ」

悠真:「私は電動三輪自転車に乗っているけどね」

洋美:「電動四輪自転車というのはないかしら?」

菊池:「どうかしら?普通の自転車屋では見かけないからねぇ。どうしても免許にこだわるのならアマチュア無線の免許はどう?四級からのスタートになるけど」

愛美:「アマチュア無線!?」

幸美:「無線ってタクシーに付いているのを連想するわ」

話し合っているうちにモノレールは到着する。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

旭中では高牧由美子(たかまき ゆみこ)が所属する体操部の部員と動画を見ながら談笑を楽しんでいた。楽しんでいる動画は愛美と幸美のバク宙と連続前宙である。

体操部部員A:「由美子、何?この動画は?」

由美子:「最近、知り合った友達のバク宙と連続前宙なの」

体操部部員B:「どこの中学に通っているのかな?」

由美子:「首都女子大学付属女子中学校、首女中なのよ」

体操部部員C:「何年生かな?二人とも背丈は高くないから三年生じゃないみたいだけど」

由美子:「二人は一年生、一卵性双生児で双子姉妹なのよ」

体操部部員A:「一年生で、こんなに上手にやるなんて驚きだわ」

由美子:「場所は遊園地のイベントステージなのよ」

体操部部員B:「一年生の双子ちゃんと友達になったの?」

由美子:「そおよ、二人には二年生と三年生のお姉ちゃんがいるの。二年生のお姉ちゃんとも友達になったのよ」

体操部部員C:「名前は教えてもらったの?」

由美子:「二年生は葵奈洋美、一年生は葵奈愛美と葵奈幸美なの。この三人と友達になったのよ」

体操部部員A:「葵奈三姉妹か三人は部活何だろう、体操部ならライバルだわ」

由美子:「三人は体操部ではなく水泳部よ。得意種目は10メートル高飛び込みなのよ」

体操部部員B:「友達になったのならバク宙と連続前宙の技、指南してもらいたいぐらいだわ」

由美子:「生徒会に親善大使生として招待できないか打診してるんだけどね。出来る事なら愛美と幸美のような後輩がいたら良いなあ」

体操部部員一同:「同感だわ」

一方、高石麗美奈(たかいし れみな)も陸上部部員と共に葵奈姉妹の動画を楽しんでいた。

陸上部部員A:「ねえ高石、何見ているの?」

麗美奈:「最近、友達になった姉妹の動画なんです」

陸上部部員B:「え〜っ!?何これ!?バク宙と連続前宙じゃないの!?」

麗美奈:「動画の姉妹は双子の一年生なんです」

陸上部部員C:「どこの学校に通っているのかな?」

麗美奈:「首都女子大学付属女子中学校。通称、首女中です」

陸上部部員A:「二人とも紺ブルの体操着じゃん」

麗美奈:「動きやすさを重視してるからでしょうか」

陸上部部員B:「二人は部活は何かしら?」

麗美奈:「水泳部です。得意種目は10メートル高飛び込みです」

陸上部部員C:「旭中に来てくれたら良いのだけど」

麗美奈:「転校しくる可能性は無いに等しいですよ。親善大使生として招待はどうかと思うのがあります」

また一方、榊野真由(さかきの まゆ)もダンス部の部員達と葵奈姉妹の動画を観賞していた。

ダンス部部員A:「真由、この双子姉妹のバク宙、凄いね」

真由:「実は最近、知り合った友達なんですよ」

ダンス部部員B:「この双子姉妹、友達作り上手だね」

真由:「何処かのチアリーディングチームとも友達になったぐらいですから」

ダンス部部員C:「双子なんだね、どっちがお姉ちゃんで、どっちが妹かな?」

真由:「お団子ヘアーでシニョンキャップをしてるのがお姉ちゃんで、ツインテールのショートが妹です」

ダンス部部員A:「バク宙の技、指南してもらえたら良いのになあ」

真由:「二人は一年生ですよ」

ダンス部部員B:「一年生なんだ」

真由:「二人には二年生と三年生のお姉ちゃんがいるんですよ」

ダンス部部員C:「へぇ〜、四姉妹なんだ」

真由:「四姉妹には姉と小五の弟の六人姉弟だそうですよ」

ダンス部部員A:「六人も!?子沢山だなあ!」

またまた一方、秋浦雅(あきうら みやび)は男子達と一緒に葵奈姉妹の動画を見ていた。

男子A:「秋浦、何見ているの?」

雅:「最近、友達になった姉妹の動画なのよ」

男子B:「友達になった?何処の学校の?」

雅:「首女中よ」

男子C:「首女中!?」

雅:「首都女子大学付属女子中学校よ」

男子A:「それって中高一貫の女子校じゃん」

雅:「そうよ、その学校の中等部一年生の双子姉妹なのよ」

男子B:「なっ、なんじゃそれ!?」

雅:「どうかしたの?」

男子B:「ブルマだから素足、丸出しじゃん、セクシー!」

雅:「ちょっと、鼻先伸ばしてんじゃないわよ!やらしー」

男子C:「だって見所あるんだもん」

そして、中井若菜(なかい わかな)はテニス部の部員達と葵奈姉妹の動画で話題に花を咲かせていた。

テニス部部員A:「ねえ若菜、何見ているの?」

若菜:「最近、友達になった姉妹の動画なのよ」

テニス部部員B:「バク宙と連続前宙の動画なんだ。凄いね」

若菜:「二人は一卵性双生児の双子姉妹なのよ」

テニス部部員C:「双子!?道理で瓜二つだと思ったわ」

若菜:「二人は一年生で二年生と三年生にお姉ちゃんが一人づついるのよ」

テニス部部員A:「四人姉妹なんだ」

若菜:「四姉妹にはお姉ちゃんと小五の弟がいて六人姉弟なんだ」

テニス部部員B:「うわぁ、子沢山」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

そして放課後、首女校のプールサイドで真美奈が友美に声をかける。

真美奈:「友美、明日は友美の15歳の誕生日じゃん」

友美:「そおよ」

佳那子:「明日、友美姉ちゃんの誕生日なんですか?」

友美:「そおよ、佳那子は6月16日だよね」

佳那子:「そうです。6月産まれは私以外のは誰でしょうか?」

悠真:「私よ。30日なの」

ほどなく練習が始まり悠真は水中ウォーキングに励む。菊池の叱咤も激しさを増していくのだった。

菊池:「悠真!もっとしっかり!」

水泳部競泳部門の部員A:「悠真さん、菊池先生、厳しくない?」

悠真:「由利は厳しくて怖いわよ。でも親友だから。みんなはどう?」

水泳部競泳部門の部員B:「私ですか?同感ですよ。ねぇ、悠真さん、毎日、放課後のプールで補習を受けるのなら水泳部に入ってはどうですか?」

悠真:「水泳部に入部なの!?今は迷いがあって決められないの、ごめんね」

水泳部競泳部門の部員C:「他に気になっている部があるんですか?」

悠真:「聞く所によると陸上部が私の事、気にしているらしいわ」

水泳部競泳部門の部員A:「菊池先生か大水先生に相談するしかないですね」

それから練習終了後の下校時、悠真は帰宅中のモノレールの中で菊池と話し合う。

菊池:「悠真、足腰はどう?」

悠真:「競泳部門のみんなが優しくしてくれるから少しづつだけど調子は回復そそうだわ」

菊池:「そおだったら良かったわ」

悠真:「競泳部門のみんなに入部はどう、と言われるけど迷いがあるわ」

菊池:「迷いがある?」

悠真:「陸上部が私の事、気にしているみたいなの。陸上部と水泳部の掛け持ちはどうかしら?難しいかしら?」

菊池:「そおよね、咲と話し合う方が良いかもね」

☆☆☆☆☆☆☆

そして夜、葵奈姉妹の自宅の部屋では友美が三人の妹、洋美、愛美、幸美と話し合っていた。

洋美「友美姉ちゃん、明日は十五回目の誕生日ね。何か望んでいるのある?」

友美:「そおね、私に対するものの言い方かな」

愛美:「ものの言い方?」

友美:「学校の中、及び部活の最中、私を呼ぶ時は、先輩と呼んで敬語を使うことなのよ」

幸美:「お姉ちゃんに敬語!?佳那子は友美姉ちゃんと呼んでいるのに」

友美:「佳那子は私が平手打ちを食らわす事を許してくれるからよ」

洋美:「愛美、幸美、私だって友美姉ちゃんの事を『友美先輩』と呼んでいるのよ」

友美:「洋美、愛美、幸美を後輩だと思わせて欲しいの。それが何よりの誕生日プレゼントでありたいのよ」

愛美:「友美姉ちゃん、愛美達を後輩として扱いたいんだね」

幸美:「何て言えば良いのかしら」

洋美:「愛美、幸美、明日もあるから早く寝よう」

愛美:「友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん、下着姿で寝るの?風邪引くよ」

幸美:「寝冷えするよ」

友美:「愛美、幸美、それを言うのなら、お前らブラジャーを着けろ!」

洋美:「私は友美姉ちゃんと抱き合って寝るからね」

四姉妹は消灯して就寝する。が深夜に愛美と幸美が用便の為にトイレへと行く。友美が洋美に囁く。

友美:「あいつらトイレに行ったよ」

洋美:「そう?友美姉ちゃん、日付は15日になったね。15歳おめでとう」

友美:「ありがとう。でも私の15歳の誕生日はママとお姉ちゃんの15歳の誕生日とは違うよね」

洋美:「違う?」

友美:「ママは十五回目の誕生日にお姉ちゃんを産んで、お姉ちゃんは十五回目の誕生日に依沙美を産んだから」

洋美:「友美姉ちゃんの誕生日の事、ゆうにいに伝えたわ」

友美:「悠斗さんね、返信きた?」

洋美:「来たわ。おめでとうと、メッセージ来たわ。ちなみに悠斗さんの誕生日は5月25日よ」

友美:「悠斗さんはいくつかしら?」

洋美:「確か学年は菊池先生、大水先生、悠真さんと同じだったわ」

友美:「そう?朝早いから寝よう。洋美」

ほどなく愛美と幸美が戻って来て四姉妹は再び就寝する。就寝しているうちに幸美は深い眠りに入り夢の世界へと心は誘われていく。いつの間にか、幸美は愛美と一緒に手を繋いで都心部の街並みを歩いていた。通行人はやや多めで、そのほとんどはサラリーマンやOLであった。二人の服装は首女中の制服、青色系のセーラーブレザーである。

愛美:「幸美、こうして二人きりの散歩も良いね」

幸美:「そおよね、大好きな愛美お姉ちゃんと一緒だと楽しくて美味しい」

愛美:「愛美だって唯一無二の大好きな妹である幸美と一緒が楽しくて美味しいよ」

幸美:「怖いお姉ちゃん達から解放された気分だからよね」

その時、激しい音が響きわたった。通行人達が一斉に向けた視線の先には超巨大な怪獣の姿であった。大きさは首女校の校舎の倍はある。たちまち通行人達は逃げ惑い街並みは阿鼻叫喚の地獄図絵と急変した。怪獣は雄叫びを上げながら街並みの高層建造物を破壊し始めた。逃げ惑う通行人の中には破壊された建造物の破片の下敷きになるものが続出した。愛美は幸美の手を引き走る。二人は走りながら逃げ続けたが走るのにも限界が来た。

愛美:「幸美、怪獣に見つからないようにして逃げよう」

幸美:「うん、愛美お姉ちゃん。ウルトラマンやプリキュアみたいに変身して戦う事出来ないからね」

二人は周辺を見回しながら移動する。怪獣は獲物を探すように建造物を破壊しながら突き進んでいる。時には隠れたり、やり過ごしたりしながら怪獣の動きを読む。広めの大通りには破壊された建造物の破片や壊され炎上する車両が多いので細めの路地を通って逃げることにした。

愛美:「何としてでも自宅か首女校へ逃げたいわ」

幸美:「そおよ、生き延びて逃げたいわ・・・ねえ愛美お姉ちゃん、あれ使えないかしら?」

愛美:「あれって」

幸美が指差す方向を見ると自動車販売会社とおぼしき建物の側に一台の赤いスポーツカーが止められてあった。近づいて見てみると高排気量の外車の高級スーパーカーであることには間違いない。建造物の破片が当たった為か車体と屋根、ボンネットの数ヵ所にキズと凹みがある。ドアノブに手をかけて見るとドアは開いた。キーは付いたままになっている。左ハンドルの外車である。

愛美:「でも持ち主がいるんじゃ」

幸美:「そんな事、考えている場合じゃないよ」

愛美:「やむを得ないわ、乗って逃げよう」

左ハンドルの運転席に愛美が、助手席に幸美が座り。車は走り出す。カーレースのゲームに慣れている為か愛美の運転は思ったよりもスムーズでぎこちなさはない。しかし、その動きを怪獣が見逃すはずがなかった。

幸美:「愛美お姉ちゃん、追いかけてきたよ!」

愛美:「わかっているわよ!」

愛美はハンドルを右や左に回し車を操る。高速道路に乗るか港へ逃げ海に飛び込んで泳いで逃げるか迷いながら車を走らせるが、怪獣が投げた建造物の破片が車の後部を直撃した。車はたちまち失速し走行不能になってしまう。

愛美:「幸美、脱出しよう。車はもう動かないわ」

幸美:「うん!」

二人は逃げる為に乗っていた車を降りて乗り捨てて再び走って逃走を図る。しかし怪獣に追い付かれてしまう。怪獣の右手が愛美と幸美をめがけて振り下ろされる。

「まっ、愛美お姉ちゃん!!」

「幸美ー!!」

その瞬間、怪獣の姿は仁王立ちする友美の姿に変わっていた。友美は二人に罵声を浴びせる。

友美:「愛美!幸美!朝だろ!」

友美は愛美と幸美に平手打ちを食らわす。

パーン!パーン!

友美:「うるさい寝言だったわね、幸美」

洋美:「本当にうるさかったわよ」

幸美:「怖かった、夢か・・・」

愛美:「激しくうなされていたみたいだけど何か怖い夢みたの?」

幸美:「うん見たよ」

葵奈姉妹は食事と準備を済ませ普段とかわりなく登校する。モノレールに乗ると香織、美千代、悠真、菊池が一斉に声をかける。

「友美、誕生日、おめでとう」

「みんな、ありがとう」

友美は礼を述べるが愛美と幸美は眠そうな表情であった。そんな二人に菊池が話しかける。

菊池:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、今朝も叩き起こされたの?」

愛美:「うん、愛美、幸美と一緒に友美姉ちゃんに平手打ちで叩き起こされた。菊池先生の平手打ちで叩き起こされる方が気持ちいいのに〜」

幸美:「幸美は愛美お姉ちゃんと二人で散歩してたらいきなり怪獣に襲われた夢をみた。起きたら怪獣が友美姉ちゃんに変わっていた。夢の中に出てきた怪獣の正体は友美姉ちゃんだったかも」

菊池:「あはは、愛美ちゃんと幸美ちゃん、面白いわね」

友美:「昨夜は怪獣に襲われた夢をみたんだね」

幸美:「そおよ」

幸美は見た夢の内容を話した。

菊池:「現実ではあり得ない夢だね」

香織:「夢って予期もしてない内容がほとんどよね」

美千代:「どうして、そんな夢みたのかしら?」

悠真:「私は昨夜、私を誘拐し監禁した犯人の家をもらわないか、という話を持ちかけられた夢をみた。現実だったら断ってるわ」

気が付くと佳那子がモノレールに乗っていた。

佳那子「おはようございます。菊池先生、悠真さん、友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん」

洋美:「今日は友美姉ちゃんの誕生日よ」

佳那子:「友美姉ちゃん、誕生日おめでとうございます」

モノレールを降りると校門では真美奈と美幸が友美に話しかける。

真美奈:「友美、誕生日おめでとう」

美幸:「友美、誕生日おめでとう」

友美:「真美奈、美幸、ありがとう」

友美と真美奈は校舎三階の中等部三年A組へ、美幸と香織は三階中等部三年B組へ、洋美と美千代は校舎二階の中等部二年B組へ愛美、幸美、佳那子、悠真は中等部一年A組へ、菊池は職員用更衣室へと別れ歩いていく。二年B組では津軽礼子(つがる れいこ)が美千代と洋美を迎える。

礼子:「おはよう美千代、洋美」

洋美:「礼子、いつも早いね」

礼子:「校舎の寮で生活しているからね」

美千代:「今日は葵奈先輩の誕生日だからね」

礼子:「そおなんだ」

一年A組では愛美と幸美が自動車情報誌と運転免許の本を広げて見いっている。そこへクラスメートの赤木ほのかが声をかける。

赤木:「愛美、幸美、最近、自動車情報誌を見ている事多いね。どうして?」

愛美:「気になったからよ」

赤木:「そういう本は悠真さんが見た方が良いのでは」

幸美:「駄目よ。悠真さんは、そういう類いの話は好きじゃないのよ。代わりに幸美と愛美お姉ちゃんが見ているのよ」

赤木:「そおなの、悠真さんが免許を取って車買って登下校の送迎してくれたら助かるのになぁ」

愛美:「無い物ねだりは駄目よ。そんな事、菊池先生や大水先生に言ったら怒られるわ」

赤木:「駄目なの?」

愛美:「車で送迎してほしかったら家族に頼むか、車を所有し乗っている彼氏を作るしかないじゃん」

赤木:「家族は乗ってないし、彼氏はどうやって作ったらいいのよ?」

幸美:「車でナンパしてきた人を捕まえたらどう?」

赤木:「私、ナンパされるのは好きじゃない」

愛美:「それだったらモノレールと電車で登下校しかないよ。それか学校と自宅の間を走って登下校したら?陸上部じゃん。長距離マラソンで高タイムと高順位狙えると思うよ」

やがて担任で英語科の教師、池澤瑠美奈(いけざわ るみな)が入って来てホームルームに移行する。

そして放課後の部活開始となったプールでは菊池が水泳部部員に練習メニューを告げていた。

菊池:「みんな、今日は他の女子校の水泳部との他流競技会を行うので頑張ろう」

真美奈:「あれ?菊池先生、今日は悠真さん、姿が見えないですけど帰ったのですか?」

菊池:「悠真は咲と一緒に陸上部の見学よ」

やがて他の女子校の水泳部部員がプールに入って競技会となる。そして飛び込み競技の他流競技も行われ愛美と幸美達、飛び込み競技部門の部員達は演技に精をだす。

一方、悠真は大水に付き添われ陸上部の見学をしていた。悠真は主に走高跳びを見学した。

(走高跳びの背面跳び、素敵だなあ)

陸上部部員達が悠真に声をかける。

陸上部部員A:「ねえ悠真さん、一度やってみたらどうですか?」

悠真:「私、跳ぶ力ないのよ」

陸上部部員B:「陸上部に入る事出来ませんか?」

陸上部部員C:「悠真さんを厳しくしごかせて欲しいんです。悠真さん、お願いです。陸上部に入って私達に悠真さんを厳しくしごく楽しみを下さい」

大水:「ちょっと、悠真は跳ぶことは愚か走るのもままならないのよ」

悠真:「ちょっと、やってみたい」

陸上部部員A:「じゃあ悠真さん、頑張ってやってみて下さい」

悠真は、ぎこちない動きで走高跳びに挑戦するが背面跳びに失敗してしまう。

大水:「悠真、大丈夫?」

悠真:「いった〜い」

陸上部部員B:「悠真さん大丈夫!?」

悠真:「いった〜い」

陸上部部員C:「あ〜駄目だわ」

悠真:「みんな、ご免。私やっぱり陸上部には向いてないの」

陸上部部員A:「跳ぶ力、が無いのかな?」

悠真:「無いと思う。まだ由利の元で水中ウォーキングしている方が良いわ」

陸上部部員B:「菊池先生の元で水中ウォーキングか、その方悠真さんにとっては何よりの幸せかしら?」

悠真:「そうかも知れないわ。今日は陸上部の走高跳びの観賞を楽しませて頂くことにするわ」

陸上部部員C:「悠真さん、毎日、菊池先生の元で水中ウォーキングしてますけど、菊池先生、厳しいですか?」

悠真:「厳しくて怖いよ。由利は」

陸上部部員A:「大水先生、菊池先生とは同じ学年なんですね、現役時代はどうでしたか?」

大水:「由利は、よく叱られていたわ、よく怒鳴られていたわ、よく平手打ちされて、いつもプールサイドで泣いていたわ」

陸上部部員B:「そうだったんですか。菊池先生が首女中と首女高で一番厳しくて怖い先生という理由はそれが元なんですよね?」

大水:「由利って一番厳しくて怖い!?」

陸上部部員C:「噂では菊池に平手打ちされると厄祓いで幸せになれると聞きますが、もし本当なら私、菊池先生に平手打ちしてもらおうかなと思うのがあります」

大水:「ちょっと、そんなジンクス信じるつもり!?」

陸上部部員A:「私は半信半疑です」

陸上部部員B:「菊池先生は何故か憎めないタイプですよ」

陸上部部員C:「首女校の制服を着た菊池先生、高等部の生徒と違和感ないですよ」

大水:「首女校の制服は私よりも由利が似合っているわよ」

そして部活が終了する頃、悠真はプールへと足を運ぶ。プールでは他の女子校との他流競技会が終了した後で首女中と首女高の水泳部部員達が後片付けに入ろうとしていたが競泳部門の部員達が悠真に声をかける。

競泳部門の部員A:「悠真さん、今日は陸上部の見学していたらしいですけど、どうでしたか?」

悠真:「走るのはしんどいし、跳ぶのは、もっとしんどいわ。水中ウォーキングの方が楽しくて気持ちいい」

競泳部門の部員B:「陸上部から入部の誘い、ありましたか?」

悠真:「あったけど、私には向かない、と言って固辞したわ」

競泳部門の部員C:「そうだったんですか」

そこへ菊池が悠真に声をかける。

菊池:「悠真、時間は多くはないけど水中ウォーキングしていかない?」

悠真:「うん、喜んでするわ」

悠真は水着に着替え水中ウォーキングの為に競泳プールへと急ぐ。

競泳部門の部員A:「悠真さんが水中ウォーキングで頑張る姿を見るのが何よりの楽しみなんです」

悠真:「そおなの?」

競泳部門の部員B:「はい、そうです。悠真さん」

悠真:「みんな私の事、期待しているの?」

競泳部門の部員C:「期待よりも気にかけているんです。過剰な期待は悠真さんに負担をかける事になるから駄目、と菊池先生に言われているんです。さあ悠真さん、水中ウォーキング頑張りましょ」

菊池:「悠真、張り切って頑張ろう!」

悠真:「うん」

練習と片付けが終わると菊池が部員の全てを集め口を開いた。部員達は着替えずに水着のままである。

「みんな!よく聞いて!今日は葵奈友美さんの十五回目の誕生日です。ですので、この後プールサイドで友美さんの誕生日パーティーをやるので時間に都合がつく人は参加して下さい」

部員達の手でプールサイドに机が三つ設置され、その上に円柱状の誕生ケーキが一つの机に一つづつ、合わせて三つ置かれる。一つのケーキにはローソクが五本、合計十五本立てられる。同時に紙皿や紙コップ、プラフォーク、ジュース等も置かれる。準備が整い菊池の手によってローソク十五本に火がつけられる。菊池が音頭をとり誕生日パーティーが始まる。参加者の中には水泳部部員に混じって悠真の姿もあった。

「友美さん、誕生日おめでとう!」

「友美、おめでとう」

と真美奈、美幸、香織、悠真が口を揃える。続いて

「友美ちゃん、おめでとう」

と高等部の部員達が口を揃え。その後に

「友美姉ちゃん、おめでとう」

と洋美、愛美、幸美、美千代、礼子、佳那子が口を揃える。

友美:「ちょっと、洋美!部活の最中だから先輩と呼んでよ」

洋美:「良いじゃん、何だったら平手打ちしても良いよ」

美千代:「私を叩いてもいいですよ」

礼子:「私も同感ですよ。心ゆくまで平手打ちしてもかまいませんよ」

佳那子:「私もですよ。友美姉ちゃんのみならず、上級生、及び高等部のお姉ちゃん、菊池先生の平手打ち、喜んで受けるつもりですよ。遠慮無用です」

愛美:「愛美だって今日は特別だから何発でもいいよ」

幸美:「幸美も同じ。でも特別なら高等部のお姉ちゃん達と菊池先生から祝いの平手打ちをしてもらう方が良いじゃん。クラッカー代わりに」

友美:「もうわかったわよ。みんなありがとう!菊池先生ありがとうございます」

菊池:「礼を言うのなら後で祝いの平手打ちをやらせてちょうだい。さあローソクの火を吹き消して」

友美はローソクの火を全て吹き消す。ケーキにナイフが入れられ部員達に振る舞われていく。部員達はケーキを頬張り、ジュースを飲む。食べ終えると菊池が友美に話す。

菊池:「友美、さっ祝いの平手打ちやらせてちょうだい」

友美:「は、はい」

菊池が友美の左頬に平手打ちを食らわす。

パーン!

「友美ちゃん、私達にも祝いの平手打ちさせてちょうだい」

高等部の部員達も友美を叩いていく。

パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!

友美の左頬に炸裂する平手打ちは友美の誕生日を祝福するクラッカーと遜色は無かった。

悠真:「友美大丈夫?」

洋美:「友美姉ちゃん、大丈夫?」

友美:「何だか痛く感じなくなってきたわ。どうしてかしら?」

美千代:「今度は友美姉ちゃんが私に平手打ちする番ですよ」

礼子:「もちろん私にもですよ」

友美:「じゃあ、御言葉に甘えて叩かせてもらうわ」

パーン!パーン!

友美は美千代と礼子に祝いの平手打ちを食らわす。菊池が友美に声をかける。

菊池:「友美、水泳部部員全員に高飛び込みを披露して」

友美:「はい」

水着のままで着替えていなかったので友美は一番高い飛び込み台からソロで101Bを披露し飛び込んだ。その光景を見守っていた悠真は気持ちをどう動かすべきか思案にくれはじめていた。プールから上がると友美は改めて全員に礼を述べた。

「みんなありがとう」

こうして友美の誕生パーティーは終了し片付けを経て幕を閉じた。下校時、高等部の部員達が友美に声をかける。

高等部の部員A:「友美ちゃん、痛かった?ごめんね」

友美:「叩かれた時は痛かったですけど今は気持ちいいです」

高等部の部員B:「そおなの?良かったわ」

友美:「今日は家に帰ったら家族で誕生パーティーかも知れないです」

高等部の部員C:「今日はケーキ三昧だね、友美ちゃん」

友美:「来年は私、高等部だなあ」

そして、下校中のモノレールの中では菊池が佳那子、悠真と会話をしていた。

菊池:「来月は悠真と小湊さんの誕生日だよね」

佳那子:「私は16日で13歳です」

悠真:「私は30日よ」

菊池:「再来月は洋美ちゃん、14歳だわ」

佳那子:「菊池先生、悠真さん、もうすぐ私降ります」

菊池:「小湊さん気をつけて、また明日」

悠真:「また明日、気をつけて」

佳那子が降り、次の駅で葵奈姉妹が降りた後、悠真は菊池に話しかける。

悠真:「私、何歳と言えば良いのかしら?」

菊池:「そうね、何歳で祝うべきか悩むわ、13歳でやるべきか、25歳でやるべきか・・・」

悠真:「二通りで両方やってくれたら嬉しいわ」

菊池:「現役の生徒がいる時は13歳で祝って、私と咲、池澤先輩、高畠先輩で祝う時は25歳で行う方向で考えてみようかしら」

一方、モノレールを降り自宅に帰り着いた葵奈姉妹は一階の台所のテーブルで家族と共に友美の誕生祝いを楽しんだ。食事の後の誕生ケーキには友美と洋美よりも愛美と幸美が大喜びであった。

育美:「誕生ケーキ、友美よりも愛美と幸美が嬉しそうね」

愛美:「今日は部活の時に友美姉ちゃんの誕生パーティーがあったから二回もケーキを食べれたんだもん」

幸美:「幸美も嬉しい」

洋美:「愛美、幸美、ケーキバイキング好きだからね」

勝幸:「学校でも祝ってくれたから二回も食べられたんだね」

愛美:「来月の16日は佳那子の誕生日なのよ」

勝幸:「佳那子さん、愛美姉ちゃん、幸美姉ちゃんよりも早く13歳になるんだね」

育美の夫(葵奈姉妹の父親):「ケーキ三昧の日は最高だよね」

食事、入浴を済ませ姉妹の部屋で勉強を済ませると友美と洋美、愛美は自身のスマホのメールチェックを行う。スマホを持たない幸美は愛美のスマホを見る。

友美:「私のスマホには他の部員、菊池先生、長野さん、悠斗さんからメールが入っているわ」

洋美:「私のスマホには旭中の友達、五人からメールが入っているわ」

愛美:「愛美のスマホにも旭中の友達、五人からのメールが入っているし佳那子からも入っている」

幸美:「スマホを持つとメールの返信が大変なんだね。バッテリーの残量に敏感になってないといけないからね」

友美:「長野さんからのメールは今度の日曜日の写真集発売イベントの件だわ、当日は秋葉原でお昼頃から行うから午前7時半に迎えに来るとの事だわ。佳那子には土曜日の夜、泊まりに来てもらう方が良いわ。メールを入れておかないといけないし、ご両親の承諾書も用意してもらわないといけないわ」

洋美:「私のスマホには旭中の友達五人からのメールだけど、内容は

『洋美、元気にしている?洋美と愛美、幸美の事、生徒会と体操部に話したよ。愛美と幸美のバク宙と連続前宙の動画を見せたらビックリしていたよ。葵奈姉妹を親善大使生として招待するのはどうかという案が生徒会で浮上するかもしれないのよ。体操部の部員達はビックリだったよ。愛美と幸美にバク宙と連続空中前転の指南をしてもらえたらいいのになあ。愛美と幸美のような後輩と洋美のような同級生がいたらいいのになあ。最近、私、足を捻挫したみたい。今度の日曜日はどうして過ごすのかな?気になる。教えてくれると嬉しい。バイ由美子』

だわ。今度の日曜日は写真集の発売イベントに出席しなければならないからメールで知らせなくては」

友美:「他の友達からのメールはどうなの?」

洋美:「陸上部に入っている麗美奈からだわ。

『洋美、元気に頑張っている?愛美と幸美のバク宙と連続前宙の動画、私が所属している陸上部の先輩と後輩、同級生みんなビックリしていたよ。愛美と幸美、紺のブルマ体操着が似合っていてカッコいい。今どきの中学生じゃ味わえないわ。愛美と幸美のような後輩がいたら良いのになあ。洋美、愛美、幸美は水泳部なんだね。他に得意なスポーツある?今度の日曜日はどう過ごすのかなあ?バイ麗美奈』」

友美:「そうか、他は?」

洋美:「ダンス部の真由からだわ

『洋美、どうしてるかしら?ダンス部のメンバーに愛美と幸美のバク中と連続前宙の動画を見せたらみんなビックリしていたよ。愛美と幸美にバク宙と連続前宙の指南してもらえたら良いなあと皆、言っているよ。ダンスにバク宙をとりこんだら凄いから。今度の日曜日はどうするのかな?気になる。バイ真由』

だわ」

友美:「そおなんだ、他の人は?」

洋美:「どこにも所属せず帰宅部の雅だわ

『洋美、どうしてるかしら?私は部活には入らず学校の図書室や校外の図書館でマンガばっかり見ているのよ。愛美と幸美の動画、男子は皆、鼻先伸ばしてばかりよ。もう、やらしくて呆れるぐらいよ。今度の日曜日はどうするのかな?バイ雅』

だわ」

友美:「他はもうないの?」

洋美:「あと一人、テニス部の若菜からだわ。

『洋美どうしているかな?愛美と幸美の動画、テニス部のみんな、ビックリだったよ。機会があれば愛美と幸美のペアとテニスのダブルス勝負してみたいけど無理かな?愛美と幸美のような後輩が欲しいなあ。今度の日曜日はどうするのかな?バイ若菜』

以上よ」

友美:「みんな今度の日曜日と言っているね。でも私達、今度の日曜日は写真集の発売イベントだから都合はつかないわ」

洋美:「そおね、メールで返信しなくては」

洋美は由美子に返信のメールを打つ。返信の内容は

『由美子、メールありがとう。生徒会が親善大使生として迎えたいという案を持ち上がげている話にはビックリしたわ。思ってもいなかったよ。今度の日曜日は写真集の発売イベントで秋葉原に行かないといけないのよ。私達、葵奈姉妹の写真集を買ってくれた方達に一人一人、握手しなくてはいけないから。今度の日曜日、会いたいと思っていたの?もしそうだったらごめんね。出来たら由美子が私の中三の姉、友美としゃべってくれたら本当は嬉しいけどね。ちなみに今日は友美姉ちゃんの十五回目の誕生日だからケーキ三昧だったわ。今は四姉妹一緒に部屋で過ごしているよ』

である。やや間があって洋美のスマホに電話の着信メロディが鳴り響いた。かけて来た相手は由美子である。洋美はすかさずでる。

洋美:「もしもし由美子、かけてくれてありがとう。足、捻挫したみたいだけど大丈夫?」

由美子:「いえいえ寝るところだったら悪いと思ったけど、今度の日曜日は写真集の発売イベントだよね。どれぐらいのお客さんが来るのかな?足の捻挫は何とも言えない」

洋美:「その時によりけりだけどね。中には遠い所から来られる方もいるわよ。ちなみに今、側に友美姉ちゃんがいるんだけど」

由美子:「話してみたい」

洋美:「わかった。友美姉ちゃん」

友美:「うん、もしもし」

由美子:「もしもし、友美姉さんですか?」

友美:「はい、そうですよ」

由美子:「こないだの日曜日は妹さんと一緒に遊ばせて頂いた高牧由美子です。お姉さん、こんばんは、遅い夜分でありますが」

友美:「いえいえ気にしなくてもいいよ。こちらこそ、こないだの日曜日、妹の洋美、愛美、幸美の相手、ありがとうございました」

由美子:「写真集を御出しになるんですよね」

友美:「ええ、その通りですよ。今、洋美からあったと思うけど今度の日曜日は秋葉原で発売イベントあって出席しないといけないのよ。もし、会いたいなあと思っていたのならご免なさい」

由美子:「いいですよ。私達だって中間テストで忙しいですから。写真集を出すなんてアイドルだなあと思いました」

友美:「アイドルといっても出しているのは写真集だけでCDは出してないし音楽配信もやってないんですからメジャーではなくマイナー未満ですよ、私達は」

由美子:「そうですか?でも私から見たら葵奈姉妹はアイドル同然です。憧れの上級生、同級生、下級生です。特に愛美と幸美はスーパーアイドルみたいです。」

友美:「そうですか?私達が通っている首女中と首女高には芸能活動している人が多くいるんです。歌手、女優、アニメの声優を目指している人多いです。堀越学園やメーナカ、クラークほどではないですけど。旭中の友達は四人とも二年生ですよね?」

由美子:「はいそうです。また発売イベントの出来事、教えて下さい。御期待してます。誕生日おめでとうございます」

友美:「解りましたわ、ありがとう。じゃ洋美に代わりますよ」

洋美:「もしもし由美子、友美姉ちゃんと話してどうだった?」

由美子:「優しくて人当たりの良いお姉さんだったよ。私にとっては憧れの上級生よ。普段はどうなの?」

洋美:「怖いよ。怒るとすぐ平手打ちが飛ぶよ。朝起きれなかったら平手打ちされるよ。妹の愛美と幸美は泣いてばかりなのよ」

由美子:「友美姉さんに叩き起こされるんだ」

洋美:「由美子、他の友達にもよろしくね。足、お大事に。それと中間テスト頑張ってね」

由美子:「うん、麗美奈と真由、雅、若菜にも伝えておくわ。どうもありがとう、おやすみなさい」

由美子との会話を終え洋美は友美、愛美、幸美に向き直る。

洋美:「友美姉ちゃん、由美子と話してどうだった?」

友美:「人当たりは良いわ。愛美と幸美が部活中の私語で話題にしていたのも頷けるわ」

愛美:「由美子は人当たりいいでしょ」

幸美:「他の友達も良い人よ。ところで昨夜、幸美が見た夢なんだけど」

愛美:「どんな夢だったの?」

幸美:「街並みを愛美お姉ちゃんと一緒に散歩していたら突然、怪獣が現れて街並みを破壊し始めたので逃げまどった夢だったの」

友美:「そおなんだ」

洋美:「それでどうなったの?」

幸美:「目が覚めたら怪獣が友美姉ちゃんに変わっていた」

友美:「何それ!?変な夢。怪獣の正体が私ってことかしら?」

洋美:「ホント摩訶不思議だわ。愛美は何か夢を見た?」

愛美:「愛美は、ゆうお兄ちゃんと一緒に海水浴を楽しんでいる夢だった。夢の中で、ゆうお兄ちゃん、愛美のおっぱいをモミモミしてたの。気持ちいい夢だったわ。菊池先生の平手打ちよりも」

友美:「正夢だったら私、悠斗さんに平手打ちしてしまうわ」

洋美:「友美姉ちゃん、ゆうにいに対してはやめてよ。私と佳那子、愛美、幸美、美千代、礼子にやるのなら、まだわかるけど」

愛美:「同感、ゆうお兄ちゃんは葵奈姉妹の写真集を買ってくれるお客さんでもあるからね」

幸美:「幸美も同感、愛美お姉ちゃんが見た夢、幸美も見たかったなあ」

友美:「そんなに見たいの?だったら早く寝よう。もうすぐ首女中も中間テストだからね」

四姉妹は就寝する。友美と洋美は布団に潜る。愛美と幸美も布団に潜って口付けを交わす。幸美は愛美に囁く。

幸美:「愛美お姉ちゃん、夢の中で、ゆうお兄ちゃんが愛美お姉ちゃんにやっていた事を幸美にやってよ」

愛美:「わかったわよ本当は愛美、幸美にやってみたいと思っていたのよ」

愛美は幸美のパジャマを脱がし胸をまさぐりモミ出す。

愛美:「幸美、どう?気持ちいい?」

幸美:「あ〜ん愛美お姉ちゃん気持ちいい」

愛美:「じゃあ今度は幸美が愛美にやってみてよ」

幸美:「うん、やってみるよ。愛美お姉ちゃん」

愛美:「あっ、幸美、気持ちいい」

愛美は幸美とキスしながら眠りについた。その様子を見ていた友美と洋美は囁き合う。

洋美:「友美姉ちゃん、今の愛美と幸美、愛し合っている感じのノリだったわ」

友美:「そおね、私も洋美と愛し合う感じで寝ようかな?」

洋美:「友美姉ちゃん、私、背伸びたかな?」

友美:「伸びたみたいよ。去年、洋美が首女中に入学した時は今の愛美と幸美と同じ背丈だったわ」

洋美:「バストも友美姉ちゃんには及ばないけど大きくなったみたい」

友美:「そのうちに私と同じぐらいに大きくなるわよ」

洋美:「友美姉ちゃんと同じ背丈とバストになったら私、友美姉ちゃんと瓜二つになるかも」

友美:「なると思うわ。なった暁には私、洋美とツインズしてみるのはどうかな?愛美と幸美に対抗する感じで」

洋美:「それなら私と髪型と服装、同じようにしないとね」

友美:「そおね、そろそろ寝ましょう」

夜が明けて5月16日金曜日になった。その日の朝は愛美と幸美が早く起きた。幸美が愛美に話しかける。

幸美:「愛美お姉ちゃん、昨夜のあれ、気持ち良かったわ」

愛美:「じゃあ今も、やってあげようか?」

幸美:「うん、友美姉ちゃんと洋美姉ちゃんが寝てる間に」

愛美:「幸美のおっぱい、愛美のおっぱいと瓜二つで似ているからもみがいがあるわ」

幸美:「だって双子なんだから、ああん、愛美お姉ちゃん」

幸美の声で友美と洋美が目を覚ました。

友美:「愛美、幸美、お前ら起きてたのか、何やってた?」

幸美:「大好きな愛美お姉ちゃんに気持ちいい事をしてもらってたの」

洋美:「私と友美姉ちゃんじゃ駄目?」

幸美:「友美姉ちゃん、洋美姉ちゃんは怖いから嫌」

愛美:「愛美だって幸美に気持ち良い事をする時としてもらう時が好き」

友美:「お前達らしいな」

洋美:「私だって友美姉ちゃんは怖いよ。でも最近は愛美と幸美には及ばないけど友美姉ちゃんと愛し合うように努力しようと思うのがあるわ」

友美:「洋美とは下着姿で見つめ合って話す事が多くなってきたのよ。さっ着替えて学校に行く準備をしよう」

四姉妹は朝食と歯磨きを済ませて登校する。モノレールで佳那子に会うと友美が声をかける。

友美:「おはよう佳那子、今度の日曜日の写真集発売イベントだけど当日の午前7時半頃に長野さんが迎えに来るから土曜日の晩、ウチに泊まりに来てもらわないといけないからね」

佳那子:「はい、また友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん、愛美、幸美と寝泊まりできるので楽しみです。勝幸君にも会えそうですし」

友美:「楽しい?あっ、それと佳那子の御両親の承諾書、長野さんに提出しないといけないから忘れないでね、大丈夫?」

佳那子:「父は我が家の屋台骨を支えてくれるのならいいよ、と快諾してくれました。母も同じです」

友美:「良かったね、今回の写真集では佳那子、『葵奈かな子』で通っていると思うけど」

佳那子:「何か芸名みたいですね、ますます楽しみになって来ました」

友美:「土曜日の晩は承諾書を忘れずに持ってきて欲しいのよ。それと当日、イベントは私、首女中の制服を着て参加するつもりだから、佳那子も制服で参加したら」

佳那子:「はい、何だか面白くなって来そうです」

洋美:「佳那子、あと1ヶ月で13歳だね」

佳那子:「はい」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

旭中では由美子が思い詰めた表情で愛美と幸美のバク宙と連続前宙の動画に見い入っていた。そんな由美子に体操部の部員が声をかける。

体操部部員A:「由美子、何見ているの?」

由美子:「葵奈姉妹の動画なの」

体操部部員B:「首女中の双子姉妹ね、何か思い詰めた顔をしているけど」

由美子:「私、足を捻挫したみたいで」

体操部部員C:「そおなの?」

由美子:「嘘であったら良いのだけど立ち上がる時と歩く時に足が痛いの」

体操部部員A:「だっ大丈夫!?」

由美子:「わからない、でも葵奈姉妹の動画を見たらメンタル向上によって回復、早くなりそう」

体操部部員B:「私だって葵奈姉妹からバク宙と連続前宙を指南してもらえたら良いのになあ」

由美子:「葵奈姉妹はアイドルなのよ」

体操部部員C:「えっ!?アイドル?」

由美子:「グラビアアイドルだからグラドルなのよ。写真集を出しているのよ」

体操部部員A:「そおなの?」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

放課後の部活終了後、友美は洋美に呼びかけられる。

洋美:「友美先輩、帰りに海岸に寄らない?」

友美:「海岸に寄ってどうするの?」

洋美:「一緒に海で過ごす時が欲しいの」

友美:「海で過ごす時が欲しい?わかった、愛美と幸美には先に帰らすわ」

下校時、友美と洋美はモノレールに乗らずに海岸へと降りて行く。

洋美:「友美先輩、下着になろうよ」

友美:「どっ、どうして下着にならなきゃいけないのよ!?」

洋美:「ビキニの水着代わりよ」

友美:「洋美!何を考えているのよ!?」

そこへ菊池がやって来て二人に声をかける。

菊池:「二人とも何しているの?」

友美:「洋美ったら海岸で下着になって、と言うんですよ」

菊池:「どうして下着なの?」

洋美:「友美姉ちゃんと二人きりで下着姿で話し合う時が欲しかったので」

菊池:「ここは公共の場でもあるし他の人の視線も多いわよ。早く下校して帰宅しなさい!」

洋美:「はーい」

友美:「はーい、愛美、幸美、佳那子、悠真さんは帰ったのかな?」

菊池:「先に帰ったわよ。宇都さんも工藤さんもね。あなた達も早く帰宅しなさい。遅くならないように!」

菊池に注意され友美と洋美はモノレールに乗るべく駅へと歩く。その後ろを菊池が後を追う。一方、先に帰宅の徒についた愛美と幸美は自宅近くの児童公園に寄った。二人は公園内のベンチに腰掛ける。

幸美:「愛美お姉ちゃん、一緒に話し合おうよ」

愛美:「うん、幸美と話し合う時が楽しいわ。何ならお互いにスカートの中を覗きながら話し合おうよ」

幸美:「良いね、愛美お姉ちゃんのスカートの中の紺ブル、幸美はメロメロなのよ」

愛美:「愛美もメロメロよ。幸美のスカートの中の紺ブル、セクシーだわ」

幸美:「幸美がセクシーなら愛美お姉ちゃんだってセクシーよ」

愛美:「ねぇ、今度の日曜日の写真集発売イベント、佳那子も一緒だから楽しみね」

幸美:「そおよね、愛美お姉ちゃん。発売イベント、佳那子は初体験だからワクワクよね」

愛美:「ねぇ幸美、キスさせてよ」

幸美:「いいわよ、愛美お姉ちゃんの唇、気持ち良くて美味しい」

二人はベンチで口付けを交わしていたが通りかかった友美と洋美に声をかけられる。

友美:「愛美、幸美、何やっているの?」

洋美:「愛し合うのが好きなんだね」

愛美:「うん、愛美は幸美と愛し合うのが好きなの」

幸美:「幸美は同い年の愛美お姉ちゃんと愛し合うのが好き」

友美:「さっ、早く家に帰ろう」

四姉妹は自宅へと帰宅する。夕食、入浴、勉強を済ませ、就寝前の一時、四姉妹は下着姿になった。

友美:「私と洋美はブラを着けているけど愛美と幸美はノーブラね」

洋美:「愛美、幸美、どうしてブラ着けないの?」

愛美:「幸美とモミモミし会えるから」

幸美:「幸美だって愛美お姉ちゃんのをモミモミするのが好きだし、愛美お姉ちゃんにモミモミされるのも好きなの。ねえ友美姉ちゃん、ブラ外してよ」

友美:「わかったわよ」

愛美:「友美姉ちゃんのおっぱい、愛美のよりも大きい」

幸美:「そおね、いつ見ても大きいなあ。友美姉ちゃん、姉乳飲みたい」

友美:「もう、愛美、幸美、いつになったら乳離れするのよ!?」

洋美:「あははっ、愛美と幸美、まだまだ幼いなあ」

そして翌日の5月17日土曜日の登校時、葵奈姉妹はモノレールで佳那子と会って挨拶する。

佳那子:「おはようございます、今晩は、お泊まりお世話になります」

友美:「おはよう佳那子。承諾書、持ってきた?」

佳那子:「はい、両親にも前から言ってます。今夜は泊まりと」

洋美:「良かったわ」

佳那子:「明日の発売イベント、楽しみです」

愛美:「愛美だってワクワクしてるよ」

幸美:「幸美だって何かワクワクする」

首女中に到着してから一年A組の教室で愛美と幸美は机で自動車情報誌を広げる。その様子の見た悠真が二人に声をかける。

悠真:「愛美、幸美、二人とも最近、自動車情報誌を見ている事が多いけど、どうしてなの?」

愛美:「山地さんの件がきっかけで運転免許と自動車に興味が湧いたんですよ。悠真さんにとっては嬉しくないかもしれませんが」

幸美:「幸美、16歳になったら愛美お姉ちゃんと一緒に免許取りたいと思っているんです」

悠真:「あら、そおなの?悪いけど私は運転免許には興味ないのよ。でも二人は将来の事を考えているのね。周りの人には運転免許を取って車を買って送迎してと言われる事があるけど勘弁して欲しいわ」

愛美:「気にしなくて良いんですよ、悠真さん。馬耳東風で聞き流せば良いんですから」

幸美:「逆に幸美達が悠真さんを送迎してあげないと、と思う事があるぐらいなんですから」

悠真:「水泳部の人達は気遣いが良い人が多いのね。由利が顧問をつとめている影響なのかしら?」

愛美:「そうかも知れませんが悠真さんが毎日、水中ウォーキングで頑張っているのを見ていると自然に気遣い精神が湧いてきます」

幸美:「悠真さん、もし部活を考えるとしたら水泳部はどうですか?競泳部門か飛び込み競技部門、どちらでも構いませんから」

悠真:「私じゃ他の部員の足を引っ張る事になってしまうわ。のみならず由利まで神経を磨り減らしそうだし・・・・」

悠真がちょうちょしはじめた時担任の教師、池澤が入って来てホームルームとなった。そして、その日の下校時、葵奈姉妹は佳那子を連れて帰宅する。帰宅すると母親の育美と弟の勝幸が佳那子を迎えた。

育美:「佳那子ちゃん、いらっしゃい。今晩はゆっくりしてね」

佳那子:「今晩は、お世話になります」

勝幸:「佳那子さん、泊まりに来てありがとう」

佳那子:「勝幸君、明日は、お姉ちゃん達と一緒に出かけるからね」

佳那子は葵奈姉妹と食事を共にして入浴を済ませた。就寝の直前に友美が三人の妹と佳那子に指示を出す。

「明日の午前7時半頃に長野さんが、ここに迎えに来るので起床は午前6時過ぎ、起きれなかったら平手打ちよ!」

五人は就寝し翌日の5月18日の6時過ぎに起床する。食事、歯磨き、着替えを済ませ長野の到着を待つ。やがて友美のスマホにメールの着信を知らせるアラームが鳴る。

葵奈姉妹と佳那子の五人は家を出る。育美と勝幸も見送りのために外へでる。ほどなく長野が運転するワゴン車が到着する。車から長野が降りてきて挨拶をする。

長野:「おはようございます」

育美:「おはようございます」

葵奈姉妹:「おはようございます。よろしくお願いいたします」

佳那子:「おはようございます。よろしくお願いいたします。承諾書を持ってきましたので渡しておきます」

勝幸:「おはようございます」

長野:「友美ちゃん、洋美ちゃん、愛美ちゃん、幸美ちゃん、佳那子ちゃん、おはよう。さあ乗ってちょうだい。承諾書ありがとう」

葵奈姉妹と佳那子は乗り長野は運転席に座る。

長野:「行ってきます」

育美:「友美、洋美、愛美、幸美、佳那子ちゃん、行ってらっしゃい」

勝幸:「行ってらっしゃい、友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん、愛美姉ちゃん、幸美姉ちゃん、佳那子さん」

ワゴン車は出発し秋葉原にある握手会の会場へと走り出す。その車中で長野は口を開いた。

長野:「皆さん、今日は秋葉原にて写真集発売の握手会イベントですよ」

友美:「はい、楽しみです」

洋美:「私もです。どれぐらいの人がくるのか」

愛美:「愛美も楽しみです」

幸美:「幸美も楽しみです。佳那子が初登場ですから」

佳那子:「私、緊張してます。初体験で初舞台ですから」

長野:「佳那子ちゃん、気楽にいきましょう」

佳那子:「はい、ところで長野さん、首女中と首女高の先生で知ってる人、いませんか?」

長野:「大方、知っているわよ。高畠先生、池澤先生、大水先生、菊池先生、中先生、佐々木先生、高野先生、岸先生、と言ったところね」

友美:「菊池先生は私の担任で所属している水泳部の顧問です」

洋美:「大水先生は私の担任です」

愛美:「池澤先生は愛美、幸美、佳那子の担任です」

長野:「そおなんだね、ところで気になるのがあるけど12年前に誘拐されて監禁されていた首女中の生徒がいて見つかったという話を耳にしたんだけど」

洋美:「それって牟田内悠真さんの事ですよね、実は救助と保護に加担したのは、この中では私と愛美、幸美なんです。今、悠真さんは愛美、幸美、佳那子が在籍している中等部一年A組にいて勉強してます」

長野:「あら!そおなの!?洋美ちゃん、愛美ちゃん、幸美ちゃんが加担していたなんて驚きだわ」

佳那子:「発売される写真集、どんなのか楽しみです」

長野:「会場に着いてからのお楽しみよ。ところで、こないだの木曜日は友美ちゃんの15歳の誕生日だったよね、おめでとう」

友美:「ありがとうございます。ちなみに来月の16日は佳那子の13歳の誕生日です」

長野:「そおなんだね、その頃に次の写真集の撮影を考えている所なのよ。再来月の7日は洋美ちゃんの14歳、9月9日が愛美ちゃんと幸美ちゃんの13歳の誕生日なんだね」

休憩を挟み三時間足らずで秋葉原の会場近くのパーキングに到着し長野はワゴン車を有料駐車場に駐車する。長野と葵奈姉妹、佳那子はワゴン車を降りて会場がある建物へと歩き中に入っていく。会場の楽屋に入り葵奈姉妹と佳那子はスタッフに挨拶する。

「おはようございます。よろしくお願いいたします」

葵奈姉妹と佳那子は首女中の制服である。しかし葵奈姉妹は青色系のセーラーブレザー、佳那子は緑色系のセーラー服であるが服装は変更せずに顔にメイクアップを施してイベントに挑む事になった。イベントが始まるまでの間、佳那子は出来上がった写真集を広げ目を通す。

佳那子:「あっ、私写っているわ。懐かしい感じだわ。表紙だけでなく中でも写っている」

友美:「いい感じで写っているでしょ」

佳那子:「達成感が感じられます。制服姿も紺ブルの体操服姿も写っているから感無量です」

洋美:「スタントシーンも写っているわよ」

愛美:「愛美、佳那子と幸美と写っているのも感激」

幸美:「幸美だって感激」

午前11時半にイベントが開始され会場には写真集を購入した人達が大勢いるのだった。少なくとも百人以上いる事には間違い無い。購入者のほとんどがオタク系の男性で年代は若年層で二十代から三十代、四十代、五十代、中には六十代以上とおぼしき男性もいる。司会者の音読でイベントが開始され佳那子の紹介から始まった。

「皆様おはようございます。本日は葵奈姉妹写真集の発売イベントにお越し頂き誠にありがとうございます。これより発売イベントを始めます。まずは葵奈姉妹のリーダー、友美ちゃんからの挨拶です」

友美がマイクで挨拶をする。

「おはようございます。会場に集まって下さった皆さん、写真集のご購入、誠にありがとうございます。今回からニューフェイスが一人加わっていますので紹介します。葵奈かな子です」

緊張した口調で佳那子は挨拶をする。

「おはようございます。葵奈かな子です。これからもお願いしたいと思います」

会場内に拍手が響く。司会者が質問コーナーを始めるべくマイクで話す。

「これより質問コーナーを始めたいと思います。質問を希望される方は挙手をお願いします」

早速、客の何人かが挙手をする。その内の一人を司会者が指名する。

客A:「CDデビューを考えたいと思う事ありますか?」

友美:「私達は部活で水泳部なので練習に忙しいので考えるのは厳しいです。どこからお越しですか?」

客A:「東京都です」

二人目の客を司会者が再び指名する。

客B:「友美ちゃんに質問ですけど妹さん達の世話、しんどいと思う事ありますか?」

友美:「あります。でもかな子が加わってくれたので少しは楽になりそうな気がします。どこからお越しですか?」

客B:「神奈川県からです」

三人目の客を友美が指名する。

客C:「洋美ちゃんに質問なんですけど気持ちいいと感じる時ってどんな時ですか?」

洋美:「私達は水泳部で高飛び込みをしているので飛び込みの入水時ですね。どこから来られているのですか?」

客C:「静岡県からです」

四人目の客は洋美が指名する。

客D:「愛美ちゃんと幸美ちゃんに質問なんですけど、お姉ちゃん達は優しいですか?」

愛美:「メチャメチャ怖いです」

幸美:「怒ると平手打ちが飛びます。どこから来られているのですか?」

客D:「京都府です。良かったら、お越しヤス」

五人目の客を愛美が指名する。

客E:「五人に聞きたいんやけど、儂はラーメン屋をやっているんやけど好きな食べ物って何かな?」

友美:「私は特に決まってないです」

洋美:「私は激辛ラーメン」

愛美:「愛美はスイーツバイキング」

幸美:「幸美もスイーツバイキング」

佳那子:「私はスパゲッティとペペロンチーノですね。どこから来られているのですか?」

客E:「儂は大阪。よかったら儂の店に来てや」

六人目の客を幸美が指名する。

客F:「好きな季節は何ですか?」

友美:「特に決まってないです」

洋美:「飛び込み競技の夏です」

愛美:「飛び込み競技と打ち上げ花火の夏です」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんと同じです」

佳那子:「夏です。どこから来られているのですか?」

客F:「埼玉県からです」

七人目の客を佳那子が指名する。

客G:「今は時期尚早、早すぎるかも知れもはんが運転免許、取りたいと思う事ございもしませんか?教習所で教官をしていて今日は有給を取って来てのでごわす」

友美:「今はまだわからないです」

洋美:「わたしも、まだ何とも言えません」

愛美:「取りたいです。まだ12歳だけど今すぐ取りたいです」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんと同じです。取れる免許があるのなら今すぐでも取りたいです!」

佳那子:「何とも言えません。どこから来られているのですか?」

客G:「鹿児島から来たのでごわす。車の免許は18歳、自動二輪およびバイクの免許は16歳にならないと駄目でごわす。よかったら儂の教習所に合宿で免許取りに来てくりゃもんせ」

葵奈姉妹と佳那子の顔に驚きの表情が走った。会場内にもどよめきがひろまる。今日のイベントの為に鹿児島から秋葉原で新幹線か飛行機で来たのだろうか、驚きの余り佳那子は失神し昏倒してしまう。葵奈四姉妹が佳那子に声をかける。

友美:「佳那子!」

洋美:「佳那子!」

愛美:「佳那子!大丈夫!?」

幸美:「佳那子!しっかり!」

佳那子は意識を取り戻し立ち上がる。

佳那子:「ごっ、ごめんなさい」

何人かの質問コーナーをした後、握手会へ移行する。五人の中から一人を選択して握手する形式で行う事になった。握手の希望は佳那子が一番多かった。握手する客のほとんどが

「さっきは倒れたみたいだけと大丈夫!?」

「余計かも知れないけど、てんかんの持病抱えてない?」

「余り無理しないように」

と声をかける者が多いのだった。一通り握手を終えたのは午後2時前だった。

佳那子:「次、第二部もやるのですか?」

長野:「イベント参加希望者が多くいたら、やるつもりかもね。もしやるとしたら午後3時からになるわ」

佳那子:「やるのなら、やって頂きたいです。私、ますます楽しく感じます」

友美:「佳那子、やる気満々ね」

洋美:「第一部では佳那子に人気が集まったみたいだわ」

愛美:「愛美だって負けたくない」

幸美:「幸美だって同じよ」

長野:「実際は誰に良いねが多く付くのかがポイントよ」

こうして3時まで食事及びトイレ休憩を取り、その後に第二部を始める事になった。第二部も第一部と同じ要領で行われ終了したのは午後5時を回っていた。イベント終了後、楽屋で友美の誕生日パーティーが行われた。パーティーで誕生日ケーキが振る舞われ葵奈姉妹と佳那子は長野とスタッフ達と共に誕生パーティーを満喫した。誕生パーティーが終わる頃には午後6時半を過ぎていた。帰宅の徒に着く前に葵奈姉妹と佳那子、長野は会場を出てワゴン車を駐車している。駐車場へと歩く。そこへ愛美と幸美に声をかける者がいた。声の特徴は幼稚園児の女の子のものだった。

「あっ、バク宙の愛美お姉ちゃん、幸美お姉ちゃん」

六人は振り向く。愛美と幸美は驚いて声の主を見た。声をかけて来たのは遊園地であった『まりな』であった。まりなは愛美と幸美に駆け寄る。

まりな:「愛美お姉ちゃん、幸美お姉ちゃん」

愛美:「まりなちゃんね」

幸美:「覚えていたのね、体操教室に通っているかい?」

まりな:「うん、でも中々上達しないの。久々に、お姉ちゃん達のバク宙を見てみたいなあ」

愛美と幸美:「わかったわ」

愛美と幸美はバク宙を披露する。まりなは喜ぶ。ほどなくして、まりなの両親かと思われる声が響いてきた。

「まりな」

「まりな」

愛美は、まりなにたずねる。

「まりなちゃんのお父さんとお母さん?」

やがて、まりなの両親と思われる一組の夫婦が姿を現す。母親は弟かと思われる男の乳幼児を抱いている。

まりなの父:「まりな、先に行ったら危ないだろ」

まりな:「だってバク宙の双子お姉ちゃんがいたから会いたかった」

幸美:「まりなちゃんのお父さんとお母さんですね」

まりなの父:「ええ、まりなが喜んでいたので」

愛美と幸美は、まりなの両親と挨拶を交わし母親に愛美のメアドを伝えた。

愛美:「また体操教室での上達ぶり聞かせて下さい」

愛美と幸美は、まりな、両親、弟と別れを告げた。葵奈姉妹と佳那子、長野は駐車場にたどり着くとワゴン車に乗りエンジンをかける。長野は駐車場を出る時に駐車料金を精算し駐車場を出て佳那子と葵奈姉妹を送るべくハンドルを握る。ワゴン車の車中で佳那子は自身のスマホで自宅の両親に電話をかける。

佳那子:「ママ、佳那子だけどこれから帰宅するわ」

佳那子の母親:「そう?イベントどうだった?」

佳那子:「楽しかった。色んな所から来てる人がいた」

佳那子の母親:「じゃ気をつけて」

友美も母親の育美に今から帰宅するというメールを送信する。長野が佳那子に声をかける。

長野:「佳那子ちゃん、今日のイベント、どうだった?」

佳那子:「楽しかったです。ありがとうございました」

長野:「良かったわ。また撮影に参加して下さいね」

佳那子:「はい、喜んで参加させて頂きます。それにしても色んな所から来られていたんですね。鹿児島から来られてた人には、ビックリしました」

友美:「あの時、佳那子、気絶して倒れたんだね」

洋美:「私だってビックリした、話し方がモロに鹿児島薩摩弁だったから」

愛美:「愛美だってビックリ」

幸美:「幸美だってビックリした」

ワゴン車は午後9時半頃に佳那子の分譲マンションの前に到着した。長野は佳那子用に写真集を一冊わたす。渡されたのは初回特典のBlu-ray Disc付きであった。

長野:「佳那子ちゃん、今日はご苦労様でした。今、渡した写真集はゆっくり自宅で見て当時を振り返って下さいね」

佳那子:「ありがとうございます。今日はどうも、お疲れ様でした。ありがとうございました」

友美:「佳那子、お疲れ、また明日」

洋美:「明日からも飛び込みとバク宙の練習、頑張ろう」

愛美と幸美:「佳那子、おやすみ」

佳那子がワゴン車から降りると長野は葵奈四姉妹を送るべく走り去る。そのテールランプを佳那子は感無量の表情で見送った。テールランプが見えなくなると佳那子はマンションのエントランスへと歩いて行きオートロックのボタンを操作してマンションの中へと入り、10階へとエレベーターで登り帰宅する。

佳那子:「ただいま」

佳那子の母親:「お帰り佳那子、今日は沢山の人、来てた?」

佳那子:「来てた。三百人は来てたかも。地元の人が多かったけどなかには京都、大阪、広島、鹿児島から来ていた人もいたからビックリだった」

佳那子の母親:「へぇ!遠くから来られてた人もいたんだ」

佳那子:「次もあったら参加したいなあ」

佳那子の母親:「御飯食べて風呂入って寝たら」

佳那子:「はい」

食事と入浴後、佳那子は受け取った写真集を広げ当時の思い出にふけった。特典のBlu-ray Discを再生させ思い出を懐かしんだ。

(スタントシーンの撮影、痛かったけど楽しかった)

佳那子の目から涙が流れ落ちていた、

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

佳那子を降ろした後、ワゴン車の車中で友美は悠斗に、洋美は旭中の由美子に愛美は、まりなの母親にメールを送る。内容は写真集の発売イベントの事である。その仕草を幸美は見守っていた。

(幸美もスマホを持とうかな?ママに話さないと駄目かな)

やがてワゴン車は葵奈家に到着した。ワゴン車から葵奈四姉妹は降り長野に挨拶をする。

「お疲れ様でした。ありがとうございました。お気をつけて」

長野のワゴン車は帰っていき四姉妹はテールランプを見送る。姿が見えなくなると家に入る。

「ただいま」

「お帰り。友美、洋美、愛美、幸美、晩御飯食べて風呂入り」

晩御飯と入浴の後、四姉妹は姉妹の部屋でメールチェックをする。友美は悠斗からのメールをチェックする。

『友美、今日は発売イベント御苦労様。俺は通販サイトで購入したよ。初回特典付きのを。機会があれば会えたら良いなあと思うけど忙しい?本当は発売イベントに行きたかったけど都合がつかなかったので行けなくてごめんね。またメールを入れさせてもらうよ。BY 悠斗』

洋美は由美子からのメールをチェックする。

『洋美、今日の発売イベント楽しかった?握手会にお客さん300人近く来てたんだね、私もビックリしたよ。やっぱり友美姉さん、洋美、愛美、幸美はアイドルだなぁと改めて感じさせられたよ。次、撮影があるとしたら、いつ、何処でやるのかなぁ?気になる。機会があれば、また会って話を聞かせて欲しいなぁ。愛美と幸美からバク中の指南を受けられたらなお良いなあ。 葵奈姉妹と一緒に学校の勉強できたらもっといいのだけど。BY 由美子』

愛美は、まりなの母親からのメールをチェックしている。

『愛美ちゃん、今日も、まりながお世話になりました。まりなには体操教室に通わせています。出来れば水泳教室にも通わせようか思案しています。愛美ちゃんと幸美ちゃんがやっている飛び込み競技は、どれぐらい泳げないといけないのでしょうか? BY まりなの母』

愛美は返信のメールを打つ。

『まりなちゃんのお母様、メールありがとうございます。飛び込み競技は最低でも25メートル以上泳げる事が最低条件です。理由は飛び込み競技専用のプールは水深5メートルです。色々通わせたいと思うのはあるかと存じますが、まずは、まりなちゃんが優しくて立派な御姉ちゃんになることが大事じゃないかと思うのですがどうでしょうか?私は四女で姉が三人、双子の妹の幸美、小学五年生の弟がいます。のみならず一番上の姉に女の子、すなわち姪がいるので私はもうオバサンです。今年の10月には一番上の姉に二人目の女の子が産まれる予定です。まりなちゃんの成長ぶり教えて頂けると嬉しいです。ちなみに今日は写真集の発売イベントに出席するために姉達と一緒に秋葉原に来てました。 BY愛美』

やや間があって、まりなの母親から返信のメールが来る。

『愛美ちゃんと幸美ちゃん、六人姉弟なんですね、10月に二人目の姪子が産まれるという事は、一番上のお姉さん、妊娠5ヶ月ですね、私の主人もビックリです。写真集の発売イベントに出席と言う事はグラドルしているのでしょうか、頑張って下さいね。おやすみなさい。 BYまりなの母親』

三人の姉がメールのやり取りをしている間、幸美は今日、発売となった写真集を一ページづつ目を通し撮影時の様子を振り返った。

(こういう事をしていたんだ。次の撮影はどうなるのかなあ?佳那子、楽しみにしているし)

やがて四人は消灯して就寝する。翌朝の5月19日月曜日、葵奈四姉妹は登校すべく家出てモノレールに乗る。車内に菊池、悠真、香織、美千代が乗車していて挨拶をする。

菊池:「おはよう、写真集の発売イベント、どうだった?」

友美:「有意義でした。妹達は勿論の事、佳那子も楽しそうにしてました」

菊池:「四姉妹だけでなく小湊さんも参加していたのね」

洋美:「はい、そうです」

次の駅で佳那子が乗車してきた。

佳那子:「おはようございます」

友美:「おはよう佳那子。昨日は御苦労様」

佳那子:「出来上がった写真集、見ていたら感無量で涙が出ました。達成感がありました。私にとっては何よりの宝ですね」

友美:「そおか、よかった」

佳那子:「Blu-ray Discには私のスタントシーンもあって思い出が詰まっているようでした」

香織:「佳那子ちゃんのスタントシーンってどんな内容なの?」

佳那子:「友美姉ちゃんと洋美姉ちゃんから平手打ちを頂戴されて泣き崩れるシーンの撮影だったんです。痛かったけど楽しかったです」

洋美:「そう言ってもらえると嬉しいわ」

菊池:「楽しかったんだね。平手打ちは体罰ではなく幸運を呼び寄せる厄払いである方がいいんだけどね」

愛美:「同感です。菊池先生の平手打ち、幸運を呼びそうな感じです」

幸美:「幸美だって菊池先生の平手打ち、幸運を呼ぶ気持ち良さですから体罰と思うべからずだと思います」

菊池:「あら、そおなの?愛美ちゃん、幸美ちゃん、一度、首女中で私と一緒に寝泊まりするのはどう?夜の飛び込みと朝の早朝飛び込みでしごかせて欲しいのよ」

愛美:「一度してみたい」

幸美:「愛美お姉ちゃんがするのなら幸美も一緒がいい」

菊池:「じゃあ、明日の火曜日の晩から水曜日に寝泊まりでどう?」

愛美:「はい、お願いします」

幸美:「お願いします。何か楽しみです。友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん、聞いての通り明日の晩、首女中に寝泊まりだから」

友美:「わかった、しっかり練習するように」

美千代:「グラドル撮影って楽しいのかなあ?何か気になるわ」

洋美:「美千代、気になるの?」

美千代:「気になるのよ。私の二人の兄、私の制服姿、赤ブルや紺ブルの体操服姿、水着姿を見るのが楽しみなんですよ」

友美:「そおなの!?二人のお兄ちゃんに葵奈姉妹の写真集を見せたらどんな反応なのか面白そうだわ」

悠真:「写真集って値段はどれぐらいの相場かしら?」

友美:「モノにもよりますけど二千円代から三千円代が多いですね。今回、発売した写真集は何れも税込みで通常版が2100円、Blu-ray Disc付きの初回特典限定版が3600円ですね」

悠真:「初回特典限定版は売り切れたら終わりよね」

友美:「大方は終わりですけど購入希望者が多ければ増産するかもしれませんね」

美千代:「どれくらい、良いねがつくのかがカギですよね」

友美:「一番多く良いねがつくのは誰になるのか、これからが気になるわ」

香織:「友美か、洋美ちゃんか、愛美ちゃんか、幸美ちゃんか、佳那子ちゃんか、成り行きが気になるわ」

やがてモノレールは終着駅に到着する。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

旭中では由美子が同級生の麗美奈、真由、雅、若菜と会話していた。

由美子:「葵奈姉妹の写真集、発売されたわ」

麗美奈:「そおね、値段は何れも税込みで通常版が2100円、Blu-ray Disc付きの初回特典限定版が3600円なんだね」

由美子:「イベントでは三百人ぐらいの人が写真集を買ったらしいわ」

真由:「さっ三百人も!?葵奈姉妹にはどれくらい入ったのかなあ?」

由美子:「解らないけど3%から5%じゃないかな、控えめだと。実際にはネット通販で買った人もいるみたいだし写真集は買ったけどイベントには来なかった人もいるみたいだわ」

雅:「と、なると少なくとも300冊を大幅に上回る数が売れた事になるのね」

若菜:「雅も葵奈姉妹に弟子入りしたらどう?」

雅:「何よそれ!?首女中に行け、と言うことなの?」

由美子:「いくらなんでも、ここから首女中は遠いわ。首女中の校舎の最上階は地方出身者の個人寮があるらしいけど」

麗美奈:「校舎に個人寮?」

由美子:「洋美の話によると一階は中等部一年生、二階は二年生、三階は三年生、四階は高等部一年生、五階は二年生、六階は三年生、七階と八階が個人寮、そして屋上があってエレベーター三つあるらしいわ」

真由:「一度だけでも良いから首女中を見てみたいなあ」

由美子:「どんな感じの女子校なのか気になるわ。そおだわ、洋美に首女中の様子、写メールで送ってもらおうかな?」

麗美奈:「いいじゃん賛成」

真由:「賛成」

雅:「賛成」

若菜:「賛成」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

一方、カメラマンの長野は写真集の出版元の会社のパソコンに見入っていた。写真集のアンケートに関するデータで四姉妹と佳那子の中で誰に良いねが付くのかが気がかりである。発売されてまだ一日目だったが反響はではじめていた。

(あちこちで発売イベントをやって欲しいとの要望が多いわ、今度の日曜日の5月25日、もしくは6月1日は横浜で発売イベントをしてみようかしら?)

長野が思案しているとスタッフの一人が声をかける。

スタッフ:「長野さん、写真集の売れ行き、中々の上々ぶりですね」

長野:「ええ、イベント会場のみならず書店、通販で購入する人もいるので現時点では400冊近く売れていますわ。通常版よりも初回特典限定版の方に人気があるようです」

スタッフ:「そうですか、今後の状況次第では初回特典限定版の増産も考えた方が良いかもしれませんね」

長野:「アンケートの結果も気になる所ですわ、誰に一番多く良いねが付くかだわ。それに次の撮影も検討しなくてはいけないわ」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

放課後の部活が終わり下校時、友美はモノレールから降り改札をでた後、長野からのメールを見ていた。洋美、愛美、幸美もメールをみる。内容は

『友美ちゃん、色んな所から発売イベントをして欲しいという要望が出て来ています。それで今後の日曜日5月25日もしくは次の日曜日6月1日のいずれかで発売イベントを横浜にて行いたいのですが都合はどうでしょうか?』

と言うものである。洋美が友美に釘を刺す。

洋美:「友美姉ちゃん、今度の日曜は、ゆうにいの誕生日だけど、どうするの?」

友美:「悠斗さんの誕生日なのね、どうしょうかしら?」

愛美:「ゆうお兄ちゃんに聞いてみたらどう?」

友美:「そおね、メール入れてみよう」

友美は悠斗にメールを送る。

『悠斗さん、今度の日曜日5月25日は悠斗さんの二十五回目の誕生日ですよね。当日はどうやって過ごすつもりですか?』

やや間があって悠斗からメールが来る。

『友美、誕生日、覚えてくれてたんだね、ありがとう。その日は親戚に誕生祝をやってもらう予定で親戚一同集まって食べに行く予定なんだ。出来ることなら友美、洋美、愛美、幸美と会える時ができると良いのだけど厳しいかな?』

洋美が友美に問う。

「友美姉ちゃん、前日の土曜日の夕方、少しの時間だけでも、ゆうにいと会う時間、作ってみない?」

「時間を作る?もしかして悠斗さんに来てもらうの?」

「その通り、ゆうにいにモノレールの駅まで来てもらう事なの」

「モノレールの駅って首女中の近くの駅、それとも私達の自宅近くの駅?」

「自宅近くの駅の改札口近くでどう?」

「いいわ」

友美は悠斗にメールを送る。

『悠斗さん、24日の土曜日の夕方、私達の自宅近くのモノレールの駅の改札口で待ち合わせ、どうですか?』

ほどなく悠斗からメールが来る。

『良いよ、その頃には通販で購入した写真集も届いていると思うし、写真集の最後の方の空白ページにサイン入りをしてくれたらありがたいのだけど。当日は購入した写真集を持って行くつもりだよ』

友美はメールを送信する。

『わかったわ、実は25日の日曜日、横浜にて写真集の発売イベントをしようかと言う話がもちあがっているのよ』

すぐさま悠斗からメールが来る。

『友美、少し電話で話させて欲しいのだけと良い?』

友美はスマホを操作して悠斗に電話をかける。

友美:「もしもし悠斗さん」

悠斗:「もしもし友美だね、秋葉原だけでなく横浜でも発売イベントをやるんだね、やったら良いと思うよ。自宅から遠くはないし」

友美:「そおね、写真集、かなり売れているみたい」

悠斗:「よかったね、通販で購入した写真集、近いうちに来ると思うよ」

友美:「今回からメンバーが一人増えて五人なのよ」

悠斗:「一人増えたって誰だろう?」

友美:「愛美と幸美のクラスメートで同じ水泳部飛び込み競技部門の娘なのよ」

悠斗:「どんな娘かは写真集を見てのお楽しみなんだね」

友美:「そおなのよ、何か私、妹が三人から四人になったみたいだから、まとめるのが大変よ」

悠斗:「そおなんだ、内訳は二年生が一人、一年生が三人だよね」

友美:「私、葵奈姉妹のリーダーだから結構疲れるよ」

悠斗:「疲れを癒す方法を考えないとだめだなあ、今度の日曜は駄目だけど次もしくは、その次の日曜でスイーツもしくはケーキバイキングはどうかと思うのだけど、どうかな?発売イベントが立て続けに行うとなったら無理かも知れないけど」

友美:「そおね、考えてみるわ、じゃあ今度の日曜日は発売イベントにして前日の土曜日の夕方に会いましょう」

悠斗:「うん、そうしよう、電話での会話ありがとう」

友美:「いえ、こちらこそ、おやすみなさい」

悠斗との会話を終えると友美は洋美と愛美、幸美に向き直る。

洋美:「友美姉ちゃん、今度の日曜日は発売イベントといくのね」

友美:「そおよ、悠斗さんは私達の事、応援してくれるから頑張ってイベント盛り上げよう。愛美、幸美はどう?」

愛美:「オッケーよ」

幸美:「幸美もオッケーだけど佳那子はどうかな?」

友美:「じゃあ確認してみるわ」

共には佳那子に電話で確認をして快諾を得る。

友美:「佳那子もオッケーだわ」

洋美:「じゃあ長野さんに知らせよう」

友美は長野に電話をかける。

友美:「もしもし長野さん、ですか?」

長野:「そうですよ、友美ちゃん」

友美:「今度の日曜日、発売イベントをやりましょう」

長野:「横浜での発売イベントは野外イベントステージでやる予定ですから友達を誘ってくれたら有難いわ」

友美:「何とか、やれるところまでやってみたいです」

友美は長野との会話を終えると三人の妹に向き直る。

友美:「洋美、愛美、幸美、今度の日曜日も発売イベント頑張ろう!」

洋美:「うん、旭中の友達にも声をかけておこうかな」

友美:「いいじゃん」

愛美:「由美子、麗美奈、真由、雅、若菜に声をかけたらどう?」

友美:「良いね」

幸美:「旭中の友達に発売イベントを見るだけでも言ってみたら」

洋美:「そおね、メールで知らせておこう」

愛美:「佳那子にも知らせなくては」

葵奈姉妹は旭中の友達、佳那子に発売イベントの件をメールでしらせる。

そして帰宅後の晩御飯の時、幸美は育美に話しかける。

幸美:「ママ、幸美もスマート持ちたい」

育美:「幸美も持ちたくなったのね、愛美との共用じゃ満足出来ないのね、何か気になる機種あるの?」

幸美:「まだ迷っている」

育美:「愛美と一緒に相談して決めたらいいじゃん」

就寝前、葵奈姉妹はメールのチェックをする。友美は新たに来た悠斗のメールをチェックしていた。

『友美、今度の日曜日のイベント頑張ってね。俺は親戚に誕生日祝で飲もうと言われているので、イベントを覗くのは無理かも知れない。またメールさせていただくかもしれないけど。お休みなさい BY悠斗』

洋美は由美子からのメールをチェックしている。

『洋美、今度の日曜日も発売イベントなんだね。横浜にある野外ステージで発売イベントだよね。私達でもステージ見れるのね、都合がついたら見てみたいと思っているよ。イベント頑張ってね。BY由美子』

愛美は幸美と一緒に佳那子からのメールをチェックする。

『今度の日曜日も発売イベントだよね。ますますグラドルが楽しくなりそう。イベント、盛り上げようね。BY 佳那子』

そして就寝後、愛美と幸美は目を覚ましトイレに行く。用便を済ませた後、幸美は愛美に話しかける。

幸美:「愛美お姉ちゃん、幸美もスマホ持ちたくなった。どの機種にしようかな」

愛美:「幸美、愛美と同じのをはどう?」

幸美:「良いかも、持った暁には、ゆうお兄ちゃん、美千代姉ちゃん、香織姉ちゃん、礼子姉ちゃん、真美奈姉ちゃん、美幸姉ちゃん、佳那子、旭中の友達とメールのやり取りしたい。メールとのやり取りに愛美お姉ちゃんのスマホに頼りぱなしはどうしても」

愛美:「火曜日の晩から水曜日は首女中で寝泊まりよね、菊池先生と一緒に」

幸美:「そおだよね、水泳部だけの菊池先生の体育の授業があったら楽しいよね」

そこへ洋美が部屋から出てきて二人に声をかける。

「愛美、幸美、お前ら何を話している?早く寝ろ」

洋美に促され愛美と幸美は再び就寝する。そして日付が変わって5月20日火曜日の朝になった。朝食時、育美は幸美に話しかける。

育美:「幸美、スマホの機種はどれにするのか決めた?」

幸美:「愛美お姉ちゃんと御揃いにする。そんなに急がないので」

育美:「そう?」

愛美:「それと今晩は幸美と一緒に学校で寝泊まりだから晩御飯はいらないよ」

育美:「学校で寝泊まりか、部活の練習なのね。友美、洋美も?」

友美:「私と洋美は泊まらずに帰ってくるよ」

育美:「そうなの?じゃあ愛美、幸美、泊まり込みの練習頑張ってね」

そして四姉妹は家を出て登校すべくモノレールの駅へと歩く。モノレールに乗ると香織、美千代、悠真、菊池が乗っていた。

悠真:「友美、洋美、愛美、幸美、おはよう」

香織:「友美おはよう、洋美ちゃん、愛美ちゃん、幸美ちゃん、おはよう」

美千代:「葵奈先輩おはようございます。洋美、愛美ちゃん、幸美ちゃん、おはよう」

菊池:「おはよう。愛美ちゃん、幸美ちゃん、今晩は学校に泊まり込みの特訓よ」

愛美と幸美:「はーい、よろしくお願いいたします」

菊池:「二人の愛し合う姿、楽しみたいわ」

次の駅で佳那子が乗車してくる。

佳那子:「おはようございます」

友美:「おはよう佳那子、知っていると思うけど今度の日曜日も発売イベントよ。今度は横浜にある野外ステージでやるよ」

佳那子:「はい、ますますグラドル活動が楽しくなりそうです。野外ステージだと」

愛美:「愛美と幸美のバク中ショーが入るよ」

幸美:「幸美も楽しみよ、バク中を披露出来るから」

やがてモノレールは終着駅に到着する。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

旭中では由美子が昼休みに同級生や生徒会長や生徒会役員達と話し合っていた。話の内容は葵奈姉妹の事と写真集の発売イベントの件である。

生徒会長:「例のバク中姉妹、写真集を出したのね」

由美子:「はい、過去にも何回か写真集を出しているんです」

生徒会役員A:「会った事あるの?」

由美子:「はい、今度の日曜日もまた写真集の発売イベントをやるそうです」

生徒会役員B:「今度は何処でやるのかなぁ?」

由美子:「横浜にある野外ステージだそうです。葵奈姉妹からのメールによると」

生徒会長:「じゃあ今度の日曜日、みんなで葵奈姉妹の写真集発売イベントを覗こう。中間テストも終わっている頃だし」

麗美奈:「一昨日の日曜は秋葉原だったけど今度の日曜日は横浜だから近いよね、私も陸上部に何人か声をかけてみるわ」

真由:「私もダンス部に声をかけてみるわ」

若菜:「私も行ってみようかな?」

雅:「私も」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

そして放課後、愛美と幸美は菊池と合流する。菊池は二人に声をかける。

「愛美ちゃん、幸美ちゃん、今日寝泊まりする場所を案内しておくわ、ついてきなさい」

菊池は二人に教職員用の宿泊部屋へ案内する。

「今晩はここで寝泊まりする事になるから、ここで着替えなさい。私もここで着替えるから一緒に着替えよう」

愛美、幸美と菊池は水着に着替え、その上に体操服を着てプールへと移動する。プールへ着くと体操服を脱いで水着になり練習にいそしむ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

旭中の由美子は体操部の上級生、同級生と話し合っていた。

上級生:「高牧、足の捻挫、大丈夫?」

由美子:「何とか・・・痛い」

同級生:「大丈夫?相当つらそうだけど」

由美子:「ドクターストップがかかって練習が出来ない事になったら、どうしようかしら?」

上級生:「あの例のバク宙姉妹の動画を見てメンタルリハビリするつもり?」

由美子:「それしか浮かばないです」

同級生:「バク宙姉妹の名前は何だったかしら?」

由美子:「葵奈愛美と葵奈幸美。二人とも首女中の一年生なのよ」

上級生:「愛美ちゃんと幸美ちゃん、一年生なのに運動神経が抜群なんだ」

由美子:「私達の体操部の一年生に比べると凄いです。二年生であるとはいえ指南を受けたいぐらいです」

同級生:「同感だわ。生徒会から親善大使生として招待するのはどうかという案がもちあがっているけど何日間になるのかしら、実際に招待するとしたら」

由美子:「出来る事なら三、四日は来て欲しいなあ、転校は駄目でも」

上級生:「何処に住んでいるのかは解らないけど転校して旭中に通うのは遠すぎて不可能だわ」

由美子:「愛美と幸美、自宅からモノレールで通学しているようです。ちなみに今度の日曜日は横浜にある野外ステージで写真集の発売イベントをやるそうです」

同級生:「見に行くの?」

由美子:「行きたいと思っているよ、松葉杖をついてでも」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

放課後の練習が終わり他の部員と生徒が帰宅した後、愛美と幸美は菊池の元で特訓を受けた。

菊池:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、厳しい練習は平気だね」

愛美:「菊池先生の特訓、楽しいです」

幸美:「幸美も菊池の厳しい特訓、楽しい。もっとも刺激的に気持ち良いのになればと思います」

菊池:「刺激的に気持ち良いのね、じゃあモノはあれなんだけど私の往復平手打ちはどう?」

愛美:「左頬だけでなく右頬も叩くんですね、幸運を呼ぶ厄払いだったら良いなあと思います」

幸美:「幸美も同感です。お姉ちゃん達のよりも菊池先生の方がずっと気持ちいいです」

菊池:「あら、そおなの!?ところで愛美ちゃんと幸美ちゃんは喧嘩する事あるの?」

愛美:「喧嘩ですか?しないですね、仮にしようとしたら、友美姉ちゃんや洋美姉ちゃんに怒られて止められます」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんとは喧嘩しないです。でも愛美お姉ちゃんの平手打ちは一回も無いのでどんなのかが」

菊池:「じゃあ愛美ちゃん、幸美ちゃんに平手打ちを食らわしてみない?」

愛美:「ええっ!幸美に!?」

幸美:「愛美お姉ちゃん、遠慮しなくていいよ」

愛美:「良いの?じゃあいくよ幸美、我慢してね。痛かったらゴメンね」

パーン!

愛美は幸美の左頬に平手打ちを食らわす。しかし幸美は痛みを感じるどころか嬉し顔の表情である。

幸美:「愛美お姉ちゃん、もっと強く叩いても良いのに、なんか子守歌みたい」

愛美:「そう?じゃあもっと叩かせてくれない?」

幸美:「良いよ、愛美お姉ちゃんだったら何回でも良いよ」

パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!

愛美は幸美に平手打ちを5発喰らわす。

幸美:「これぐらい叩かれたら気持ちいい」

愛美:「そう?でも手が痛くなりそう。今度は幸美が愛美を叩く番よ」

幸美:「じゃあいくよ愛美お姉ちゃん」

パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!パーン!

愛美:「幸美のも気持ちいい。でも菊池先生の方がもっと気持ち良い」

幸美:「同感、菊池先生には及ばないわ」

菊池:「やっぱり、あなた達には私の平手打ちの方が気持ちいいのね。じゃあこれから食堂で晩御飯にしない?水着の上に体操服を着てね。晩御飯が終わったら、また特訓再開よ」

愛美と幸美:「はーい」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

帰宅の為にモノレールに乗った友美と洋美は佳那子、香織、美千代、悠真と別れて下車した後、自宅へと歩いていた。行きと違って帰りは登り坂なのである。自宅近くの児童公園に差し掛かると友美は洋美に声をかける。

友美:「洋美、ちょっと休まない?」

洋美:「良いよ。でも家はもう少しじゃん」

友美:「そうだけど、とにかくベンチに座ろう」

洋美:「うん」

友美:「ねぇ洋美、私が、お姉ちゃんを辞めたいと言ったらどうする?」

洋美:「お姉ちゃんを辞めたい?どうしてそんな事聞くの?」

友美:「実は、お姉ちゃんに、お姉ちゃんを辞めたいと思った事ある?、と聞いた事あるのよ」

洋美:「歩美姉ちゃんに聞いた事あるのね、いつ聞いたの?」

友美:「洋美が愛美と幸美を連れて旭中の友達と会って遊園地に行ってた時にね」

洋美:「私にしてみれば冗談でしょ、となるわ」

友美:「私は洋美のみならず愛美と幸美、佳那子も妹としてまとめなくてはならないから疲れるよ」

洋美:「友美姉ちゃん、精神的負担が多いんだ」

友美:「そう言えば佳那子、愛美と幸美から私を奪い取ってやりたい、と言ってた事あったよね」

洋美:「やっぱ佳那子も二人の弟のお姉ちゃんだから、お姉ちゃんであることに精神的負担を感じているのかしら?」

友美:「そおかもね。グラドル葵奈姉妹に私の補佐をしてくれる人がいたら良いなあと思うのがあるのよ」

洋美:「それって誰かをグラドル葵奈姉妹のメンバーに加入させる事?だとしたら私は美千代か礼子を入れたいわ」

友美:「私は個人的には香織か高等部の先輩の誰かをだわ。勿論、水泳部飛び込み競技部門の中から」

洋美:「そおね、メンバーが増えたらグラドル葵奈姉妹を一年生組、二年生組、三年生組に分けるのも手だと思うよ。そろそろ家に帰ろうよ、友美姉ちゃん」

友美と洋美は自宅へと再び歩き始めた。家に帰りつくや否や

「只今」

と声をあげた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

又一方、悠真は香織、美千代と一緒に下校していた。佳那子、友美、洋美がモノレールから下車した後、三人で会話を楽しむ。

悠真:「香織さんって家が茶道教室なんだね」

香織:「ええ、そおですよ、悠真さん。私は茶道教室を経営している母と二人暮らしなんです」

悠真:「私、茶道に興味を持とうかと考え始めたのよ」

美千代:「悠真さんが茶道に目覚めようとするなんて想定外ですね」

悠真:「私、体育会系には不向きなタイプかも知れないのよ。ここだけの話だけど」

美千代:「確かに悠真さんの顔、人相学で占ってもらったとしたら、体育系には不向きの相が出るかも知れませんね。嬉しくない事だったら申し訳ありませんが」

悠真:「いいのよ。確かに私は体育系には不向きかも知れない。でも水泳部の皆とは仲よくさせてもらえたら、と思うのがいささかあるわ」

香織:「私達、水泳部だって入部するしないは別として悠真さんと仲よくさせて頂きたいと思っています。だって悠真さん、菊池先生と同級生だから仲よくしないと菊池先生、憤慨しそうだから」

悠真:「由利の事、気になるのね」

美千代:「その菊池先生、今夜は愛美ちゃん、幸美ちゃんと学校で寝泊まりですよね」

香織:「愛美ちゃんと幸美ちゃん、菊池先生との深夜特訓と早朝特訓でしごかれるかもね」

あれこれと話し合っているうちにモノレールは終着駅に到着し三人は下車して電車に乗り換えた。

香織:「ねぇ悠真さん、もし今度の日曜日、都合がよろしければ私の母が経営している茶道教室、覗いてみませんか?」

悠真:「ええ、喜んで覗かせて頂くわ」

美千代:「悠真さんが茶道ね、どんな展開になるのか気になりますわ」

香織:「美千代ちゃんもどう?」

美千代:「私はお兄ちゃん達に制服姿、体操着姿、水着姿を披露して欲しいと言われるので」

香織:「そおなの?じゃあ葵奈姉妹に弟子入りはどう?」

美千代:「それだったら佳那子ちゃんが一番弟子になっているみたいですよ。私がグラドルで写真集を出したとしたら・・・・」

香織:「お兄ちゃん達の目付き、やらしくなったりして」

美千代:「そうくると何か、ウズウズするような気がしそうです」

電車を降りるまで三人は談笑を楽しんだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

首女中の食堂で夕食を終えた愛美と幸美、菊池は再びプールで飛び込みの練習に再び励んだ。

菊池:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、上達早いね。しごきがいがあって楽しいわ、ストレス発散になりそうだわ」

愛美:「愛美だって菊池の平手打ちが入った厳しい特訓、スリル満点です」

幸美:「スリルがあるのと無いのとでは雲泥の差だと思います」

菊池:「そう?あなた達がそう言ってくれると体育の教師になった甲斐があったわ」

愛美:「菊池先生はどうして体育の教師になりたいと思ったのですか?」

菊池:「悠真の為かな、ところで愛美ちゃん、幸美ちゃん、あなた達の将来は何になりたいと思っているの?」

愛美:「愛美は幸美と一緒に幼稚園の先生になりたいと思っていました」

幸美:「愛美お姉ちゃんと一緒に幼稚園の先生になったら双子の先生だなぁ、と思っています」

菊池:「そおなの」

愛美:「菊池先生は悠真さんの為に青春時代を犠牲にしたのではと思ってしまいました」

菊池:「今はどうなの?」

愛美:「自動二輪の免許が欲しいです」

幸美:「幸美も愛美お姉ちゃんと一緒に自動二輪の免許が欲しいです」

菊池:「それなら最低でも三年間は我慢しないとだめだわ」

愛美:「その三年間は知識を学ばないと駄目かな?」

幸美:「免許の話題は大水先生が良いかもね、間違っても悠真さんは駄目よね。きっかけは山地さんですから」

菊池:「悠真は嫌がるわ、さっ練習を続けよう」

三人は高飛び込みの練習を何回か続けた。練習を終え、教職員用の宿泊部屋に戻ると就寝の準備をする。宿泊部屋は畳敷きの部屋で布団を敷く。

菊池:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、明日は午前5時に起床して飛び込みの練習だから水着、脱水して干しておきなさい」

愛美と幸美:「はーい」

菊池に促され愛美と幸美は水着とスイムインナーを脱水し干す。菊池も自身の水着を脱水して干しクーラーの除湿機能を作動させる。菊池は愛美と幸美の間に挟まる形で布団で寝て消灯する。

愛美:「菊池先生、愛美と幸美の間で寝るのはどんな感じですか?」

菊池:「そうね教え子との添い寝、何か格別のような気がするわ。普段はどうやって寝てるの?」

愛美:「幸美と同じベッドで抱き合いながら寝ています」

幸美:「愛美お姉ちゃんと抱き合って寝るのは気持ちいいですから」

菊池:「そうなの?今晩は分かれて寝る事になってしまうのね。ところで最近、新しい友達できた?」

愛美:「はい、市立旭中に通っている人、五人です」

幸美:「その五人は遊園地のイベントがきっかけなんです」

菊池:「市立旭中学校ね」

愛美:「はい、旭中で愛美と幸美を親善大使生として招待するのはどうかと言う案が浮上しているそうです」

菊池:「親善大使生?」

幸美:「生徒会が意見具申しているそうです」

菊池:「へぇ、そおなの?私も校長先生、教頭先生と協議してみようかな、あなた達を親善大使生として旭中へ何日か行かせる案を。さっ、明日もあるから寝よう」

愛美と幸美:「はーい」

三人は就寝し眠りにつく。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

葵奈姉妹の部屋では就寝前の友美と洋美が二人きりで話し合っていた。

友美:「洋美と、こうやって二人きりで話し合うと二年生だった去年を思い出すから懐かしいわ」

洋美:「私だって一年生だった頃が懐かしいよ、友美姉ちゃん」

友美:「あの頃は私、洋美を叱って叩いてばかりだったわ」

洋美:「そおね、毎日だったわ。学校でも、この部屋で愛美と幸美が

見ている前でも」

友美:「その愛美と幸美、今晩は菊池先生と一緒に寝泊まりだね」

洋美:「朝5時に叩き起こされて練習かもね。ところで加代ねえ、どうなっているのかなあ?」

洋美の言葉に友美は表情を歪める。小学校時代の同級生の話では親戚の家を転々としているといった情報が入っているのだった。

(お兄ちゃんとお母さん亡くなったから迷走しているんだ。一番良いのは加代が首女中に転校してくる事なんだけど、ひょっとしたら小学校時代みたいにいじめられてないかしら?)

洋美が口を開く。

洋美:「友美姉ちゃん、加代ねえの事、心配なんだ、私だって気になるわ。親戚の家をたらい回しされてないかしら?」

友美:「だとしたら転校を繰り返しているのでは?」

洋美:「そおね、相談できる機関があれば良いよね、例えばNPO法人、子供の人権110番とか。間違っても旭中の友達では荷が重すぎるわ」

友美:「そうだわ菊池先生を通して校長先生と教頭先生はどうかな?明日もあるから寝よう」

二人は消灯して就寝する。しかし、なかなか寝つける事が出来ず友美は起きてしまう。そんな友美に洋美は声をかける。

「友美姉ちゃん、眠れないの?」

「うん私、外の空気を吸ってくるわ。洋美、先に寝て」

「それなら私も吸いたい。それなら部屋の窓を開けようよ」

洋美に促され友美は部屋の南側にある窓を開ける。窓から外を見上げると漆黒の夜空が広がっているのが見えた。二人は願い事を祈る気持ちで眺めていた。ふと一瞬だか友美は流れ星が落ちるのを見逃さなかった。勿論、願い事を祈る事も怠らなかった。すかさず洋美は友美に問いかける。

「友美姉ちゃん今、流れ星落ちなかった?」

「落ちたのを?見たわよ。願い事、祈ったよ。加代の幸せを」

「そう聞くと何か眠くなってきたわ」

「私もよ洋美。さあ寝よう」

友美は窓を閉め二人は再び就寝する。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

5月21日水曜日の午前5時、首女中の教職員用の宿泊部屋では目覚ましのアラームが鳴り響いた。菊池は目を覚まし愛美と幸美を平手打ちで叩き起こす。

菊池:「朝の特訓よ!着替えなさい!」

愛美:「はーい、やっぱり菊池先生の平手打ち、気持ちいい。クールミントのガムを噛むよりもスカッとする」

幸美:「叩き起こされるのなら友美姉ちゃん、洋美姉ちゃんよりも菊池先生の方がいいなあ」

菊池:「あはは、朝から楽しませてくれるわね、私も着替えるからあなた達も着替えなさい」

愛美と幸美、菊池は水着に着替える。水着の上に体操服を着ると宿泊部屋を出てプールへと歩き出す。歩きながら東の空を見上げると太陽が白く輝き始めている。

(友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん、佳那子に悠真さん、まだ寝てるかな?)

愛美は思案に暮れる。幸美も

(真美奈姉ちゃん、美幸姉ちゃん、香織姉ちゃん、悠お兄ちゃん、まだ寝てるかな?)

と思案に暮れた。やがてプールに着き、三人は高飛び込みの為の準備体操をする。準備体操を終えると体操服を脱いで水着になる。

菊池:「準備体操の後はシャワーよ、といくべきだけど飛び込みたい?」

愛美:「はい、飛び込みたいです」

幸美:「怒られてでも飛び込みたいです」

菊池:「そおなの、じゃ私の平手打ちでどう?」

愛美と幸美:「はい、お願いします、菊池先生」

こうして愛美と幸美は菊池の元で飛び込みの特訓に励んだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

一方、悠真は6時過ぎに起床した。7時迄に家を出るためである。朝食を取り家を出る。

悠真:「行ってくるわ」

悠真の母:「悠真、気をつけて。来週から中間テストよね」

悠真は電動三輪自転車に乗って自宅を出て駅へと向かう。

(今朝は由利、愛美と幸美の特訓で首女中に寝泊まりしているわ)

家を出て十分余りで電車の駅に到着し悠真は電動三輪自転車を駐輪場へ停める。駐輪場から出て駅へ歩こうとするとする悠真に声をかける者がいる。悠真は12年前の誘拐された時を思い出した。殺気を禁じ得なかった悠真は恐る恐る声の主に振り向いた。声の主は三人の男子高校生であった。三人の内、一人が悠真に声をかける。

男子高校生A:「よう!三輪車女」

悠真:「ちょっと何よ!?」

男子高校生B:「何処の学校?」

悠真:「何処でも良いじゃん!」

男子高校生C:「だって毎日、三輪車だもん」

三人の男子高校生は、いかにも柄の悪そうなオーラを放っている。悠真は振り切って逃げるように駅へと急いだ。

(なんなの!?あの三人の男子高校生は。何で声をかけられなきゃ駄目なの!?)

電車に乗った悠真は香織と美千代に会う。

香織と美千代:「悠真さん、おはようございます」

悠真:「おはよう、香織、美千代」

香織:「悠真さん、何か難しい顔してますけど何かあったのですか?」

悠真:「今さっき、自転車降りて駅に向かおうとしたら見知らぬ男子高校生三人組に声をかけられたのよ」

美千代:「見知らぬ男子高校生に?」

悠真:「そうなのよ、何か悪そうな感じだったわ」

香織:「どうしてかしら?菊池先生に言ったらどうですか?」

悠真:「そうね、由利と咲に言ってみようかしら」

やがて三人は電車からモノレールに乗り換え、友美、洋美、佳那子と落ち合い首女中へ登校する。悠真が佳那子と一緒に中等部一年A組の教室に入ると菊池との朝の特訓に励んだ愛美と幸美がいるのだった。

悠真と佳那子:「愛美、幸美、おはよう」

愛美:「悠真さん、佳那子、おはよう」

幸美:「悠真さん、佳那子、おはよう・・・あれ悠真さん、どうしたのですか?顔色が良くないですけど」

悠真:「愛美、幸美、今朝、見知らぬ男子高校生に声をかけられたのよ」

愛美:「男子高校生に?」

幸美:「どんな感じの男子高校生だったんですか?」

悠真:「何か目付きが悪そうでイヤな感じだったわ」

愛美:「イヤな感じ、と言われても想像つかないなあ」

幸美:「同感だわ」

佳那子:「アウトローのような感じかしら?」

やがてホームルームを経て一時間目の授業となっていく。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

一方、悠真に声をかけた三人の男子高校生は通う高校へと向かいながら談笑していた。

男子高校生A:「あの三輪車女、何処の高校かな」

男子高校生B:「着ていたブレザーに首女という文字あったな」

男子高校生C:「首女って確か首都女子大学附属女子高等学校中学校の事じゃんか」

男子高校生A:「女子校だな」

男子高校生B:「だとすると高校生かな?」

男子高校生C:「でも女子高生にしては何か老けているみたいだな。間違っても中学生ではないな」

男子高校生A:「老けているって、それ、もしかして歳いってる事!?」

男子高校生B:「そう言えば12歳の時に誘拐され12年間の間、監禁されていた女の人いたな。ニュースでやっていたけど」

男子高校生C:「やっていたな。その女の人、24歳だなあ」

男子高校生A:「もしかして、その女の人、さっきの三輪車女だったりして」

男子高校生B:「おいおい、まさか、それはないじゃん」

男子高校生C:「ウチの学校でもウワサになるぞ。もし仮にそうだとしたら」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

昼休み、首女中と首女高の食堂で悠真は菊池、大水、愛美、幸美、佳那子、クラスメートの赤木ほのか、馬場崎麻里(ばばさき まり)土門麻子代(どもん ますよ)石澤優子(いしざわ ゆうこ)と食事をしていた。菊池が悠真に声をかける。

菊池:「悠真、今朝はどうだった?」

悠真:「今朝、見知らぬ男子高校生に声をかけられたのよ」

菊池:「男子高校生に!?」

赤木:「だっ男子高校生!?」

大水:「何人位?」

土門:「何処の学校かな?」

馬場崎:「どんな感じだった?」

悠真:「三人、何か柄悪そうな感じだったわ。登下校の時に出くわすのが恐ろしい」

石澤:「柄悪そうって・・・・」

愛美:「それなら悠真さん購買部で防犯ベルを購入したらどうですか?」

悠真:「そおしようかしら」

幸美:「幸美、小学校時代は登下校時に防犯ベルを持ってたよ」

愛美:「ママに持たされていたから」

大水:「悠真、一緒に購買部覗かない?」

悠真:「うん」

菊池:「私も付き合うわ」

クラスメート:「悠真さん、菊池先生、大水先生と一緒の時が楽しいんだね」

談笑を終えると菊池、大水と悠真は購買部へ、愛美、幸美と佳那子は校庭へクラスメートは教室へと歩きだした。そして放課後の部活が終了した後、悠真は葵奈姉妹、佳那子、香織、美千代、菊池と一緒に帰宅する。モノレールで佳那子が降り、次の駅で葵奈姉妹が降りる。葵奈姉妹が降りた後、菊池が悠真に話しかける。

菊池:「悠真、昼休みに買った防犯ベルつけてるよね」

悠真:「買ってすぐつけたわ」

菊池:「それにしても、悠真が言ってた三人組の男子高校生は何処の学校かしら?」

悠真:「それが判れば良いのだけと」

菊池:「もし出くわした時に備えてスマホのカメラアプリは使えるようにしないとね。いざと言う時は撮影して通っている学校の割り出しが出来るようにすれば良いわ、三人は無理でも一人でも写せたら後は芋づる式だからね」

悠真:「今日の出来事を思えば首女中を受験し合格して良かったと改めて思ったわ。首女中を受験せずに普通の市立中学校に通っていたら今頃どうなっていたのか想像つかないわ」

菊池:「そうだったら私と出会えてなかったわ」

やがてモノレールは終着駅に到着し香織、美千代、悠真、菊池は電車に乗り換える。電車の車内で悠真は菊池に話しかける。

悠真:「ねぇ由利、一度、由利と一緒に首女中で寝泊まりしてみたいなぁ」

菊池:「首女中で寝泊まり?どうして?」

悠真:「愛美、幸美、佳那子が由利と一緒に寝泊まりしたのを見て私も、と思ったのよ」

菊池:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、小湊さんの三人は高飛び込みの特訓が目的だったのよ」

悠真:「そうなのね、だったら私と由利、咲の三人で池澤先輩の英語の特別補習を受けるのはどうかしら?」

菊池:「面白いかも、咲に話してみようかしら」

電車を降りると菊池は悠真にたずねる。

菊池:「ねぇ悠真、今朝、男子高校生に声をかけられた場所は何処?」

悠真:「駐輪場のすぐ側よ」

悠真は指差して答える。指差さす方向には男子高校生の姿は見えない。

菊池:「今はいないみたいだわ」

悠真:「この近くに男子校、共学の学校は無いのかな?」

菊池:「そおね調べてみる必要はあるわ。悠真、自転車に乗り換えて帰ろう」

菊池と悠真は自転車に乗り換えて帰宅の徒につく。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

モノレールを降りた葵奈四姉妹は改札口を出た所で育美に会う。

育美「幸美、携帯ショップに行こう。友美、洋美、愛美もついておいで」

四姉妹は育美に連れられ携帯ショップへ行く。

愛美:「幸美、今日からスマホデビューよね」

幸美:「機種は愛美お姉ちゃんと御揃いが良い」

友美:「あはは、愛美と幸美、御揃い派だね」

洋美:「姉妹愛が強いね」

手続きを済ませ新しいスマホを獲得した幸美は母と三人の姉と共に店を後にして帰宅する。そして就寝前に幸美は愛美からスマホの扱い方の指南を受けた。そして夜中、愛美と幸美は用便の為に目を覚ます。

愛美:「幸美、スマホの扱い方、わかった?」

幸美:「型は愛美お姉ちゃんのと同型同色だから扱いは短時日のうちに慣れると思うよ」

愛美:「そうか、良かったわ。万が一離れ離れでも連絡取り合えるからね」

幸美:「佳那子、真美奈姉ちゃん、美幸姉ちゃん、香織姉ちゃん、美千代姉ちゃん、礼子姉ちゃん、悠真さん、悠お兄ちゃん、旭中の友達とのメール、楽しめるわ」

愛美:「基本は幸美と一緒に行動だからね」

用便を済ませると二人は再び就寝する。そして明けて5月22日木曜日、四姉妹は起床し登校する。

一方、悠真も登校すべく電動三輪自転車に乗り駅へ向かう。駐輪場で菊池と合流する。

菊池:「おはよう悠真」

悠真:「おはよう由利」

菊池:「悠真、来週は中間テストよ」

悠真:「そおよね、思い出せば私、最初の中間テストを受けること無く誘拐されたよね。中間テストは初体験だわ」

菊池:「中間テストの直前といった感じだったよね」

駐輪場で自転車を停め二人は駅へと歩き出す。しかし何事も無く駅に到着し改札を通り電車に乗る。

悠真:「今日は出くわさなかったわ」

菊池:「私も男子高校生らしき姿は見なかったわ、何処かに隠れてなかったかしら?」

悠真:「わからない。とにかく出くわさずに良かった」

しばらくして香織と美千代に会う。

香織と美千代:「おはようございます、悠真さん、菊池先生」

やがて四人はモノレールに乗り換え、葵奈姉妹、佳那子と会う。

また一方、悠真に声をかけた三人の男子高校生は悠真が由利と一緒に歩いていたのを目撃していた。悠真と菊池は気が付いてない。

男子高校生A:「三輪車女(悠真)、今日は一人の女(由利)と一緒に歩いていたぞ」

男子高校生B:「一緒に歩いていた女、二十代前半のようだっな」

男子高校生C:「OL風だったな、何で一緒に歩いていたんだろう?」

男子高校生A:「わからん、何か訳がありそうだぜ」

男子高校生B:「訳ありのにおい、あるぞ、感じる」

男子高校生C:「もし機会とチャンスがあれば後をつけて家の場所、突き止めてみないか?」

男子高校生A:「何かありそうだ、面白い」

男子高校生B:「他の奴らにも話してみようか」

男子高校生C:「おう、それいいな」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

首女中の一時間目が終わった直後の休み時間、幸美は愛美からスマホの扱い方の指南を受けていた。小湊佳那子、赤木ほのか、悠真も見守っている。

幸美:「愛美お姉ちゃんの教え方、楽しい、早く覚えられそう」

愛美:「そりゃそうだよ、愛美のスマホ、幸美、触っていたからよ」

悠真:「幸美、楽しそうだね」

赤木:「幸美もスマホデビューか」

愛美:「ねぇ悠真さん、声をかけて来た男子高校生三人組の事、わかりません?」

悠真:「気になるの?関わらない方が身のためよ。触らぬ神に祟りなし、だから」

赤木:「声をかけられたって、悠真さん、それ、ナンパじゃん」

悠真:「私にして見れば柄が悪そうな感じだったわ」

佳那子:「男子高校生三人組に!?何処の学校かしら?」

幸美:「幸美、気になる」

悠真:「ところで私、水泳部飛び込み競技部門の井之上さんと遠藤さんが気になってきたのよ」

愛美:「真美奈姉ちゃんと美幸姉ちゃんの家には飛び込みプールがあるのよ」

悠真:「そおなの!?一度、寝泊まりさせてもらえたら良いのだけと駄目かしら?」

佳那子:「私、真美奈姉ちゃんの自宅、宿泊させてもらった事あります」

愛美:「愛美は美幸姉ちゃんの家にも泊まった事あるよ」

幸美:「幸美もね」

悠真:「井之上さんと遠藤さん、車で登下校しているみたいだけど、どんな家に住んでいるのかしら?」

愛美:「真美奈姉ちゃんと美幸姉ちゃんの家は資産家の御屋敷のような家よ」

悠真:「そのなの?」

やがて休み時間が終わり二時間目へ移行する。二時間目の授業が終わった直後の休み時間、愛美、幸美、佳那子、悠真達は用便の為にトイレへ行く。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

悠真に声をかけた三人の男子高校生が通う学校は県立逆茂木高校であった。場所は悠真の自宅の最寄りの駅からさほど遠くはない所である。県立逆茂木高校(以降は逆高と呼称)は男女共学校であるが偏差値は首女高には及ばない。その逆高での昼休み、悠真に声をかけた三人組の男子高校生はうそぶくような口調で談笑を楽しんでいた。内容は悠真の事である。

男子高校生A:「なあ三輪車女(悠真)の事だけど制服からみると首女高みたいだな、どうみても」

男子高校生B:「首女高って色んな型、色んな色の制服があるらしいぞ」

男子高校生C:「おいマジかよ!?」

男子高校生A:「ああ、そうみたいだぜ、併設されている首女中もな」

男子高校生B:「どんな学校か覗いてみたいな」

男子高校生C:「でも今朝、一緒に歩いていたOL風の女は何だろう?組み合わせが気になる」

その時、三人の近くで二人の女子生徒が話していた。

女子生徒A:「ねぇ今から12年前、12歳の時に誘拐され最近まで監禁されていた女の人いたじゃん」

女子生徒B:「ああ、ニュースでやっていた。今じゃ24歳ね」

女子生徒A:「その監禁されていた女の人、現役の中学生と一緒に学校に通って授業を受けているらしいわ」

女子生徒B:「えっマジで!?現役の中学生はどう思っているのかしら?普通は別室か保健室止まりが関の山のはずだけど何処の学校かしら?」

女子生徒A:「どうやら首女中らしいわ。しかも、この辺りに生活圏を持っているみたいだわ」

女子生徒B:「どうして、そんな事、知っているの?」

女子生徒A:「私の中学時代の同級生で首女高に通っている者がいるのよ」

女子生徒B:「そおなの!?」

女子生徒A:「そおみたいよ、監禁生活のせいなのか自転車に乗れず三輪自転車に乗っているらしいわ」

女子生徒B:「運動機能、メチャメチャ弱っているのね」

女子生徒A:「そりゃ12年も監禁されていたから無理もないわ」

女子生徒B:「同い年の同級生と引き離されたのね可哀想だわ」

その二人の会話を三人の男子高校生は聞き逃さなかった。

男子高校生A:「おい聞いたか?どうやら三輪車女、ニュースでやってた12年も監禁されていた女の人みたいだぜ」

男子高校生B:「本当かよ!?」

男子高校生C:「だとしたら面白いぞ」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

放課後の部活時、悠真は首女中と首女高のプールで水中ウォーキングに励んでいた。菊池が悠真に声をかける。

菊池:「悠真、少し休まない?」

悠真:「そうね、井之上さんと話してみたいけど良い?」

菊池:「休憩中なら良いわよ」

真美奈:「悠真さん、どうしたの?」

悠真:「井之上さん、機会があれば井之上さんの家を・・・」

真美奈:「私の家ですか?泊まってみたいですか?」

悠真:「出来ればの話です。無理にとは言いません。御自宅にプールがあるのを聞いたので」

真美奈:「ありますわよ、ほぼ毎朝、飛び込みの練習しているんですよ」

悠真:「井之上さんって飛び込み以外に特技はありますか?」

真美奈:「茶道とピアノですね。茶道に関しては美幸と一緒に香織の御母様の茶道教室に行く事がありますわ」

悠真:「実は宇都さんに今度の日曜日に茶道教室、覗いてみないかと誘われているんですよ」

真美奈:「それでしたら話は早いですわ。実は私、今度の日曜日、美幸と一緒に香織の御母様がやっておられる茶道教室に行く予定なんです。もしよろしければ今度の土曜日、私の家に泊まりに来ませんか?」

悠真:「はい。そろそろ練習再開ですわ」

真美奈:「頑張りましょう」

悠真は休憩を終えて水中ウォーキングの練習を、真美奈は飛び込みの練習を再開する。部活の練習終了後の下校時、着替えを終えた悠真、菊池、真美奈、美幸、香織、佳那子、葵奈姉妹と首女中、首女高の生徒達は校内から校門へと歩き出す。しかし校門付近では多くの生徒達が眉をひそめ、ざわついていた。ざわつきぶりから見ると明らかに有名人、著名人、人気アイドル、人気タレントが来ているとは到底、思えない。

(誰か来ているのかしら?)

悠真は菊池、真美奈達と顔を見合わせる。葵奈姉妹は

(もしかして私達の追っかけファン?それともカメラ小僧?)

と首をかしげる。写真集を出してから追っかけファンとおぼしきカメラ小僧は数えるほど見かけている。しかし、ざわついている今の状況ではカメラ小僧や追っかけファンらしき者が来ているなんて考えられない。校門に近づいた時、悠真の顔つきがこわばった表情に変貌した。

(まっ、まさか、そんな筈じゃ・・・)

悠真の眼球に飛び込んできたのは、悠真に声をかけた逆高の三人の男子高校生の姿であった。三人の男子高校生は悠真の姿を見るや否や口々に言い出した。

男子高校生A:「あっ来たぞ、三輪車女」

男子高校生B:「本当だ、三輪車女だぞ」

男子高校生C:「三輪車女、首女高に通っているんだ」

男子高校生が口々に言うのを見て悠真は菊池の体に身を隠そうとする。すかさず佳那子が声高らかに悠真へ問いかける。

佳那子:「悠真さん、どうしたの!?」

悠真:「その三人、私に声をかけて来た高校生よ!」

菊池:「その三人なの?」

悠真:「そうよ!」

佳那子:「菊池先生、どうします?警察に通報しましょうよ!」

首女中、首女高の生徒達が騒ぎだすのをみた逆高の男子高校生三人組は

男子高校生A:「騒ぎ酷くなった」

男子高校生B:「まずいぞ」

男子高校生C:「ここはひとまず退却しようぜ」

と叫びながらモノレールの駅へと逃げ去って行く。三人の姿が見えなくなるのを待って菊池は悠真に改めて問いかける。

菊池:「ねぇ悠真、今の三人の男子高校生に声をかけられたの?」

悠真:「そうなのよ、ものの言い方、うそぶくようで不気味だったわ」

菊池:「そうなの、生理的に嫌なモノだったのね。しまった、カメラアプリ作動させるべきだったわ」

佳那子:「カメラアプリですか?」

幸美:「幸美、カメラアプリを作動させて写しちゃった」

悠真:「えっ!?撮ったの?見せて」

幸美は男子高校生が写ったスマホをアルバムアプリを作動させ悠真と菊池にみせる。

悠真:「写っている」

菊池:「本当だわ、幸美ちゃん、男子高校生が写った写真、私のスマホに転送してちょうだい」

幸美は愛美に手ほどきをしてもらい写真データを菊池のスマホに転送する。

菊池:「オッケー転送完了よ。幸美ちゃん、気が利いたじゃない」

幸美:「スマホデビューしたばっかりだから、つい嬉しくてカメラアプリを作動させていたんですよ。まさか男子高校生に出くわすとは思っていなかったですよ、本当にビックリ」

愛美:「幸美ったら嬉しがりだから」

友美:「それにしても何処の学校の男子高校生かしら?」

洋美:「私達は女子校だからピンと来ないわ」

菊池:「さっきの男子高校生の制服の特徴で割り出せたら・・・」

菊池は幸美に転送してもらった男子高校生の写真に見入っていたが。

菊池:「もしかして悠真の家から近い所にある県立逆茂木高校の制服に酷似しているわ」

真美奈:「県立逆茂木高校!?」

悠真:「そう言えば私の家の近くの県立高校みたいだわ。私の小学校時代の同級生で行った人、どれぐらいいるのかしら?」

美幸:「私達のはともかく、悠真さんの個人情報、さっきの男子高校生に漏れないように気をつけないといけませんわ」

香織:「同感ですわ、首女中および首女高の生徒の個人情報は守秘しなくてはなりませんわ。特に悠真さんのは注意しないといけませんわ」

悠真:「あれ、車が2台来ましたわ、白いのと黒いのが」

真美奈:「白い方が私ので、黒い方が美幸のです」

菊池:「悠真、今日は井之上さんか遠藤さんのどちらかに送ってもらったらどう?モノレールと電車で帰宅は危ないと思うわ、さっきの男子高校生に出くわすかも知れないから」

悠真:「そうね今日は井之上さんに、お願いします。よろしいですか?」

真美奈:「良いですよ、悠真さん。さあ乗って下さい」

真美奈に促され悠真は井之上家の送迎自家用車に乗った。真美奈と悠真が後部座に乗ると車は出発して首女中を後にして走っていく。そのリアビューが見えなくなると菊池は他の生徒達に帰宅を促す。遠藤家の送迎自家用車も美幸を乗せ走っていく。菊池と首女中、首女高の生徒達はモノレールの改札を通ると周囲を警戒しながらモノレールの車内に乗る。男子高校生の姿は先発で帰った為か見えなかった。やがてモノレールが動き出すと菊池は胸を撫で下ろしたかのように口を開く。

菊池:「どうやら帰ったみたいだね」

佳那子:「それにしても、さっきの男子高校生三人組、何処に生活圏を持っているのでしょうか」

香織:「その三人の男子高校生は県立逆茂木高校ですよね、便宜上、逆高三人衆と呼ぶのはどうでしょう?」

菊池:「良いかも、校長先生に話してみようかしら。幸美ちゃんに撮ってもらった逆高三人衆の写真もね」

美千代:「私も覚えておいた方が良いかな、三好三人衆ではなく逆高三人衆と言うことで」

洋美:「三好三人衆って戦国武将じゃん、三人の内、二人が三好、残りの一人が岩成友通じゃない」

愛美:「美千代姉ちゃん、歴史得意なの?」

幸美:「そう言えば来週から中間テストよね、定期テスト初体験だなあ」

菊池:「戦国武将に関する事は信長の野望をやってたら知識が身に付くと言う人多いわ」

話し合っている内に佳那子がモノレールを下車し、次の駅で葵奈姉妹が下車していった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

井之上家の送迎自家用車の中で悠真は真美奈と一緒に会話を楽しんでいた。車の進行方向の左窓には相模湾、右窓には東京湾が一望できる。

悠真:「井之上さんは毎日、車で登下校しているんですね」

真美奈:「ええそうですよ悠真さん。何処まで送ればいいですか?」

悠真:「そおよね、私の自宅の最寄り駅の駐輪場までお願いしたいわ」

真美奈:「わかりましたわ、今度の土曜日は是非泊まりに来て下さいね」

悠真:「はい、喜んでよさせて頂きます。両親に話しておかないといけないわね、テスト前だから認めてくれるかどうか気になるけど」

真美奈:「認めてくれると良いですね」

悠真:「ところで水泳部の人達は皆良い方ばかりだわ、あの三人組の男子高校生とは全然違うわ」

真美奈:「私達、水泳部も悠真さんが毎日、菊池先生の元で水中ウォーキングを頑張る姿を見るのが楽しみです」

悠真:「私を見るのが楽しみなんて、私はグラドルの柄じゃありませんわ、葵奈姉妹と佳那子みたいに」

真美奈:「佳那子ちゃんもグラドルとして葵奈姉妹の仲間入りをしたのね。佳那子ちゃんも私の家に泊まった事ありますわ」

二人が会話をしているうちに車は駐輪場に到着し、悠真は降りる準備をする。真美奈が悠真に声をかける。

「悠真さん、着きましたけど私、自転車に乗るまで見届けます」

「ありがとう井之上さん」

悠真は車を降り駐輪場の中へと歩いていく。そして5分もしないうちに電動三輪自転車に乗った悠真が出てくると真美奈は車窓から声をかける。

「悠真さん、お気をつけて、また明日」

「井之上さん、また明日。運転手さん、お気をつけて、ご安全に」

悠真は三輪自転車をこいで自宅へと走りだし、それを井之上家の送迎自家用車は見守るように走りだしだす。しかし、その様子の陰から伺っていた者がいた。逆高三人衆である。三人は悠真に気付かれないように走り出す。少し走ったところで悠真は自転車を降りてスマホを取り出し、菊池にメールを打つ。そして自転車を押して歩きながら自宅の母親に電話をかける。

「もしもしママ、悠真だけど私もうすぐ着くわ」

「わかったわ、気をつけて」

悠真は再び自転車に乗ってこぎだす。自宅に帰り着くと悠真は三輪自転車を庭の自転車置場に置き自宅の中へと入っていく。その様子を悠真を尾行していた逆高三人衆は見届けた。

逆高生A:「ここが三輪自転車女の自宅か」

逆高生B:「表札は『牟田内』と書いてあるぞ」

逆高生C:「三輪自転車女の名は『悠真』だそうだぜ」

逆高生A:「三輪自転車女の氏名は『牟田内悠真』か」

逆高生B:「どうする?呼び鈴で呼び出すか?」

逆高生C:「やめとこう。警察に通報されるとまずい。首女校で騒がれたから。今日は引き上げよう」

逆高三人衆は来た通をたどって帰宅の徒につきはじめ談笑を再開する。

逆高生A:「これで三輪車女の素性はっきりしたな」

逆高生B:「名前は悠真だな」

逆高生C:「その悠真、12年間も監禁されてたのかな?」

逆高生A:「だろうな、24歳であるのは間違いなさそうだ」

逆高生B:「24歳で現役の中学生なのかな?」

逆高生C:「何年生だろう?」

逆高生A:「わからん、お金は沢山持ってそうだな」

逆高生B:「持っているって、どれくらいかな」

逆高生C:「見舞金で懐、膨らんでそうだそ」

不気味にうそぶく三人の会話は長く続く。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

モノレールから電車に乗り換え電車を降り改札口を通り抜けた菊池は悠真の自宅の方から逆高三人衆が歩いて来たのを目撃した。

(まさか、そんなはずは)

菊池は絶句した。三人の表情は不気味に微笑みを浮かべていた。その表情からだと悠真の自宅の住所が知られたのは間違いないように思えた。菊池は自転車に乗り換えると悠真の自宅へと急いでペダルをこぐ。悠真の自宅に着くとすぐさま呼び鈴のボタンを押した。

悠真の母親:「あら、由利ちゃん、いらっしゃい。どうかしたの?」

菊池:「御母様、悠真は」

悠真:「由利、どうしたの?」

菊池:「悠真、悠真の自宅、逆高三人衆に知られたみたいじゃない?」

悠真:「えっ!?」

悠真の母親:「何があったの?」

菊池は悠真と悠真の母親に逆高三人衆の事を話した。悠真の母親は眉をひそめ、悠真は絶句した。

悠真の母親:「あら、そおなの?」

悠真:「え〜っ!?通学どうしよう、このままじゃ首女中に通えなくなりそう」

菊池:「自転車での通学が危険となったら駅までの通学手段を考えなくてはなりませんわ。それか寝泊まり可能な場所を探すかだわ」

悠真:「寝泊まりとなると首女中と首女高の寮は駄目かしら?」

菊池:「今の状況では無理だと言わざるを得ないわ。新たに寮の増設を行うとしたら建設場所、費用、期間などの問題が生じるわ」

悠真の母親:「日によって寝泊まりする場所を変える事は出来ないのかしら?」

悠真:「そおね例えば明日は首女中、明後日は井之上さん、明々後日は遠藤さん、その次の日は葵奈姉妹の自宅に泊めさせてもらうといった具合では、駄目かしら?」

菊池が頭をひねっていると悠真の父親が帰宅してきた。

悠真の父親:「只今。あら、由利ちゃん、来てたんだ」

菊池:「お邪魔致しております。御父様お帰りなさいませ」

悠真の父親:「まっ、ゆっくりしてちょうだい」

菊池:「寝泊まりの事は相手方と話し合って考えるしかないわね。逆高に対して抗議するとしたら校長先生、教頭先生と話し合って相談しないといけないわ」

悠真の母親:「そおよね」

悠真の父親:「何を話し合っているんだい?」

菊池は悠真の父親にも話し合っていた事を話した。

悠真の父親:「三人の男子高校生か。何か目的があるのだろうか?」

悠真:「目的と言われてもわからない。おそろしい」

悠真の父親:「たかり、かも知れないなぁ」

菊池:「たかり?」

悠真の父親:「一緒に食事しようと誘って代金を支払わせるのが目的だろう」

菊池:「それじゃ、悠真のメッシー化を図る腹積もりだわ。何としてでも悠真にその三人の男子高校生を近づけさせないようにしないといけないわ。ボディーガードまではいかないまでも一緒に行動してくれる人をつけなくてはいけないわ」

悠真の母親:「だとしたら今よりも多くの友人作りをしないといけなくなるわ」

そこで菊池は自身のスマホ画面に逆高三人衆の写真を表示させ悠真の両親に見せた。

「これが問題の男子高校生三人組です」

両親は食い入るようにスマホ画面に写し出された三人の男子高校生を見つめた。

悠真の父親:「そおか」

悠真の母親:「由利ちゃん、我が家のパソコンに、その写真、転送して頂けないかしら?」

菊池:「わかりました」

悠真の母親:「近所の人にも確認してもらう方が良いかしら?」

悠真の家族と話しあった後、菊池はおいとまをすべく口を開く。

菊池:「御父様、御母様、長らくお邪魔しました。明日もありますので、これにて失礼したいと思います」

悠真の父親:「由利ちゃん、来てくれてありがとう」

悠真の母親:「気を付けて帰ってね」

菊池:「わかりました。悠真、また明日」

悠真:「由利、また明日」

菊池は悠真の自宅を後にして帰宅の徒についた。

(逆高の三人組は何者かしら?)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

葵奈姉妹の部屋では友美、洋美、愛美、幸美が宿題とテスト勉強を終えた後、談笑を楽しんでいた。

友美:「月曜日から中間テストだな。愛美と幸美は初体験だな」

愛美:「愛美は授業で習った事は忘れぬうちに頭に入れちゃうの」

幸美:「幸美もよ」

洋美:「旭中の友達はどうだろう?テスト勉強対策は」

友美:「気になるんだ。私は加代が気になる。勉強はどうしているのか、上手くいっているか」

洋美:「加代ねえの事、気になるのね」

愛美:「旭中の由美子、麗美奈、真由、雅、若菜は勉強どうしているのかな?」

幸美:「首女中と旭中のテストの日にち違うのね」

友美:「テストが終わったら春期運動会があるわ。首女中と首女高との合同で」

洋美:「旭中の由美子達に見せてみたいな」

会話を終えると四姉妹は消灯し就寝する。夜中、愛美と幸美は目を覚ましトイレに行く。用便を済ませると愛美が幸美に話しかける。

愛美:「ねぇ幸美もうすぐ中間テストよね。部活の練習時間も短くなったね。旭中の友達はどうするのかな?」

幸美:「少し気になる。久々に会う時は一緒に勉強するのも良いと思うよ」

愛美:「そう言えば由美子達、愛美、幸美と一緒に勉強できたら良いなあといってたわ。メールのやり取りで」

幸美:「どこで勉強するのか場所設定が問題だよ」

そこへ洋美が部屋から出て来て二人に促す。

洋美:「愛美、幸美、何を話し合っている?」

愛美:「旭中の由美子姉ちゃん達の事なのよ」

幸美:「由美子姉ちゃん、勉強どうしてるのかが気になるから一緒に勉強はどうかと」

洋美:「一緒に勉強か、私と学年は同じだから悪くないかもね。明日もあるから早く寝よう」

洋美に促され愛美と幸美は再び就寝する。そして明けて5月23日金曜日となり四姉妹は毎日のように登校すべく家を出る。モノレールに乗ると菊池、悠真の姿は見当たらない。香織と美千代の姿はあり四姉妹は挨拶をする。

友美:「おはよう香織、工藤」

洋美:「おはようございます、宇都先輩。おはよう美千代」

愛美と幸美:「おはよう香織姉ちゃん、美千代姉ちゃん」

香織:「おはよう友美、洋美ちゃん、愛美ちゃん、幸美ちゃん」

美千代:「おはようございます葵奈先輩、おはよう洋美、愛美ちゃん、幸美ちゃん」

友美:「あれ、悠真さんと菊池先生の姿が見えないけど、どうしたのかな?」

香織:「真美奈の車で来るそうよ」

洋美:「なぜだろう?」

愛美:「もしかして、あの三人組の男子高校生の影響かしら?」

幸美:「待ち伏せされるのが怖いのかな?」

香織:「だと思うわ」

次の駅で佳那子が乗車してくる。

佳那子:「おはようございます。あれ、悠真さんと菊池先生は?」

香織:「今日は香織の車で送ってもらうらしいわ」

終着駅に着き徒歩で校門に差し掛かると車を降りた真美奈、悠真、菊池の姿があった。葵奈姉妹達は声をかける。

「悠真さーん」

悠真も答えるように挨拶する。

悠真:「おはよう」

友美:「今日は真美奈の車で菊池先生と一緒ですね」

悠真:「ええ、そおよ。あの三人組、私の家までつけていたみたいだから」

菊池:「とりあえず様子を見た方が良いと思うわ」

真美奈:「三人の情報が得られたらよいのだけどね」

菊池:「さぁ、校門をくぐりましょう」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

一方、逆高三人衆は悠真の姿を見れなかったのを不思議に思っていた。

逆高生A:「今日は悠真という女、姿を見せなかったな」

逆高生B:「休んでいるのかな?」

逆高生C:「いや、通学手段を変えたのかな?」

逆高生A:「通学手段?」

逆高生B:「誰かに送迎してもらうとか」

逆高生C:「そう言えば昨日、わりと大きい白い車で帰っていたな」

逆高生A:「その白い車、大金持ちが所有していそうな感じだったぞ」

逆高生B:「悠真の家は大金持ちには見えなかったなあ」

逆高生C:「悠真の友達の家の車かな?なんだか悠真の交友関係が気になる」

逆高生A:「考えられるのは友達に大金持ちの資産家の令嬢が少なくても一人はいる事だな」

逆高生B:「同感」

逆高生C:「なんだかますます首女中が気になるな。それに女子校だから他にどんな子がいるのかもな」

逆高生A:「でも、うかつに首女中と首女高に近づいたら騒がれるぞ」

逆高生B:「じゃあどうする?運悪かったら通報されるぞ」

逆高生C:「そうだなあウチの女子に接近させるか、仲間をふやすか」

逆高生A:「一応、悠真の家の写真は写しておいたけど」

逆高生B:「他の学校の奴らから仲間を募るのはどうかと」

逆高生C:「とりあえず、それでいこうぜ」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

また一方、旭中では由美子が麗美奈、真由、雅、若菜とテストの事で話していた。

由美子:「ねえテストの結果どうなるのかな?」

麗美奈:「私、自身無い」

真由:「私だって」

雅:「私もよ」

若菜:「私もよ。由美子は?」

由美子:「私、成績、下がったら葵奈姉妹に指南してもらおうかな。バク中ではなく勉強のやり方を」

麗美奈:「勉強のやり方を?」

由美子:「そおなの、首女中だから」

真由:「首女中は確か首都女子大学附属女子中学校だよね」

雅:「そこは中高一貫の女子校じゃない?」

若菜:「高校には他の中学校からの編入してくる人もいるみたいよね」

由美子:「高校受験は皆で首女高を受験しない?」

麗美奈:「高校受験って来年の話じゃ」

真由:「今のうちから考えるのも悪くないじゃん」

由美子:「首女中は来週の月曜日から中間テストが始まるわ」

雅:「ウチの中学より少し遅いなあ」

若菜:「葵奈姉妹の幸美、スマホデビューしたそうよ」

由美子:「今までは四姉で双子の姉の愛美に頼りっぱなしだったけど。最近、愛美と幸美、私の事を由美子姉ちゃんと呼ぶようになったわ」

麗美奈:「私達は二年生、愛美と幸美は一年生だもんね」

真由:「洋美は私達と同じ二年生だね」

雅:「洋美、愛美、幸美とメッセージのやり取りは欠かせないわ」

由美子:「今度の日曜は葵奈姉妹のステージイベントよね。テスト後だから行こうよ」

五人は気持ちを固めるように予定を決めた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

そして夕方、部活の終了後、悠真は誰と帰るか迷いあぐねていた。そこへ菊池が声をかける。

菊池:「悠真、今日はどうする?誰と一緒に帰る?井之上さんか遠藤さんに送ってもらうか?」

悠真:「そおね、本当は愛美、幸美と一緒に帰りたかったけど自転車で来てないから井之上さんにお願いしようかしら?井之上さん良いですか?」

真美奈:「良いですよ、良かったら愛美ちゃん、幸美ちゃんも付き添う?」

愛美:「良いのなら喜んで付き添うわ」

幸美:「幸美も。友美姉ちゃん、洋美姉ちゃん、先に帰ってちょうだい」

友美:「わかった。愛美、幸美、楽しそうだな」

洋美:「本当に楽しそう。友美姉ちゃん、佳那子、香織、美千代、菊池先生、モノレールで」

悠真、真美奈、愛美、幸美は井之上家の自家用送迎車に乗り、車は走り出す。その車内では真美奈が悠真に問いかける。

真美奈:「悠真さん、水中ウォーキングはどうですか?」

悠真:「良い感じですよ、水泳部の人達が優しくしてくれるので」

真美奈:「そうですか、私だって練習に悠真さんがいないと画竜点睛を欠いてるような気がするんですよ」

悠真:「そうですか」

愛美:「悠真さんに水泳部への入部は期待しない方が良いかな?」

幸美:「悠真さんとの出会いは救出した時だったわ」

真美奈:「最近、悠真さんは茶道に興味があるようですね」

悠真:「ええ、そうですわ。宇都さんがきっかけです」

車内での会話は時間が早く経過し気がつくと車は悠真の自宅の前に到着していた。

運転手:「悠真お嬢様、愛美お嬢様、幸美お嬢様、到着しました」

悠真:「ありがとうございます」

愛美と幸美:「ありがとうございました。お気をつけて」

悠真、愛美、幸美は下車して真美奈を見送る事にした。

真美奈:「愛美ちゃん、幸美ちゃん、帰りはどうするの?」

愛美:「悠真さんの家族に挨拶していくから幸美と一緒に電車で帰るわ」

幸美:「真美奈姉ちゃん、また明日、気をつけてね」

真美奈:「わかったわ、私はこれで失礼するわ。また明日」

真美奈の車は方向転換し帰宅して走り出す。そのリアビューが見えなくなるのを待って悠真は愛美と幸美を家に誘う。家では悠真の母親が愛美と幸美を迎える。

悠真の母親:「あら、いらっしゃい、愛美さん、幸美さん」

愛美:「こんにちは御母様」

幸美:「ご無沙汰致しておりますがお変わりございませんか?」

悠真の母親:「ええ、お陰様で悠真は楽しく過ごせています」

愛美と幸美は悠真の母親と挨拶を交わす。しばらく会話をした後、愛美と幸美は帰宅するため別れの挨拶をする。

愛美と幸美:「どうも、お邪魔致しました」

悠真の母親:「お気をつけて」

悠真:「愛美、幸美、また明日」

二人は悠真の自宅を後にして帰宅すべく駅へと歩きだした。

愛美:「ねぇ幸美、悠真さん楽しそうな顔だったね」

幸美:「そおね、今は悠真さん水泳部の人達と一緒が楽しいみたい」

愛美:「悠真さんの家、真美奈姉ちゃんや美幸姉ちゃんのに比べると、小さくて古いみたいだけど味があるね」

幸美:「そうね、味と言うのは古いモノにあるんだよね」

数分ほどあるいているうちに二人は殺気を感じた。

(一体何なの?この殺気は?)

気がつくと二人の前に三人の人影が立ち塞がっているのだった。三人の正体は首女中の校門で見たことのある逆高三人衆だった。三人は見下ろすように愛美と幸美に話しかけて来た。

逆高生A:「おい、お前ら牟田内悠真と友達だろ」

愛美:「ちょっと、どちら様です?」

幸美:「愛美姉ちゃん、この人達一体?」

逆高生B:「なぁ答えろよ!」

愛美と幸美:「・・・・・」

逆高生C:「聞きたい事山ほどあるんだ、付き合ってくれよ」

愛美と幸美は氷付けになった感触を感じた。



☆☆☆☆☆第四組曲、友愛、終わり☆☆☆☆☆

To be continue第五組曲、親善








































































































































































































































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